アイドルソングに「デスボイス」をミックス
――そもそもBABYMETALのメンバーはどうやって選ばれたのか。
KOBAMETAL:BABYMETALは、さくら学院の重音部という位置付けだが、企画自体はメインボーカルのSU-METAL(中元すず香)が所属していた「可憐Girls」が09年に解散となった辺りから構想していた。
SU-METALを中心としてメンバーを探したが、彼女が独特な存在感を持っているので、まったく別のキャラクターを加えるのがいいのではという結論に至った。そこで、SU-METALの周りを天使のような子たちが踊っているのはどうだろうと、YUIMETAL(水野由結)とMOAMETAL(菊地最愛)に参加してもらうことになった。
BABYMETALはアイドルソングにデスボイスやスクリーモを取り入れた試み、ブレイクダウンパートなどが話題になることが多いが、これらも彼女たちのポテンシャルがなければ成立しない。思い切ったことをしたいと楽曲や演出を考えても、それを体現するメンバーたちの歌唱力や身体能力、3人の絶妙なバランスが欠けていれば、うまくはいかなかっただろう。
――7月にリリースされた「ヘドバンギャー!!」では、メタルに造詣の深い「COALTAR OF THE DEEPERS」のNARASAKI氏が作曲を手掛けている。楽曲作りはどのように行っているのか。
KOBAMETAL:どの曲も、楽曲のコンセプトを先に立ててから作曲家に発注する。発注の段階では、コンセプトや歌詞の雰囲気、曲調、振り付け、ライブパフォーマンスと観客の反応までをすべて想定している。「ヘドバンギャー!!」では「ヘドバン(ヘッドバンギング)」をテーマに発注した。
個人的なイメージとしては、ヴィジュアル系シーンへの愛情と「なんだこれは?」という“ストレンジ感”を同時に感じられるものにしたいと考えていた。そのため、歌詞にあえて「咲く」「ドセン」「逆ダイ」など、“バンギャ”と呼ばれるバンドファンの女性が使う用語を入れたり、「the GazettE」のファンのライブパフォーマンスである「土下座ヘドバン」をオマージュしたりしている。
「ヘドバンギャー!!」に限らず、作詞、作曲、ミックス、振り付けの方々とは、かなり綿密に話し合って作業を行っている。NARASAKI氏とも相当な回数のやりとりを繰り返し、「シンバルの位置をここにしたい」など、かなりの細かい部分まで相談させていただいた。
Bメロでは、アイドルファンの方でもノリやすいよう、いわゆるヲタ芸の「PPPF(パン・パパン・ヒュー)」をなぞったリズムを敷いている。ここも、アレンジの段階でNARASAKI氏と話し合い、ドラムをツーバスにしてメタルらしく仕上げてもらっている。