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「ミラーニューロン」は何の役に立つのか?

 
 
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TEXT BY TIZIANA MORICONI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED NEWS (ITALIA)

四肢切断を受けた人々の「幻肢」についての研究で有名な、カリフォルニア大学サンディエゴ校の脳認知センター所長、ヴィラヤヌル・ラマチャンドランによると、ミラーニューロンは、人類の文化を築く「れんが」であるかもしれないと言う。実際、知識の普及は、まさに模倣によって起こる、というわけだ。

研究者には、このような主張は空論にすぎないと考えて、結局のところ、ミラーシステムのようにそこまで複雑ではないメカニズムがいくつもの非常に複雑な現象を説明できるという事実に疑義を呈している人もいる。とはいえ、そうしている間にも、研究は前進している。

「人がギターの演奏を学ぶ過程についての実験では、教師によって演奏されたコードを観察するときも、同じコードが生徒によって繰り返されるときにも、ミラーシステムが活性化することが観察されました。しかし、生徒が違う音を演奏して、事実上新しいコードをつくり出すとき、ミラーシステムは消えて『ゼロ』になります」と、リッツォラッティは語る。

彼にとって、模倣学習は、人類と人類以外の霊長類とを区別するもののひとつのようだ。「(人間の)子どもたちは模倣による学習が非常に速いのに対して、サルたちは非常に苦労します」と、リッツォラッティは説明する。

「多くの場合、サルたちの学習は『観察学習』です。つまり、例えば缶を開ける場合、彼らにはやり方を反復する忍耐がありません。そして最後には缶を破壊してしまいます。さらに、サルの場合、単純に動かしたり壊したりすることではない複雑な動きに反応するミラーニューロンが見つかることは、ほとんどありません」

ミラーニューロンを発見し18年が経ったいま、人と人とが接する環境は大きく変化している。ミラーシステムは、他者との接触がネット経由のときにも活性化するのだろうか?

「興味深い問題です」と、リッツォラッティは述べる。「ただ研究したことがないので、神経科学者として答えることはできません。要するに、他の誰でもできるような話をすることになるでしょう。だから、面白い答えにはならないでしょうね」

※この翻訳は抄訳です
 
 
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