「ヘビーメタル」をもじって「ベビーメタル」に

――「AKB48」や「ももいろクローバーZ」の他、さまざまなアイドルが存在する中でBABYMETALは異彩を放つグループだ。なぜ、メタルとアイドルを組み合わせようと考えたのか。

代表曲の「ヘドバンギャー!!」を持ち、熱弁をふるうKOBAMETAL氏
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KOBAMETAL氏(以下、KOBAMETAL):単純に、自分がメタルもアイドルも好きだったという理由が大きい。

 例えば、「Perfume」というテクノとアイドルを組み合わせた成功例がある。これを自分が新しく作るならば、アイドルに組み合わせるのはメタル以外にはないと思っていたところ、メインボーカルのSU-METAL(さくら学院の中元すず香)に出会った。そして、彼女の良い意味でクセがなくストレートな歌声を聴き、「メタルアプローチの曲を少年少女合唱団が歌う」ようなイメージを表現できるのではないかと感じたのが初めだ。

 自分はアイドルも好きだが、もともとは大のメタルファンで、そのメタルへの愛情を込めた新しいタイプのアイドルユニットとして誕生したのがBABYMETAL。そのため、「アイドルの仮面をかぶったメタルダンスユニット」という側面が強く、アイドル界のダークヒロイン的存在に成長すればと思っている。

 BABYMETALでは、メンバー3人のかわいらしさとメタルの激しさとのギャップ感を大切にしている。「ヘビーメタル」をもじった「BABYMETAL(ベビーメタル)」というネーミングは“お告げ”によって降りてきたものだが、“BABY”でかわいらしさ、“METAL”で激しさをわかりやすく示すことができ、また「新しいメタルが誕生する」という願いも込めて採用した。

――メタルとアイドルを融合させるにあたり、楽曲作りなどで心がけていることは何か。

KOBAMETAL:楽曲にしても、ライブ演出にしても、過去にメタルシーンを築き上げてきた先人たちへの愛情と尊敬を込めてオマージュしつつも、決して懐古主義にはならないようにアレンジし、メンバーに体現してもらおうと努めている。今までもメタル風味のアイドルソングはあったが、BABYMETALの場合は、まずベースに本格的なメタルサウンドありきのアイドルソングをイメージしている。

 メタルは非常に細分化されたジャンルで、一言で語るのはとても難しい。パブリックイメージとしてのメタルは、長髪でレザーの服を身にまとい、尖ったギターで「ギャーッ!!」とシャウトするというような感じかもしれない。しかし、日本のメタルシーンだけでも、いわゆるアイアン・メイデンに代表される正統派メタル、マキシマム ザ ホルモンのようなミクスチャー・コア系、パンクやハードコアの混じったエモ・スクリーモ系、ヴィジュアル系のなかでもメタルアプローチを取り入れたV系メタル、などさまざまなタイプが存在する。

 各ジャンルでメタルの世界観が異なるため、バンド形式の場合は音楽性を変えることが容易ではない。その点、BABYMETALはアイドルからメタルへアプローチしているため、バリエーション豊かな展開ができる。また、それが楽曲に合わせてメンバーの良さを引き出すことにもつながると考えている。

ステージで「いいね!」を披露するBABYMETAL
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