転生?まあ、適当に生きるよ。 (バカまる)
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アインスのフラグ回です。

ではでは、どうぞ。



俺と祝福は共に一時を過ごす。

こんにちは、佐藤輪弥だ。

シュテルが俺の家族になってから数日が過ぎた。

魔法組にはシュテルの事は紹介している。

それから、俺の家族としてシュテルは迎え入れられている。

まあ、そのせいで問題が多々起きるが……。

シュテルがなのはに「私は先に輪弥と家族になりました。」と言えば戦争が起き……。

なのはが「それなら結婚は出来ないもん!」と言って戦争が起きた……。

まあ、他にもシュテルとなのはが俺の世話をどちらがするかとかで魔法戦争が何度も起きたが……。

そして、二人が戦争をしている間にツヴァイが俺に甘えているのを見つけると、俺に光線をぶつける戦争に発展する……。

取り敢えず、それさえ除けば現在の生活は割りと良好だ。

それじゃ、現状報告はこの辺りまでだな。

今日俺はアインスに呼ばれて駅前に向かっている。

何でも、助けてくれた時のお礼がしたいそうだ。

それで今日は一緒に食事をしたり、映画を見たり、色々してくれるらしい。

今日はツヴァイもなのはもシュテルも個人の用事がある。

ツヴァイは今日は聖王教会でメンテナンス、なのはは休日登校でシュテルは最近ハマっている昼ドラで留守番……。

シュテル以外は狙ったとしか思えない……。

大方仕組んだのははやて辺りだな。

まあ、折角のお誘いだ。

これでアインスの気が済むなら付き合ってやるか。

俺はアインスと待ち合わせしている場所に向かって行った。



















「よう、待ったか?」


「い、いや。 今来た所だ。」


待ち合わせしていた場所に着くと、既にアインスは来ていた。

今来た所なんて言っているが、周りの視線が大分前から居たことを物語っている。

【オーディンの瞳】で事前に調べておけば良かったな。


「そうか。 もう少し早く来れば良かったかな。 男が待つのが普通何だろ?」


「さ、さあ? 私はそういう事には疎くてな……。」


アインスはそう答えると、服を掴んでモジモジしていた。


「ん? 珍しいな、アインスがスカート履くなんて。」


「あ、主がこれを着て行けと……。」


アインスの格好は全体的に暗い色でコーディネートしているが、それが綺麗な銀髪を引き立てている。

直球で言うと……


「可愛いな。」


「か、可愛っ!?」


「ああ、似合ってるぞ。」


周りの男から嫉妬の視線が飛んでくるが無視だ。


「さあ、そろそろ行くか。」


顔を真っ赤にして俯いているアインスの手を掴むとビクッ とするがそのまま手を引いて歩いていく。


「り、輪弥。 その、恥ずかしいのだが……。」


「まあ、その内慣れるさ。」


正直な話、これはなのはに対する裏切りなるので気は進まないが、なのはには事前に話してある。

なのはも「お礼を受け取られないのは気に病むかも知れない」ということで許可してくれている。

まあ、婚約者の公認だ。

今日は楽しむとするか。


「アインス。」


「な、何だ輪弥?」


「今日は宜しく頼むよ。」


「あ、ああ、任せてくれ!」


俺達はお互いに笑顔になると最初の目的地に向かって歩きだした。



















「まずは映画館か……。 デートだと二回目だな。」


「で、デート……。 ……えっ? 二回目?」


「ん? ああ、なのはと一度な。」


「そ、そうなのか……。」


アインスはしょんぼりしたように俯いてしまった。

あ~、失敗したか?

余り余計な事は口走らないようにしないとな。


「その、何だ。 年上の女性とは初めてだ。」


何言ってんだ俺は……。

こんなので解決するわけ――


「そ、そうか! 年上とは初めてか。 ふふ。」


うん、アインスもアホの子らしい……。

まあ、態々機嫌を悪くする必要はない。

俺は引き吊った笑顔で「そ、それじゃあ行くか。」と既に用意されていたチケットを片手にアインスの手を引きながら場内に入って行った。



















場内は既に暗くなっており、上映中の注意を呼び掛ける映像が流れていた。

俺とアインスは指定された椅子に座ると上映開始まで待つことにした。

その間に俺は【人類のおもちゃ箱】からジュースやらポップコーンやらを出して準備していた。

俺の【人類のおもちゃ箱】には食品複製の『プログラム』【ディナーワルツ】で保存食からフォアグラまで揃っている。

【人類のおもちゃ箱】の中は時間の概念が存在しないので物が腐ったり劣化したりする事はない。

食事一つ出来ない森に放りこまれても三年は生きていけるぞ。

特にお気に入りの料理はなのはの愛妻弁当だ。

どんな高級料理よりも、これ勝るものはない。

たまに学校で食べていると、顔見知り男がオカズを奪おうとするが玉が潰れる幻痛で許してやっている。

本当なら666の拷問をする『プログラム』【オーメン】で精神破壊してやる所だが、なのはの料理で幸せな気分になっている俺にはそこまで出来ないのだ。

最近はツヴァイやシュテルも料理を作ってくれるので、そちらも楽しみにしている。

何? 映画館に持ち込みは禁止?

最低限のルールは守れ?

仕方ない、常識を変える『プログラム』【ノーマルアブノーマル】で一時的にこの映画館の常識を変えよう。

これで安心だな。

俺はそんな事を考えながら時間を潰していた。

…………おい誰だ! ネーミング中二って言った奴! 出てこい!



















『……遊ぼう?』

『キャー!』


…………何だこのB級ホラー映画は……。

周りの観客を見てみろ。

「何だよこれ。 こんなので金取るのかよ……。」って顔をしてるぞ。

こんなの誰も怖がら――


「り、輪弥! 何だあの少女は! 物理攻撃が効いていないぞ!? これじゃあきっと魔法も効かない……。 地球にはこんな存在が居るのか……? 怖い……。」


居たよここに……。

何? お前はホラー映画を見たことが無いのか?


「アインス? このパンフレットを見ろ。 な? フィクションって書いてあるから。 だからそんなに力一杯抱きつくな……。」


「い、嫌だ……。 暫くこのまま……」

『キャー!』

「いやぁー!」


……何この可愛い生物。

あ~、そう言えばツヴァイもホラー苦手だったな。

二人でホラーを見ている時に、胸ポケットから顔だけ出して幽霊のシーンになるとポケットの中で丸くなってガタガタ震えてたな。

遺伝? なのか?















『キャー!』

「いやぁー!」


「……はあ~。」



















「は、恥ずかしい所を見せてしまったな……。」


「いや、ビビってる時は可愛かったぞ?」


「ま、また可愛いって……。」


俺達はあのB級ホラーを見たあと、そろそろ良い時間帯になったので食事に向かっている。

【人類のおもちゃ箱】から出しても良いが、それだと折角誘ってくれた相手に失礼だろう。


「それで? 何処の店に行くんだ?」


「り、輪弥。 じ、実はだな。 主に習ってサンドイッチを作って来たんだ。 食べて……くれるか?」


「ああ。 それじゃあ、あそこのベンチで良いだろ。」


俺達は手近にあったベンチに座って食事の準備を始めた。


「じ、じゃあ輪弥。 食べてくれ。」


アインスが出したサンドイッチは綺麗に整えられていて食欲を誘ってくれた。


「ん、頂くよ。」


「ちょっ、ちょっと待ってくれ。 その、あ、あーん。」


俺が掴んで食べようとすると、アインスに引き留められてサンドイッチを差し出された。

……これは、なのはとした事があるが、他の女性とするのはちょっと気が引けるな……。


「い、嫌か?」


頼むから泣きそうな声で言わないでくれ……。

お前そんなに弱々しかったか?


「……あーん。」


俺が口を広げるとアインスは途端笑顔になってサンドイッチを口の中に入れた。

その瞬間、本当に只のサンドイッチなのかという味が口の中に広がる。

俺は急いで咀嚼して飲み込んだ。


「……アインス。 本当にこれはお前だけで作ったのか?」


「……じ、実はシャマルに手伝ってもらった……。」


なるほど、この謎の味の説明がついた。

トマトでさっぱりとした味がある筈なのに、それを殺して口の中に広がる毒々しい味。

パリパリで水分を含んでいる筈のレタスは、まるで飴玉を噛み砕いているように水分一つなくガリガリである。

一体何をどうしたらこんな味になるんだ……。


「あ、アインス。 俺は今凄く腹が減っている。 だからそれを全て寄越せ。」


「り、輪弥? 顔色が悪いぞ?」


「い、良いから! お前はこれを食べておけ!」


俺はアインスに【人類のおもちゃ箱】から取り出した適当な喫茶店のサンドイッチを渡して、急いで全てのシャマル製サンドイッチを胃に納める。

噛むのは数回までだ……!

余り噛みすぎると味が味覚を破壊する!

舌が味を認識する前に飲み込むんだ!

こうして、俺は初めて食に対する恐怖を覚えた。


「うっ! あ、アインス。 少し手を洗って来るよ。」


早すぎる!?

もう腹痛を起こしているだと!?


「あ、ああ。 行ってこい。」















「あ、一つ残っているな。 そんなに美味しかったのか? 」



















「輪弥……その、すまなかった……。」


俺がトイレから帰って来ると、いきなりアインスに頭を下げられた。


「いきなりどうした?」


「あのサンドイッチ……不味かっただろ? 一個残っていたから食べたんだ。 そしたら……。」


しまった……、布で隠れていたのか。


「無理して食べなくても良かったんだぞ。」


「……まあ、折角作ってくれたんだ。 食べなきゃ失礼だよ。 それに、何個か普通に美味しかったのがあったからな。 シャマルが手を加えてなかった物だろう。 お前のサンドイッチは美味しかったよ。」


「……ありがとう。」


アインスは俺に笑顔でお礼を言った。






















それから俺達は色々な所に行き、最後にと遊園地を廻って観覧車に乗っていた。


「魔法以外で高い所に来るのも良いものだな。」


「そうだな。 俺は最近高い所に行くには能力を使っていたからな。」


「そうなのか? 確かに、自分で風を感じるのも楽しいな。」


俺の場合は楽だからなんだが……、言えないよな……。

そうして暫く雑談をしていると、アインスが申し訳なさそうな顔をして話しかけて来た。


「輪弥……今日は迷惑ばかりかけてしまったな……。」


「そんな事ないぞ?」


「いや、本当にすまなかった。 サンドイッチ……私に食べさせない様にしてくれたんだろ?」


「……ああ。」


「今日は楽しんで貰おうと思っていたのに……、本当にすまない……。 これではお礼なんて言えないな……。」


確かに、楽しんで貰おうとしていたのに、失敗ばかりすればそう思うのかもな。


「なあ、アインス。 失敗ばかりすれば、楽しく無いのか?」


「えっ?」


「そうじゃないだろ? 例えば、そうだな。 隠れんぼって遊びが日本にはある。 それは鬼に見付からないように隠れる遊びだ。 鬼に見付かられば負け。 見付からなければ勝ちだ。 さて、確かに勝てば面白い。 だけどな、勝ち続けると、いつか楽しくなくなるんだ。」


「……それと、何の関係があるんだ?」


「つまりは簡単な話なんだよ。 人生は刺激があるから面白い。 いつかは鬼に見付かるから隠れんぼは面白いんだ。 今日アインスが用意してくれた通りに進んだとしよう。 確かにある程度は楽しめる。 けれど、俺はただ淡々と進む無機質な事に刺激を感じない。 だから俺にとっては、アインスが用意してくれた失敗という名の刺激はとても面白かった。 なあ、アインス。 もう一回聞くぜ。」


失敗ばかりすれば、楽しく無いのか?


「……輪弥……ありがとう……。」


そう言ったアインスの顔は、今日一番の笑顔だったと思う。





















最初は、本当に感謝したいだけだった……。

バグプログラムを無くし、助けてくれた輪弥に。

けれど、主が用意してくれたプランをシュミレーションする度に胸がドキドキして、よく分からない気持ちになった。

原因を探そうと輪弥の事を考えれば、顔が熱くなった。

そして今日、輪弥に他の女性の話をされると胸が苦しいと感じた。

それでも、何とか輪弥に楽しんで貰おうとする度に失敗をする。

シュミレーションを何度行っても無駄だった……。

私は、観覧車に乗っている時に輪弥に謝る事にした。

しかし、返ってきた言葉は私のシュミレーションには出てこなかった台詞。

『失敗ばかりすれば、楽しく無いのか?』

それは、正確な補助をする為に存在するデバイスの私には意味が分からなかった。

それでも、輪弥は言葉を繋げていく。

最後まで説明をされたが、デバイスにとっては理解出来ない事だろう。

けれど、私の中の何かが納得してしまった。

そして、気づいてしまった。


「輪弥。 普通ならば私達デバイスには分からない。 けれど、理解出来なくとも私は感じたよ。 きっと、私はその事に気づいてしまったから、きっと輪弥を好きになったんだ……。」













はい、終わりました。
アインスには最初からフラグが建っています。
今回の話は補強工事ですね。
取り敢えずはこれでヒロインのフラグは終了です。
他の女性は「転生?まあ、適当に生きるよ。if」を作成し、そちらでフラグを建て各ルートを作成します。
こちらの方でフラグを建てたヒロイン達もifの方でルートを作成します。
次回からはいよいよ輪弥君がお仕事を開始します。

ではでは、読んでくれた方
感謝の極み。


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