コアなファン層は20〜40代男性

10月6日に渋谷O-EASTで行われた「I、D、Z〜LEGEND“I”」で熱唱するSU-METAL。当日は、ライブでの定番曲でファンから音源化の要望も高かった「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のリリースの告知も(撮影/Taku Fujii)
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――いま、ライブの動員はどれぐらいあるのか。また、ファンはどのような層で構成されているのか。

KOBAMETAL:10月6日の渋谷O-EASTでは、2回公演で合計2600人が集まった。次のライブは赤坂BLITZだが、約1500人を収容する会場だ。BABYMETALのライブはオールスタンディングにこだわっている。この先どこまで広がって行くのか楽しみだ。

 実際にライブに足を運んで頂いている方々は、コア層が20〜40代男性のアイドルファン。ただ、会場の雰囲気はさくら学院とは少し異なり、BABYMETALではバンドのライブのような一緒に盛り上がる一体感を求めている方が多いと感じる。

 他は、サブカルチャーが好きな方、メタル好きな方もいる。最近は女性ファンが増えてきて、ヴィジュアル系バンドのファンの方や、ネット上では国内外の女性がBABYMETALのコスプレをして“踊ってみた”の動画を上げていたりもする。

――「ヘドバンギャー!!」以前には、2011年に「ド・キ・ド・キ☆モーニング」、2012年3月に「いいね!」がリリースされている。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は最もアイドル色の強い楽曲だ。

KOBAMETAL:「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は、サビ部分だけならばアイドルソングとしても聴ける、もっともポップな曲だ。デビュー曲は、さくら学院のライブで初披露だったこともあり、あえてキャッチーな楽曲を選んだ。メタルファンからすればポップ過ぎて「メタルじゃなくね?」となるわけだが、それでいいと思っている。

 もともとBABYMETALの曲は、多くがマッシュアップ的な技法で作られている。集まってきた楽曲からAメロ、Bメロ、サビなどを別々に取り出してミックスするのだ。そのため、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」では作曲家が複数存在する。

2011年10月にライブ会場限定グッズとして販売された「ド・キ・ド・キ☆モーニング」ミュージックDVD付きタオル。数量限定だったが、好評につきライブ会場やECサイトでも販売されるようになった。音源は、iTunesでも入手できる
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――アイドルの楽曲で、そこまで時間をかけて作られているケースは少ないのではないか。

KOBAMETAL:個人的には、同じように作っているという話は聞いたことがない。音源を作る際は、一人の作家がただ一曲作るというよりも、バンドがスタジオで各メンバーの意見を取り入れながら完成させていく感覚に近く、意識の面では少し違うかもしれない。ただ、一曲を作るのに時間がかかるため、曲数が少ないのも事実だ。

 「いいね!」は、スクリーモ・ピコリーモと呼ばれるジャンルに属するメタルサウンドを意識している。同様にマッシュアップで作られているため、デスメタル的要素や中盤のHIPHOP調の展開などが特徴的だ。

――「いいね!」は、京都発ヲタイリッシュ・デス・ポップ・バンドを名乗る「キバオブアキバ」とのスプリッドCDという形でリリースされた。その経緯は。

KOBAMETAL:まず、BABYMETALが「重音部RECORDS」というインディーズの体を取っているため、新人バンドや仲のいいバンド同士が一緒に音源を入れてスプリット盤を出すというインディーズ文化を取り入れたいと考えた。

 そこで、新しいバンドを探していたところ、出会ったのがキバオブアキバだ。メタル・バンドシーンからヲタク文化へアプローチするというスタンスにBABYMETALと似たものを感じ、何か面白いことができるのではと思った。

2012年3月に発売した、キバオブアキバとのスプリットCD。オリジナル曲「いいね!」のほか、キバオブアキバの「Animation With You」へのBABYMETALアンサーカバーソング「君とアニメが見たい〜Answer for Animation With You」、キバオブアキバによる「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のカバーも収録
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