岡本玄、中崎太郎
2014年8月1日12時56分
広島市の松井一実(かずみ)市長は1日、「原爆の日」の6日に開く平和記念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。来年が被爆70年となることを踏まえ、「次の世代に伝えたいこと、望むこと」をテーマに被爆者の体験談を充実させる。また、米国のオバマ大統領ら核保有国の被爆地訪問を訴え、信頼と対話による新たな安全保障の仕組みづくりを求めるとしている。
松井市長によると、宣言の主な柱は①核兵器廃絶に向けた訴え②被爆者援護施策の充実③平和への誓い④原爆犠牲者への哀悼の意。核保有国の指導者に核兵器の非人道的な脅しで国を守ることをやめるよう求め、日本政府には来年春に米ニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)の再検討会議に向け、核保有国と非保有国の「橋渡し役」となるよう訴える。
そのうえで、核廃絶を実現するためには、「憎しみの連鎖」を生み出す武力ではなく、「人と人とのつながり」を重視していくことが必要だと指摘。未来志向の対話ができる世界を築いていかなければならないとのメッセージを発する。
一方、安倍政権が「戦争放棄」をうたう憲法9条の解釈を変え、他国を守るために自衛隊が海外で戦える集団的自衛権の行使を認めるとした7月の閣議決定には直接言及しない。ただ、憲法の平和主義のもとで69年にわたって戦争をしなかったことを重く受け止め、今後も平和国家としての道を歩み続けるよう訴えるとしている。(岡本玄、中崎太郎)
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朝日新聞社会部
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