アルゼンチン政府の債務(借金)問題の解決が暗礁に乗り上げた。全額返済を求める米投資ファンドとの対立を期限までに解決できず、一部投資家への利払いができなくなって米格付け会社が債務不履行(デフォルト)と認定したのだ。

 アルゼンチン政府は2001年、借金が返せなくなり破綻(はたん)した。そのうち民間から借りていた約1千億ドルについては、金額ベースで93%の投資家と、返済額を約7割減らすことで合意し、新たな国債と交換して利子を払ってきた。

 しかし減額に応じなかった一部の米投資ファンドが提訴。米国の裁判所は今年6月、ファンドに全額を返さない限り、新たな国債への利払いを認めないと判断。アルゼンチン政府とファンドが協議を続けてきたが、合意できなかった。

 アルゼンチンは01年以後、国際的な金融市場から事実上、締め出されており、今回のデフォルトが世界の金融市場に与える影響は小さいとみられる。

 しかしアルゼンチン経済にとっては痛手だ。アルゼンチンは約100億ドルの公的債務の返済について、パリクラブ(主要債権国会議)と今年になって合意するなど、国際市場への復帰を目指していた。それが当面、難しくなる。外貨準備が減っていくなか、自力での経済再建を目指さざるを得ない。

 ファンドにとっても、資金力の乏しいアルゼンチンを追い詰めて得られるものは少ない。両者は妥協点を探るべきだ。

 今回の混乱を直接招いたのは米裁判所の判断だ。「減額に応じなければ一切利子を払わないのは、国債発行時に定めた債権者平等条項に反する」というファンドの主張を認めた。

 債務者の支払い能力を考慮して大多数の債権者が合意した債務削減計画を無視するような判断には疑問が残る。一国の司法判断が国際的な債権者の合意を台無しにした事実は重い。今後、債務問題で、債権者の合意を得ることが難しくなるかもしれない。

 最近は、一定割合の債権者が債務の減免に合意すれば、債権者全体に強制的に適用される「集団行動条項」を発行時に定める国債が増えている。しかし同じような文言でも、国によって司法の解釈が分かれる可能性は残る。

 国際通貨基金(IMF)は00年代前半、こうした問題に対する法的な枠組みづくりを検討したことがある。が、合意が得られずに棚上げになった。再挑戦することも一案だ。