転生?まあ、適当に生きるよ。 (バカまる)
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ではでは、どうぞ。
暴走体は気味が悪い。
やあ、佐藤輪弥だ。
現在俺は黒幕と思わしき銀髪の女性、仮名称銀ちゃんと対峙している。
銀ちゃんは特になのはを狙い、俺は全然狙って来ない。
「なのは、お前何したんだ?」
「何もしてないよ! 私の偽物が守護騎士の皆を倒しちゃって、はやてちゃんは私が悪いと思ってるみたいなの!」
俺はなのはに近づくと『プログラム』を起動する。
『プログラム』名、【デスクトップ】。
これは、その名の通りデスクトップを参考に作っている。
デスクトップはアイコンをクリックしながら動かすと、好きなところにアイコンを移動させられる。
俺をアイコンと認識する事によってデスクトップ内、つまり視界に映る場所には大した演算も必要なく移動出来るのだ。
演算能力が低くなってしまった俺は、【ポジションカットペースト】の代わりに【デスクトップ】を開発した。
俺はなのはを抱き締めると、視界に映る出来だけ遠い場所へ移動した。
「なのは、とりあえずは、ってどうした?」
「はにゃあぁ~、恥ずかしいよぉ……。」
はあ~、俺だって恥ずかしいよ……。
だけど今はそれよりも。
「なのは、よく聞けよ? まず初めに、アイツは自分のプログラム下の元にはやてやフェイトを取り込んでるんだな?」
「えっ? あ、うん。 エイミィさんが今通信で見てるから、詳しく教えてくれたよ?」
なるほど、なのはは念話が出来たな。
俺は今リンカーコアは無いから、念話の声は聞こえないんだな。
「なのは、今から言うことをエイミィさんに伝えて、可能かどうか聞いてくれ。」
「うん、わかった。」
なのはは俺が言ったことをエイミィさんに伝えて確認を取ると、「可能ならそれで何とかなる。」と返事が来たそうだ。
「じゃあ、さっさとアイツら起こすとるか。 行くぞ?なのは。」
「うん、作戦道りにちゃんとやるの。」
なのはは俺達を探していた銀ちゃんに向かって飛んで行った。
さて、さっさと準備をしようかね。
side out
なのは side
私は今、輪弥さんに言われた作戦を成功させる為に、闇の書さんの所に向かっている。
「闇の書さん! 話を聞いて!」
「私は、主の願いを叶えるだけだ……。」
やっぱり、話が通じない。
でも! 話を聞いて貰う為だったら。
「レイジグハート、エクセリオンモード!」
私の声でレイジグハートは形を変え始める。
レイジグハートが形を変え終わると、先は槍みたいになっていた。
「一つ覚えの砲撃、通ると思ってか。」
「何としてでも、通してみせる!」
レイジグハートから羽が三つ出てきて、先の方に魔力刃が出来上がった。
「行くよ。 エクセリオンバスターACS!」
私が闇の書さんに飛び込むと、闇の書さんは障壁を張って防いだ。
だけど、私の攻撃は障壁を貫通してそこから砲撃を放った。
「ほぼゼロ距離からの攻撃、これで駄目なら。」
私の攻撃を受けた闇の書さんは煙に包まれている。
闇の書さんを包んだ煙は晴れ始め、姿が見えるようになってきた。
姿の見えた闇の書さんは傷一つなく、私を見下ろしていた。
「だけど、これで終わりじゃない。 これで駄目だったなら……。」
その時、闇の書さんの背後から輪弥さんが近づいて来た。
その手には、光の球があってそれを闇の書さんにぶつけようとしていた。
闇の書さんはすぐに気づいて障壁を張った。
「まあ、関係ないさ。 起動、【マスターキー】」
輪弥さんがそう呟くと障壁は砕けちった。
side out
輪弥 side
俺が起動した『プログラム』、【マスターキー】は『プログラム』に対しては絶対的な優位性を持っている。
欠点は、射程距離が短過ぎる事だ。
【マスターキー】の効果は、簡単に言えばハッキング。
あらゆる『プログラム』をハッキングして制御権を剥奪する事が出来る。
対魔道師用に作っていたが、効果は抜群だな。
あんな固そうな障壁を触れたただけで解除した。
俺はそのままの勢いで銀ちゃんに手を当てた。
「あぁ! グウッ!」
俺の手は触れた部分が光に包まれ、銀ちゃんの体に肘辺りまで入ってアクセスを開始した。
「命令を開始する。 八神はやてとフェイト・テスタロッサの捕獲プログラムを解除しろ。」
「命令を確認しました。 プログラムを解除します。」
「ああ、ついでにメッセージを頼む。 とっとと起きろって言っとけ。」
俺がそう言うと銀ちゃんは目を瞑り暫くすると目を開けた。
「ああぁぁ! 痛い!痛い!痛い!」
突然銀ちゃんの方から逆にハッキングされだした。
つっても、俺は人間だから脳に頭痛を与えられる程度だが。
それでも、痛い物は痛い。
俺は【マスターキー】を解除してとっとと離れた。
「輪弥さん、大丈夫?」
「頭が痛い……。 まあ、問題はないよ。 心配するな。」
そう言って頭に手を置いてやれば頷いて笑顔になった。
すると、突然なのはがビクッとなった。
「うん? どうした?」
「はやてちゃんから念話!」
ごめん、俺は聞こえない。
なのはが暫く応答していると、俺の方に向いて言った。
「輪弥さん、ユーノ君からも念話があったよ。 はやてちゃんを起こすにはぶっ飛ばしたら良いって。 分かりやすい。」
おいユーノ、確かに分かりやすいが少々過激じゃないか?
まあ、ユーノが言うなら間違いはないだろう。
「じゃあ、手伝ってやるから。 さっさと起こしますか。」
「うん! 行くよ! 全力全開!」
なのはは魔力を収束しだし、俺は『プログラム』を組む。
今回組むのは懐かしの【星の拘束】だ。
俺は魔力ダメージを与えられないからな。
俺が『プログラム』を起動すると銀ちゃんの周りの空間が歪み、そこから鎖が飛び出て銀ちゃんを拘束する。
銀ちゃんは抵抗するが、次のなのはの攻撃の時に起こる拘束の効果で完全に動けなくなった。
よくよく考えると、相手を動けなくしてからの攻撃は本当に鬼畜だな。
なのはのチャージが終わり、砲撃が発射されると変化が起きた。
上空には金色の魔法が上がり、銀ちゃんが居た場所には黒い淀みと白い球が出来た。
「なのは! 輪弥! 大丈夫!?」
後ろを振り向くと、ユーノとアルフが近づいて来ていた。
「フェイト!」
アルフは上空を見上げると、フェイトが金色の剣を手に浮いている。
すると、白い球は強い輝きを放ち、光の周りには守護騎士が現れた。
「我ら、夜天の主の元に集いし騎士。」
「主ある限り、我らの魂尽きる事なし。」
「この身に命がある限り、我らは御身の元にあり。」
「我らが主、夜天の王。 八神はやての名の元に。」
守護騎士達が言い終わると同時に、白い光の球は砕けちり、中からはやてが現れた。
はやては白い騎士甲冑を身に纏うと、守護騎士達に声をかけていた。
俺となのは達ははやてに近づいて行く。
俺を見ると少女が睨み付けて来る。
「何で睨まれなきゃいかんのだ。 お互い様だろ?」
「お前が私にしようとした事を思い出せ。」
「輪弥さん何しようとしたの!?」
なのはが必死になって聞いて来る。
「いや、特には。 拷問紛いの攻撃をしようとしただけだ。」
俺が平然な顔で言うと皆が皆引いていた。
「そんなに引くなよ。 あの時はなのはが危なかったからちょっと冷静じゃなかったんだ。」
俺の言葉でなのははニヤけていたが、他の皆は口々に「それでもやり過ぎだ。」と言っていた。
まあ、ここは素直に謝るか。
「その、すまなかったな。」
俺が謝るとはやては笑いながら「ええよ、ええよ。」と言ってくれた。
「それにしても、輪弥兄ちゃんも関係者やった何てな。」
「俺は魔道師じゃないけどな。」
はやては不思議そうな顔をするが説明の時間もなさそうだ。
「すまないな。水を差してしまうんだが、時空管理局執務官クロノ・ハラウオンだ。」
クロノは上空から降りて来ると説明を開始した。
「時間が無いので簡潔に説明する。 あそこの黒い淀み、防衛プログラムがあと数分で暴走を開始する。 僕らはあれを、何らかの方法で止めないといけない。 停止のプランは現在二つある。 一つ、極めて強力な凍結魔法で停止させる。 二つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔道砲、アルカンシェルで消滅させる。 他に良い手はないか? 闇の書の主と、その守護騎士の皆に聞きたい。」
クロノが説明を終えると、一人の守護騎士(シャマルだったかな?)が手を挙げて言った。
「え~と、最初のは多分難しいと思います。 主のない防衛プログラムは魔力の塊みたいな物ですから。 」
それに引き継ぎ、シクナムが言う。
「凍結させても、コアがある限り再生機能はとまらん。」
次に少女(ヴィータだったな。)が手をばつにしながら言った。
「アルカンシェルも絶対ダメ! こんな所でアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!」
その言葉でなのはが驚いた。
「そ、そんなに凄いの?」
「発動地点を中心に半径百数十㎞の空間を歪曲させながら、反応消滅を起こさせる魔道砲って言えば大体分かる?」
ユーノがなのはに説明すると、なのはとフェイトがクロノに近づいて反対する。
「あの、私それ反対!」
「同じく、絶対反対!」
「僕も艦長も使いたくないよ。でも、あれの暴走が本格的に始まったら、被害はそれよりは遥かに大きくなる。」
すると、通信が通じてエイミィさんから通話が届く。
今回は音声なので俺にも聞こえた。
あと数分で暴走するらしい。
「何かないか。」
クロノが聞くが良い案は守護騎士から出てこない。
「なあ、協力してくれるなら俺にプランがあるんだが。」
皆が俺を見て来て、クロノが聞いて来た。
「どんなプラン何だ?」
「現在俺は演算能力が低くなっているが、デバイスを使えば補助である程度は何とかなる。 だけど、リンカーコアを作成するだけの演算能力がない。 だから、カードリッジってのを使わせてもらう。」
「カードリッジを? いったい何をするんだ?」
俺はプランを説明していく。
「カードリッジの魔力を俺の体内に取り込んで、デバイスを使用する。 それなら、演算の補助が得られて、疑似空間を作成出来る。 そこなら、デカイ攻撃を当てても問題はないだろう。」
「そんな事もできるのか!? じゃあ、どれくらいの大きさを用意出来る?」
正直な話、演算出来る範囲ならどれだけ広くても問題はない。
空間の大きさは高さ、横、奥行きを数値として『プログラム』に組むだけだ。
集中力と時間があれば、幾らでも広く用意出来る。
「そうだな。 今から行うと……、太陽の二倍位かな。 足りるか?」
俺の言葉で皆ポカーンとしている。
何故だ?
「ま、まあ、それだけ広ければ問題ない。 アースラも連れて行けるか?」
「それは無理だな。 入り口を宇宙区間までは用意出来ない。」
「それじゃあ、決め手がないな。」
「まだプランは途中だぞ? 決め手の話に移る。 ユーノ、教えて欲しい事がある。」
「? なんだい、輪弥。」
俺は各自にプランを伝えて行動を開始した。
「全く、呆れるな。」
「そうだね。 まさかここまで何て。」
クロノとユーノが苦笑いしながら言うが知らん。
俺はなのはにカードリッジを数発貰い、魔力を体内に取り込んで、クロノに借りたデバイス、S2Uを起動させる。
俺の体にクロノと同じバリアジャケットが展開される。
前から思ったが、この肩の角は何なんだ?
S2Uからは、リンディさんの声で演算の補助が開始されるとの声が聞こえた。
俺はデバイスの補助を得て『プログラム』を組んで行く。
「起動。 【ポジションコピークリエイト】」
デバイスの補助は思った以上に凄かった。
考えていた時間よりも全然早く『プログラム』は組上がった。
俺が『プログラム』を起動すると同時に、防衛プログラムが出てくる。
一言で言えば……、とても気味が悪い……。
俺はさっさと【ポジションコピークリエイト】の入り口を防衛プログラムの足元に設定して落とした。
俺達は入り口をに向かって降りて行く。
創り上げた空間の中は一面真っ白で、おっさんに会った時の事を思い出した。
「じゃあ、プラン通りに行くぞ!」
クロノが声を上げると、各人動き出す。
まずは、バインドで触手が切り落とされ、次に防衛プログラムに張ってある障壁の破壊に移った。
「ちゃんと合わせろよ。 高町なのは!」
「ヴィータちゃんもね!」
「轟天爆砕! ギガントシュラーク!」
ヴィータがハンマーを変化させると、ふざけたレベルの大きさになり、障壁を砕いた。
「エクセリオンバスター! ブレイクシュート!」
なのはの攻撃で更に障壁が破壊される。
次に、フェイトとシグナムが動いた。
「駆けよ隼!」
シクナムのデバイスが弓に変形すると、発射された矢はすごい早さで向かい、障壁を貫いた。
「撃ち抜け、雷神!」
フェイトが振った剣の刀身は凄い長さに伸び、最後の障壁を切り裂いた。
「盾の守護獣、ザフィーラ。 攻撃なんぞやらせはせん!」
あの男、ザフィーラが魔方陣を出すと防衛プログラムの体を串刺しにした。
次にはやてが上の空間に魔方陣を出現させる。
「石化の槍、ミストルティン!」
はやての攻撃が当たると防衛プログラムは石化し始め、女神像みたいな物が砕けた。
しかし、すぐに防衛プログラムは石化していない部分から再生を始めた。
「攻撃は通っている。 プラン変更はなしだ。 行くぞデュランダル。」
クロノの足元に魔方陣が出現すると、防衛プログラムは凍り付き始めた。
「凍てつけ!」
防衛プログラムはそれでもまだ暴れるが、そろそろ俺の番だ。
お前が居なけれ、俺のパートナー死ななかった。
悪く思うなよ。
俺は『プログラム』を二つ同時に組始める。
「こんな便利な魔法があるなら、最初から教えて欲しかったぜ。」
俺は本来は魔力を必要とし個人では撃つことの出来ない魔法を魔力の代わりに、【スキルイミテーション】の源の力で代用する。
「さあ、後悔しろ! 起動【アルカンシェル】!」
俺は本来の『プログラム』を弄り、数分の一に威力を落とした【アルカンシェル】を発射した。
俺の放った【アルカンシェル】は防衛プログラムの体の大半を消滅させた。
しかし、これでは終わらない。
俺は同時に組んでいた『プログラム』を起動する。
「まだだ、まだ終わらんよ! 起動【リピート】!」
発動した『プログラム』は『プログラム』を任意の回数繰り返す『プログラム』だ。
これを使うと、『プログラム』を組み直す必要が無くなり、何度でも発動出来るのだ。
「あはは! 【リピート】【リピート】【リピート】【リピート】【リピート】【リピート】【リピート】【リピート】ぉぉぉ!!」
それからも俺は過剰までの攻撃を繰り返し、周りの全員を引かせた。
すると、どこからか声が聞こえた。
「うおぉぉぉ! トリプルアースブレイカー!」
そちらを見ると、やはりと言うべきか銀君が居た。
「「「「「また、お前か!!」」」」」
全員の心が一つになったと思う。
俺は無言で【アルカンシェル】を銀君に放った。
あれから、防衛プログラムは完全に消滅した。
銀君は俺が【ポジションコピークリエイト】を解除すると海に落ちたが、誰も助けようとはしなかった。
俺のパートナー……、敵は取ったぜ。
俺の心は晴れ晴れとしていた。
バカまるです。
A.s編は次で終了します。
だいぶ早く終わったな~。
ではでは、読んでくれた方
感謝の極み。
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だいぶ早く終わったな~。
ではでは、読んでくれた方
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