三鷹ストーカー殺人:被告の内面変わらず 全公判傍聴して

毎日新聞 2014年08月02日 07時30分(最終更新 08月02日 10時15分)

池永チャールストーマス被告=東京都三鷹市で2013年10月、手塚耕一郎撮影
池永チャールストーマス被告=東京都三鷹市で2013年10月、手塚耕一郎撮影

 東京都三鷹市で2013年10月、元交際相手の高校3年の女子生徒(当時18歳)を殺害したとして殺人罪などに問われた無職、池永チャールストーマス被告(22)の裁判員裁判で、東京地裁立川支部は1日、起訴された罪の有期懲役の上限となる懲役22年(求刑・無期懲役)を言い渡した。「たくさんの心の矛盾に満ちていて答えを見いだせない」。今年1月、東京・立川拘置所で面会した池永被告は当時の心境をそう説明した。あれから約半年。計5回の全ての公判を傍聴した私の目には、不条理に愛娘を奪われた遺族の無念に対し、「苦しみは想像できるが、共感はできない」と法廷でかたくなに謝罪を拒んだ被告の内面が、事件時とほとんど変わっていないように映った。

 面会時、被告は「復縁は望んでいなかった」と強調。「でも、すべてを手放すのは勇気がいるので、連絡は強要した」と矛盾する心境を明かした。

 公判でも、動機について「彼女と他の異性との交際を考えると身の焦がれる思いになり、この苦痛から逃れるためだった」と述べるなど、面会時に感じた身勝手な印象は変わらなかった。

 生徒が体験したであろう最期の瞬間の苦しみや痛みを「味わってみたい」と法廷で話した被告。ストーカー相談を数多く受けている専門家はこうした心理について、被害者との一体感をどこまでも欲する加害者特有の心理だと分析する。

 被告の発言から、確信的な加害者の内面が刑罰で変わるとは思えなかった。だとすれば被告が意向を示した通り、心理療法などの治療を受ける以外にないだろう。面会時と同様によどみなく言葉を繰り出すその姿に、その思いを強くした。【松本惇】

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