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【福井発】

高卒採用取りやめ 大卒「夏」も、関電が見直し

2014年7月31日

採用計画の見直しを発表する八木誠社長=30日、大阪市北区の関西電力本店で

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 関西電力の八木誠社長は三十日、大阪府北区の本店で定例記者会見を開き、二〇一五年度入社の定期採用者数を見直し、三百六十人から二百五十人に減らすと表明した。大学生対象の夏採用と高校生の採用を取りやめる。「原発の再稼働が見通せず、厳しい収支状況。苦渋の決断」と理由を述べた。高卒生の不採用は初めて。これまで高卒採用の一割程度は福井県の生徒だっただけに、しわ寄せを受けることになる。

 当初は技術職三百十人、事務職五十人の計三百六十人の採用を予定していたが、技術職二百人、事務職五十人に見直した。春採用で合格した大学生と高専卒業予定者には十月一日以降、内定を出す。

 関電によると、本年度入社では高卒全体百九人に対し、県内からは九人、昨年度は全二百三十五人に対し県内は二十七人だった。八木社長は「福井県の関係者をはじめ、当社を志望した学生、学校関係者に多大な迷惑をかけ、申し訳ない」と陳謝した。

 同日発表した四半期決算は、原発が稼働せず、火力燃料費や購入電力料がかさんだことで、営業費用が増加。二百九十億四千百万円の純損失で、三期連続の赤字になった。

 本年度入社は大卒者二百七人、高専卒業者七十二人、高卒者百九人の計三百八十八人。昨年度は五百五十八人、一昨年度は六百三人と採用者数を減らしている。

 また八木社長は、五人が死亡、六人が重軽傷を負った美浜原発3号機の蒸気噴出事故から八月九日で十年を迎えるのを機に、「遺族や負傷者の無念の思いを全社員が胸に刻み、再発防止対策と安全最優先の取り組みを続けてきた」と十年を振り返り、「あらためて原点に立ち返って、引き続き安全文化発展の取り組みを続けていく」と決意を述べた。

 電気料金の再値上げについては「原子力規制委による高浜、大飯原発の審査状況が大きく影響する」と述べ、原発再稼働が見通せない状況が続けば、経営効率化だけでは企業の維持が難しいと説明。「再値上げの検討の可能性もないわけではない」と述べた。 (塚田真裕)

 

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