GQ Men of the Year 2012真実を語る男──有吉弘行(芸人)

有吉弘行は、最も多くの番組に出演する芸人である。けれども、決して迎合したり、妥協することで出番を得ているわけではない。ひりひりするような言葉をやりとりする真剣勝負を重ねることで、現在のポジションを獲得したのだ。どん底を見た男は、そこを経験したからこそ強靱な言葉を得た。普段はほとんど私生活を語らない有吉弘行であるけれど、おちまさとがその固い口を割らせた。

写真:Maciej Kucia(AVGVST) スタイリング:櫻井賢之(スーパーソニック)
ヘア&メイク:AKANE 文:サトータケシ

有吉弘行 1974年、広島県に生まれる。実家は、古くから熊野筆を製造する工場を経営している。オール巨人に弟子入りした後、猿岩石を結成、96年に『進め! 電波少年』の大陸横断ヒッチハイク企画で大ブレイク。ただしそのバブルが弾けた後、7年ほど暗黒時代が訪れる。2007年の『アメトーーク!』などで復活をはたす。
スーツ ¥493,500、カーディガン ¥136,500、シャツ ¥34,125、タイ ¥19,950〈すべてTHOM BROWNE/クロスカンパニー tel.03-5770-5570〉

映画もキャバクラも興味なし。お笑いの世界でやれるのが嬉しい

レギュラー番組が月に16本! 有吉弘行さんは2011年に年間499本の番組に出演、「テレビ番組出演総本数ランキング」で1位に輝いた。今年もその勢いは衰えない。けれども『GQ』としては、有吉さんの現在の認知度はまだまだ物足りないと思う。本人が「同世代の男性に見てもらいたい」と言うように、『GQ』読者のような大人の男にこそ、彼の面白さを知ってもらいたいからだ。

「お約束」の世界にあって、なぜ有吉さんだけが「王様は裸だ!」と叫ぶことができるのか。有吉さんをお笑い代表として「GQメン・オブ・ザ・イヤー2012」にプッシュしたプロデューサーのおちまさとさんが、インタヴュアーとして鋭く斬り込む。

おち メン・オブ・ザ・イヤーって知ってました?

有吉 いや、初めて知りました……。

おち これまで、錚々たるメンバーが受賞していますよ。

有吉 本当なら素直にうれしいと思うんですけど、たまたま『GQ』の鈴木編集長とTBSの『有吉ジャポン』でご一緒してるんで、コネの匂いが(笑)。

おち いやいや、2012年は有吉さんにとってものすごく思い出深い年だったと思うんですよ。

有吉 忙しさは11年が上だったかもしれないですけど、MCの仕事が増えたんで大変でした。基本的に目立っちゃいけないってのがあって。目を付けられると叩かれちゃう。二番手、三番手がいいというのが持論なんで。

おち 男が男を称える賞なんですよ。

有吉 応援してますとか、目に見えるファンは女の人が多いけれど、ターゲットとしては常に同世代の男の人を狙ってやってるんで、うれしいっちゃうれしいです。インチキのやつには、なんにも感じないですけど。

おち 僕、有吉さんがプライベートなことを話してるのを聞いたことがないんですよ。まず雑誌に出ないですよね。あんまり対談とかもしないし。

有吉 そうですね、あんまりやんないですね。結局伝わらないと思ってるんで、ニュアンスとか。ムダに悪くされたり、カッコよくされたり、名言にされたりとか。そういうのはちょっと恥ずかしい。本当はそれをイジってもらえるからいいのはわかってるんですけど、でもやっぱり叩かれるのが怖くて。「電波少年」のときの思い出で。

おち そうなんだ、そこなんだ。

有吉 まったくそこですね。

おち 「電波少年」の後、あだ名で脚光を浴びるまで7年間ぐらいかな、あの時期の葛藤とか、エネルギーの溜め方とかすごいでしょ。だって、ずっとテレビ見てたわけですよね。

有吉 そうですね、テレビしかやることないですから。朝から放送が終わるまで、ずっと見てました。

おち ご飯とかは? 適当に食べたり?

有吉 一日一食、スーパーでお買い得品になる時間までちょっと待って、節約して。

おち それで画面見てぶった斬って、あだ名つけて。

有吉 怨念ですよね、屈折もしてましたし。

人には恵まれていたと思います>>>

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