エボラ出血熱:WHOが103億円支援 米、渡航自粛勧告

毎日新聞 2014年08月01日 11時08分(最終更新 08月01日 13時54分)

渡航を控えるように勧告された3カ国の位置
渡航を控えるように勧告された3カ国の位置

 【ローマ福島良典】米疾病対策センター(CDC)は7月31日、西アフリカにおけるエボラ出血熱のまん延を受け、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国への不要不急の渡航を控えるよう米国居住者向けの勧告を出した。2003年の新型肺炎(SARS)以来の措置。世界保健機関(WHO)によると、今年3月以降、1323人の感染が報告され、729人が死亡。「前例のない規模」(WHOの報道声明)の感染拡大となっている。

 WHOは31日、流行が拡大するギニアなどの支援のため1億ドル(約103億円)の緊急対策を取ることを明らかにした。WHOのチャン事務局長は報道声明で「感染拡大の規模と脅威から、新たな段階の対策を取る必要がある」と指摘した。

 WHOによると、対策は、国内における感染拡大を食い止め、国境地帯の監視強化で、近隣諸国への「飛び火」を防ぐのが目的。現在、120人強のWHO職員と数百人の国際援助団体スタッフが現地入りしているが、医師、看護師など数百人を新たに派遣する必要があるという。WHOは国際社会に支援を要請している。

 スイス政府は7月23日、現地で活動している医療・人道援助の非政府組織(NGO)「国境なき医師団」を支援するため、50万スイスフラン(約5700万円)の追加拠出を決めた。

 欧州では、西アフリカで感染した旅行者や移民・難民経由でのウイルス流入を懸念する声も出ているが、イタリアのANSA通信によると、同国保健省は「流入の危険を察知する備えはできている」との声明を出した。

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