挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ちょっとエッチで正しいハーレムの作り方 作者:上級読者

まどかの章 16 ★☆☆ インキュベータ社(社長室)

お久しぶりぃ~九兵衛ちゃん。返事貰いに来たわよ~。キョロキョロ…。アレレッ?

やぁ、よく来たね、シャルロッテ。ん? どうしたんだい?

いつもこの部屋の隅に控えてる九兵衛ちゃんのお人形ちゃんは?

ほむらのことかい? 昨日から新しい部署に入って貰っていてね。残念ながら彼女はもうこの部屋にはいないんだ。寂しい限りだよ。

ふ~ん。九兵衛ちゃんの会社って規模は大きいけど、まともに仕事できるのあの子ぐらいだからねー。ん~。余程、重要なお仕事なのかしら?

……まぁ、ね。

うふふふっ。あの子、洗脳を受けてる様子もないのに、よく九兵衛ちゃんみたいな悪党の言葉を真に受けて、あんなにせっせと働けるものだわ。

ちょっと、シャルロッテ、悪党はないだろ、悪党は。…まぁ、あの子は箱入り娘だから何でもボクの意のままで、操り易いのは事実だけどね。まどかって言えば何でも言うことを聞くんだもの。洗脳なんてするまでもないのさ。

まどかちゃん…ねぇ…。

ん? …どうしたんだい?

うふふふっ。九兵衛ちゃんったら本当に悪党なんだら…。

何がなんだか訳が分からないよ。立ち話もなんだからそこのソファーに座って? いま秘書に紅茶でも持って来させるから。君、ケーキが大好物だったよね?

ケーキ大好きよん。でも九兵衛ちゃんが出してくれるケーキなんて食べる訳ないじゃない。だって中に何が入ってるか分かりゃしないもん。

いやはや本当にご機嫌斜めのご様子だね。いったいボクの何が気に入らないってのさ。まさか君の作戦が上手く行ってないことの八つ当たりかい?

失礼なこと言わないでくれる? わざわざマギカ中央軍のエリートの私が辺境まで出向いて騎士団を指揮してるんだからさぁ。明日中にも巴領全土の制圧を完了しちゃいますっての。

へぇ…。随分、早いね。

作戦の初期段階で巴マミを捕獲出来たのが大きかったわ。巴領を平定するのに巴家に従う貴族の切り崩しをしなければならないでしょ? うふふふっ。マミを奴隷市場に売ったお金で、その資金の上積みが出来たって訳。

主君の姫を売った金を受け取ったら、もう二度と巴家の肩を持つなんて出来ないだろうし。踏み絵の効果もあるって訳か。一石二鳥だね。

そうだねぇ。

戦況はもう変わらない?

掃討戦がかったるいんで、部下に任せて私はこんなところに来てるくらいなのよ? 変わりようがないわー。

そうかい。じゃ、親愛なる君の成功を祝してパーティーでも開きたいところだけど。でもボクの方は君達のお陰で散々でね。巴領が紛争になって既にもう50万人近くの難民がエロスに押し寄せている。その殆ど全てが魔法の使えない旧人類だって言うじゃないか。最悪だよ。

巴家はマギカ王家や他の諸侯と違って旧人類に寛容だったからねー。マギカに住む平民はこぞって巴領へ移住していたわ。今回の内戦は巴家がマギカから分離独立しようとしたことが引き金になって勃発したけど、それが無くても平民政策のねじれ解消の為に巴領への侵攻は時間の問題だったと思うなー。まぁ、なんにせよ内戦が終われば旧巴領は王家の天領となって平民政策は激変するわ。苛烈なものにね。難民は相当な数になるんじゃないかしら。50万人どころか最終的には200万人くらいエロスに流れるとマギカの統合本部は予想してたよ?

困るよ…。彼らがエロスに来たらどうなるか。君ならもう分かってるんだろ?

まぁ~、ねぇ。

今はエロスの難民キャンプで保護はされてるけど、時間が経てば保護は打ち切られる。エロスの財政は逼迫してるからね。マギカの難民は働いて自分で生活する他ない。しかし職なんてあるものか。ほぼ全員が奴隷に身を落とすことになるだろう。そうなればどうなる。奴隷の価格は大暴落さ。我が社の奴隷は優秀だけど、液晶TVの例にある通り、今は性能よりも価格競争力が求められる時代なんだ。そして消費者は養殖物より天然物をありがたがる傾向もある。つまり我が社の命運は今まさに潰えようとしているのさ。

九兵衛ちゃんの会社がどうなろうと私の知ったことじゃないけど、出すもの出してくれたら話は別だよぅ。決心ついたのかな?

あぁ、我が社の株式の49%と、血統データと繁殖技術の譲渡。マギカ領内での新ファームの建設。この3つで。あと今、ここで君に10億ゴールド相当の宝石っと。コトッ。

うわぁ…紅玉だぁ! 綺麗…。頬をスリスリ…。うんうん…これでいいよぅ。契約成立ね。えぇっと巴領の各地に散らばってる我が騎士団を再集結させて、エロスに越境攻撃を仕掛けて、国境近くに設けられた難民キャンプを潰せばいいのね。うん簡単だ。作戦は1時間も掛からないんじゃないかなぁ。

1人残らず消してくれよ?

マギカ中央軍の最精鋭、我がシャルロッテ騎士団の突撃を食らって生き残れる奴がいるものですか。神具のランスを突き出して音速の100倍で300騎全員が突っ込むんだぜぃ。後には何も残らないのですよ。エロスのヘナチョコ騎士団とは訳が違いますの。

それなら安心だね。でもエロスの魔法使いの中には厄介な奴も…。

あれれ…。ちょっと待てください…九兵衛ちゃん…。

ん? どうしたの?

この紅玉、よく出来てますけど…イミテーションですわね…?

へぇ、よく分かったね。それは偽物。こっちが本物さ。コトッ。

ムカッ。

そんなに怒らないでくれよ。君が宝石を偽物だと気付けないなら、それは君の中では永遠に10億ゴールドの価値を持っていた訳で。なら別に偽物でもいいじゃないか。ようは君がどう思うか、じゃないかな。本物を見分けられるなら、勿論、本物を渡すよ。ニコッ。

……なんなんですかその言い草。あぁ、駄目です。もう少し我慢しようと思っていましたが、九兵衛ちゃんの態度が気に入りません。

偽の宝石を渡されたことがそんなに不快だったのかい? ならお詫びにもう一個サービスしよう。コトッ。

九兵衛ちゃんは本当にクズですねぇ。もう宝石なんてどうだっていいですよ。偽物を掴まされたとしても所詮は石ころですから百歩譲ってその屁理屈でも矛を収めましょう。でも人は違いますわよ。人は石ころではありませんもの。

というと?

九兵衛ちゃんがさっき言った、まどかです。マギカの諜報機関をなめないで下さいね? 貴方とその周辺の人物については徹底的に調べ上げているのですよ? いいですか、我々は九兵衛ちゃんが悪党で嘘付きだと分かった上で取引をしてますの。貴方を信用して取引をしている訳じゃなくて、貴方の嘘を見破れるから取引をしているに過ぎないのですよ。

なんだ、まどかのこと知ってたのか。うん。そういえば確かにそうだね。まどかもその宝石と同じといえば同じ理屈だ。本物と分からないなら偽者でもいいじゃないってことだから。

10億ゴールドの宝石の替わりに100万ゴールドのイミテーションを渡せばその差し引きは儲けになります。だから貴方は作った。これは分かりますよ。でもイミテーションのまどかを作ることに何の意味があるのかしら。本物もイミテーションも同じA級奴隷ですもの。イミテーションの整形費用分だけ貴方に損ではありませんか。何故あんなことをしたんですの? 私には、ほむらちゃんに対する貴方の悪意にしか感じ取れませんでしたわ。

それはボクとほむらの間のことで、君には関係のないことじゃないか。

関係ありますよう。このことをほむらちゃんに告げれば、ほむらちゃんは貴方を問い詰め、殺そうとするでしょうからね。

ボクを脅して契約条件を吊り上げる気かい?

私としては偽物の紅玉を掴ませる九兵衛ちゃんより、可愛いほむらちゃんと仕事がしたいかも。貴方が死んでほむらちゃんがインキュベータ社を継いでくれた方がいいかなって、思い始めてるんだよぅ。

最初に言ったろ? あの子は箱入り娘なんだ。まだインキュベータ社を継ぐには…。

何いってるのかな? 貴方は最初にこうも言ったわ。その方が操り易いって…。

……君は。

早く質問に答えなさいな。何故まどかのイミテーションなんて作ったんですか? 納得行く答えなら、このまま貴方をパートナーとしますけど。嘘を付いたり、不条理な答えなら、ほむらちゃんにチクって貴方とはここまでかな。

しょうがないなぁ…。ほむらは知らないけどさ、実のところ本物のまどかはG級奴隷で廃棄物扱いなんだよ。元々はA級だったんだけど。魔力が覚醒したほむらをファームの群の中から引き離すときに、まどかが抵抗してね。そのとき頭を強く打ってさ、まともに言葉も喋れないくらいにオカシクなっちゃったんだよね。糞尿垂れ流し。顔もだらしなく弛緩しちゃって目の焦点は合ってない。昔の愛くるしい面影は何処にもないんだ。そんな欠陥奴隷をほむらが強く求めるだろうか。ただショックを受けるだけじゃないか。だからほむらにはイミテーションのまどかを会わせた。ほむらが望む通りの綺麗に成長した姿のまどかさ。数ヶ月に一度の面会を重ねる度に、ほむらはまどかへ恋焦がれて行ったさ。もう分かったかい? まどかを愛する気持ちがほむらの中に芽生えて増せば増す程、ボクはまどかを使って、ほむらをより制御することが出来るようになる。だからイミテーションなのさ。テレビのリモコン、プチッ。見て。本物のまどかとだったら絶対こうはならなかった筈だよ?

何ですのこれは。アダルト動画…?

ほむらとまどかの昨夜の様子さ。一心不乱にお互いを求め合ってる。見てよ、ほむらのあのとろけ切った顔。涙を流してる。感極まって獣のような声まで上げてる。……これでいいじゃないか。君はイミテーションが悪いって決め付けてるけどさ、イミテーションの紅玉の方が本物より光沢があって質感もあって、本物以上に製作費が掛かっていたのなら、イミテーションの紅玉の方が本物より価値があると思わない? 偽物の方が本物と言えることだってあるんだよ。

それが貴方の言い分なのですか。なるほど…。でもこんな隠し撮りをしている時点で貴方はとんでもないクズだから説得力が皆無ですよ。あと私、言いましたよね。人は石ころとは違うと。

……どう違うってのさ。

ご自分でお考えください。

考えるもなにも、人の偽者が本者を超えた証拠がここにあるじゃないか。ほむらにとってこれ以上のまどかは無いと思うけど。ほむらの乱れた姿をジロジロ…。

まどかはこの世に一人です。上も下もありません。……ありませんが、貴方の言うように画面の中のほむらちゃんと偽のまどか、本当に激しくお互いを求め合っているわ。理性のたがが外れてグチャグチャに絡み合っているのに凄く綺麗…。エッチってレベルを超えて神聖な儀式のようで感動すらしちゃう。うん…見入ってしまうけど、ちょっと不思議なんですよ。ほむらちゃんは分かりますが、何故、偽のまどかがここまでほむらちゃんを受け入れるの? 私にはこれが演技とは思えません。もし本当にこれが演技ではなく心から行っているのなら、まどかはこの世にただ一人だからと、偽のまどかの存在を一概に否定出来ない気もしますわ。

やっとボクの意見へ耳を傾ける気になったのかい? そうさ。イミテーションのまどかを否定なんて出来るものか。だって完璧なんだもの。全身整形や声帯手術だけじゃないよ。洗脳魔法の使い手に依頼して、ほむらが持つまどかの記憶の全てをイミテーションの頭の中に刷り込んで貰ったのさ。だからイミテーション自身が自分をまどかだと思い込んでるんだ。ほむらがまどかに恋焦がれている程、まどかに愛して貰いたいと願う程、記憶にもそれが反映されるからね。ほむらの願望そのままのまどかの心がイミテーションの中に生まれて、だからここまで激しく求め合うことになるのさ。……シャルロッテ、心と心がまったく隙間無く重なり合うってどんな感じなんだろうね。映像を見る限り、もうお互い相手なしじゃ生きられない程、気持ち良さそうにしてるじゃないか。イミテーション性奴。うん。これ我が社の新しいヒット商品になるかも知れない。

九兵衛ちゃんのクズっぷりは半端ないですわ。心まで捏造したんですの? ハァ…。商品化でも何でも企画するのは結構ですけど、そんな気持ち悪いもの売れる訳が…って、あぁ、もうこんな時間ですか。ではこれで最後の質問にしますね。本物のまどかはどうしているの?

さっき言ったじゃないか。本物のまどかはG級奴隷で廃棄物扱いだって。

……まどかは今いったい何処にいらっしゃるのですか?

このままでは利用価値がないから再処理センター行きさ。送ったのは…アレは2年前だったかな…いや3年前だったかな…。んー。通常業務の流れで特に重要なことでもなかったから出荷時期を上手く思い出せないよ。

……再処理センター? それ、なんですの?

言葉のままだよ。利用出来るパーツを再利用して、出来ないパーツは処分するんだ。全体としては利用価値がなくても臓器なんかは移植に使えるだろ? だから心臓とか腎臓を…。

あぁ、なんとなく分かりました。気分が悪くなって来たので、もう具体的に言わなくて結構ですよ。つまり、まどかさんはお亡くなりになられている訳ですね?

お亡くなり? いやいやパーツとしてまどかの体は生きていると言えるんじゃないかな。臓器移植されて他の人の身体の中で生き続けるってのはとても意義のあることで…。

携帯カチャ。ほむらさん。お辛い内容でしたが最後までお聞き頂けましたか? そうですか。いえいえ。マギカ王国は貴方をパートナーにお選びしますので。えぇ、我が主にも。はい。こちらこそ。

……ほむらと携帯が繋がっていたのかい? いつから?

どうだったかなぁ。んー。私がこの部屋に入る前だったかな。

やれやれだね。葉巻をシガーケースから取り出し、鋏で端をパチン ミ☆ ライター、シュボッ。

吸うのちょっと待ってくれる? 貴方に電話を代わって欲しいってことなので。はい、どうぞ。

携帯カチャ。あぁ、ほむらかい? さっきの話なんだけどさ…。

……貴方、今から殺しに行くけど、ひとつ聞いていい? 契約で嘘は付かないんじゃなかったの?

そうだよ。でもボクが普段嘘を付かないのは、本当に相手を騙したい、ここぞというときに効果的な嘘を付けるようにする為だからね。正直者って訳じゃないんだ。携帯ガチャ切りでポイッ。葉巻、ぷか~。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ