【ワシントン=矢沢俊樹】米労働省が1日発表した7月分の雇用統計=速報値、季節調整済み=によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数は前月に比べ20万9千人増えた。20万人を超えるのは今年2月から6カ月連続。建設、自動車など幅広い業種で底堅い伸びを示した。
7月の失業率は6.2%と、前月から0.1ポイント上昇した。雇用者数の伸びは市場予想の22万人を下回った。同日改定した6月分の雇用者数は29万8千人増と速報値から1万人増えた。5月も22万9千人増と5千人の上方修正だった。7月は5、6月よりやや勢いが鈍ったものの、景気回復を追い風に雇用の比較的安定した伸びが続いている。
6月までの過去12カ月の雇用者数の伸びは月平均20万9千人。今年2月以降は20万人を超える水準を維持し、5~7月の3カ月に限ると月平均の伸びは24万5千人となる。
米連邦準備理事会(FRB)は利上げなどの出口戦略にあたり雇用者数だけでなく長期失業者やパートタイム、賃金などを幅広く検討する。米連邦公開市場委員会(FOMC)がパートタイム人口の高止まりなどを念頭に「著しい労働力の未活用がある」と警戒するなど、労働市場が抱える構造問題への懸念は強い。
イエレン氏らは賃金伸び悩みや根深い労働市場のひずみに着目する。不本意な非常勤に甘んじているパート人口は750万人超と高水準で、改善のテンポは鈍い。経済的な理由によるパートや技能の劣化や機械化に伴い職探しをあきらめる人も含めた「広義の失業率」も12%程度となお高い。2008年の金融危機前は8%程度にとどまっていた。