東京大学は1日、分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授の研究グループが発表した5本の論文に捏造(ねつぞう)や改ざんがあったとする調査報告書を公表した。論文執筆時に加藤氏が直接、捏造、改ざんをしたことは確認できなかったとした。しかし、科学誌掲載後に編集部から指摘を受けた際、論文撤回を避けようと、実験ノートの捏造・改ざんを研究員に指示していたと結論づけた。

 加藤氏は日本を代表する分子生物学者で、病気の原因となる遺伝子の働きなどの研究で知られる。一連の研究は約15年間で30億円以上の公的研究費が投じられている。東大は今後、関係者の処分と研究費の返還を検討する。

 捏造、改ざんがあったのは2002年~07年に科学誌に掲載された女性ホルモンに関する論文など5本。いずれも撤回されている。