大阪市公募校長:経歴にウソの証明書も 調査なしで採用
毎日新聞 2014年07月31日 23時08分
民間採用の男性校長2人が懲戒処分を受けた問題で大阪市教委は31日、経歴詐称などで免職にした西淀川区の市立小学校の元校長(51)が、海外展開する有名ホテルに勤務したとして、実在する外国人幹部の偽サインが書かれた虚偽証明書を提出していたことを明らかにした。市教委は警察への告発を検討している。
今年の校長公募は相次ぐトラブルを受けて関連経費が議会に削除されたが、市教委は7月に公募を始めた。関連予案は、補正予算案で計上する方針だが、議会の反発は必至だ。
今年5月に匿名の情報が寄せられて調査を始めた。元校長は応募書類に有名ホテルに約16年間勤務し、有限会社代表も務めたと職歴を記載していた。有限会社では「被災地支援のボランティア」をしたと説明したが、有限会社は実在していなかった。市教委は勤務先の裏付け調査はしていなかった。
一方、生野区の市立中学校の男性校長(38)=減給3カ月、31日付で自主退職=は今年3月に市教委事務局の更迭方針が一転し、留任した後に問題を起こしていた。市関係者によると、学校関係者の女性とのトラブルだったという。
橋下徹市長は定例記者会見で2人の懲戒処分について「生徒や保護者に迷惑をかけたことは申し訳ない」と話した。【寺岡俊、茶谷亮】
◇途中退職4人 トラブル続発の公募1期生
大阪市の公募校長を巡っては昨春以降、セクハラ問題などトラブルが続発した。今回の2人を含め、途中退職した4人全員が2013年4月採用の公募校長1期生だ。橋下徹市長は記者会見で「採用に問題があったことは否めない」と採用プロセスの検証などが必要との認識を示した。
13年度採用では書類選考後、1次面接が10分、最終面接は15分で民間人11人が採用された。14年度採用は面接時間を5〜15分延長。人間性や教育的識見を見極めることに力を入れた。
来年度採用には民間人144人が応募。教頭ら内部公募と合わせ、約70人を採用する。今回民間人の公募書類にはPTA活動などを含む「子どもや教育に関わった経験」の記述欄を設け、通常の面接に加えて集団討論形式も盛り込んでいる。【山下貴史】