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【社会】

集団的自衛権 長崎「平和宣言」に盛る

2014年8月1日 13時53分

 広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は一日、六日と九日の原爆の日に式典で読み上げる平和宣言の骨子を公表した。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、広島は言及しないのに対し、長崎は集団的自衛権の文言を盛り込むことを明らかにし、国民の中に広がった平和への不安と懸念に耳を傾けるよう政府に要請する。二つの被爆都市で姿勢に違いが出た。

 田上市長は一日の記者会見で「核兵器をなくし、戦争をしないという長崎の原点を伝える」と強調。「状況を整理するため(集団的自衛権という)言葉を入れた方が伝わりやすいと考えた」と説明した。集団的自衛権の行使を可能とした政府の閣議決定には触れないという。市のこれまでの文案では「集団的自衛権」の文言は含めず、念頭に置いた表現にとどめていた。

 平和宣言ではほかに、核兵器保有国や「核の傘」の下にいる国と、核兵器禁止を求める国との対立に危機感を示し、解決するための積極的な取り組みを日本政府に要請する。東京電力福島第一原発事故の被災地の現状を指摘し、復興への願いと支援も述べる。

 被爆者や有識者らで構成する起草委員会が五〜七月に会合を三回開催。そこでの議論を参考に、市が取りまとめた。会合では、集団的自衛権をめぐる閣議決定への批判が委員から相次いでいた。

 一方、松井市長はこの日の記者会見で、集団的自衛権に触れなかった理由を「平和主義をうたうことで、さまざまなことへの立ち位置を明確にできる。包括的な考え方で基本的な姿勢を示した」と説明。

 東日本大震災後の宣言で触れてきた被災地や福島第一原発事故、エネルギー政策にも今回は言及していない。松井市長は「総合的な判断で国が決定していくべき課題」と述べた。

(東京新聞)

 

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