転生?まあ、適当に生きるよ。 (バカまる)
<< 前の話 次の話 >>

A.s編の最後の話。
ではでは、どうぞ。



祝福の風は幸運のベルを鳴らす。

こんにちは、佐藤輪弥だ。

あれから少し経つと、はやては初めて魔法を使った故の疲労で倒れた。

異常はないらしが、暫くは眠るそうだ。

その後、アースラに帰った俺達は銀ちゃん、リインフォースと話していた。

リインフォースは再生機能のせいでバグプログラムを消せないと言った。


「なあ、俺の希少能力で修正は出来ないのか?」


「輪弥、お前の能力はプログラムを弄る事が出来るんだったな。」


「ああ、正確には違うけどな。 だからバグプログラム位なら」


「それは無理だ。」


俺が言い切る前にリインフォースは遮った。


「私のプログラムは既に直す領域じゃない。 だから、無理なんだよ。」


リインフォースの言葉で俺達は沈黙した。


「ねぇ、輪弥さん。 何とかならないの?」


なのはが俺に聞いて来るが、それはさっき否定されたばかりだ。

だから俺は黙るしかなかった。

なのはが涙を溜めて俺を見てくるが、俺は何も言えなかった。



















俺がアースラを降りた後、次の日になった。

リインフォースは今日消えると言っていた。

俺はその場所には行かず、街をぶらついていた。

例え会って少ししか経っていなくても、俺には耐えられそうになかったからだ。

コンビニに寄った俺はコーヒーを買うことにした。


「120円になりまーす。」


今日もやる気のない店員はいつもと同じように語尾を伸ばしながら応答していた。


「120円丁度お預かりしまーす。」


俺はコーヒー片手にコンビニを出た。


「あざーした。」


俺はどこに行くでもなくぶらぶらしていると、いつの間にか路地裏に居た。

そう言えば、ここでなのはを初めて見たんだったな。

物思いに更けていると、突然後頭部を強打された。


「全く、仕事が大変っすね。」


そんな声を意識を失う前に聞いた気がした。












side out





リインフォース side




私は主はやてと共に防衛プログラムを倒したが、別れの運命は避けられなかった。

私を止めてくれた魔道師の娘二人に閉じて貰う事を、私は望んだ。

だが、私が消える前に主はやてが来てくれた。

「私が抑える」と言ってくれたが、それは無理だろう。

だが、消える前に、主はやての顔が見えて良かった。

最後にもう一度、ここに居る皆の顔を見渡して見る。

あの男、輪弥は来てくれなかったんだな……。

まあ、それでも良い。

私は自分の運命を受け入れ、瞳を閉じた。

どこからか、鈴の音が聞こえる。

そして歌も、この歌は確か、この星のクリスマスの歌だったな。

名前は確か……。


「起動。【赤鼻のトナカイ】!!」


その声が聞こえた時、目の前に何かが落下してきた。

そこに居たのは……。



「り、輪弥さん!?」


私を止めた少女、なのはが声を上げた。


「よっ、何とかなったぞ。 なのは。」


あの男、佐藤輪弥、守護騎士にプログラマーを名乗った男が居た。




side out




輪弥 side





俺は、突然意識が戻った。

本当に突然だったのだ。

何が起きてるかわからない。

だけど、情報だけは 頭に入って来ていた。

いや、正確には情報じゃなく、『プログラム』の完成した物が頭に記録されていた。

頭に入ってあった『プログラム』は二つ。

【赤鼻のトナカイ】と言う『プログラム』だった。

更には、下がっていた演算能力が元に戻っていた。

俺は逆さまになって落下しているので上、正確には下に顔を向けた。

下ではリインフォースの足元に魔方陣が出現していて、もう消える直前らしい。

俺は頭の情報に従って『プログラム』を起動した。


「起動。【赤鼻のトナカイ】!!」


俺が『プログラム』を起動すると、俺を含めたあらゆる物が静止した。

俺は地面に着く直前で止まっている。

すると、俺の隣に白い人の形をした物が唐突に出現した。


「こんにちは。 私は初代夜天の書の主です。 あなたですね、私を呼び出したのは。」


「あ……、声は出るな。 さあ、わからない。 だけど、『プログラム』の内容通りなら、お前を呼びつけたのは俺だ。」


俺が答えると、白い人の形をした物、初代夜天の主が笑った気がした。


「それで、私はどうすれば?」


「ああ、あんたには、あの箱を開けてもらいたい。 そして、中に居るあんたの元にデバイスを出してやってくれ。」


俺はリインフォースが居た場所に出現した、白い箱を目で教えた。


「わかりました。 では……。」


初代夜天の主が箱を開けると、リインフォースが静止する前と何一つ変わらずに居た。


「これでいいのですか?」


「ああ、ありがとう。」


「いえ、では私はこれで。」


初代夜天の主は粒子となって消えて行った。

それと同時に、世界が動き出す。

俺は物理法則に従ってすぐ下に落下した。


「り、輪弥さん!?」


なのはの声が聞こえ、俺は立ち上がりながら言った。


「よっ、何とかなったぞ。 なのは。」


「何とかなったって……。 リインフォースさん、直るの!?」

なのはは此方に来ながら驚いていた。


「輪弥。すまないが、昨日も言った通り、もう直す何てレベルでは」


「確認してみな。」


「えっ?」


昨日とは違い今度は俺が遮ってやった。


「バグプログラム、もう無いんじゃないか?」


「!?」


俺がそう言うと、リインフォースは驚いた顔をした。


「何で、防衛プログラム改竄前に戻っている……。」


「えっ? じゃあ、リインフォースは消えんでええんやな? さよならせんでかまへんのやな?」


はやてが鳴き声で俺を見ながら聞いて来たので、頷いて肯定した。


「り、リインフォースぅぅ!」


はやては泣きながら車椅子に乗ると、リインフォースに向かって行った。


「輪弥さん。 何したの? 昨日は何も言わなかったのに。」


なのはが聞くと、その場に居た全員が俺を見てきた。

俺は、笑いながらこう言った。


「さあ? 祝福の風が、サンタさんの幸運のベルを鳴らしたんじゃないか。」


俺は人差し指を立て、上空を指差した。


空からは、鈴の音と歌が聞こえていた。





















あれから、俺は戻った演算能力で【ポジションカットペースト】を使い家に帰っていた。

あの時、俺がやった事は簡単だ。

一回切りのクリスマスプレゼントの『プログラム』。

簡単に説明すると、一時的な死者蘇生とシュレーディンガーの猫の合わせ技である。

シュレーディンガーの猫、これは簡単に言うと、箱の中を毒で充満させて猫を箱に入れる。

中の様子がわからない観測者は勿論、猫の生死もわからない。

観測者の認識も含めた物にするべきだと言うアレを能力で絶対に起こるようにした。

よって箱の中身が観測者によって変わる、って言う風に変化したのが俺の使った能力なのだ。

初代夜天の主が夜天の書を持っていた頃は、勿論バグプログラム何てなかった。

故に初代夜天の主が観測したリインフォースは元の状態に戻ったのだ。

これが、俺が起動した一回使えば消滅してしまった、クリスマスプレゼントの『プログラム』、【赤鼻のトナカイ】の正体だ。

これにより、闇の書事件は終結した。

あ、あと、俺にもクリスマスプレゼントがあったぜ。

それは、もう一つの『プログラム』、俺がずっと前から作っていたが完成させる事の出来なかった『プログラム』だ。

その『プログラム』の名前は【ブラックボックス】。

削除と復元、インストールとアンインストールそして絶対優先の『プログラム』だ。

さて、これの説明はまた今度。

皆にも、祝福の風あらんことを。














side out








??? side




一人の男が上空に居た。



「全く、サンタ使いが荒いっす。」


男は一人愚痴を溢しながら艝に乗っていた。


「気に入った人間の為にこんな事までさせる何て……。」


鈴の音を鳴らしながら、トナカイが空を駆ける。


「まあ、良いっすけどね。 じゃあ、メリークリスマス。」


男が歌い出したのは、赤鼻のトナカイ。


「では、今年も頑張りますか。 あざーした。」


男、やる気のない店員は夜空を移動しながら言った。









バカまるです。
シュレーディンガーの猫に関しては自信無いです。
確かこんな仮説じゃなかったかなぁ~、で書いてしまいました。
次回からは閑話になります。
そんなに長くはならないと思いますので宜しくお願いします。
ではでは、読んでくれた方
感謝の極み。


<< 前の話 次の話 >> 目次 ページの一番上に飛ぶ