まどかの章 07 ★☆☆ ヒルトンホテル(王族専用貴賓室)
王子…。ゆさゆさ。王子…。ゆさゆさ。
う、う~ん。
お目覚め下さい。3時のおやつの時間ですよ?
蓮華か…。うううっ。眠いのじゃ…。もう少し…寝かせてくれい…。
王子の大好物のホットケーキなのに?
ん…。んっ! 布団、ガバッ!! ホットケーキとな!?
ふふふっ。ベッドまでお持ちしましょうか? それともちゃんと起きてテーブルで食べます?
蓮華よ。
はい。
ホットケーキとは、テーブルの上に置かれたものを、椅子に腰掛け、ミルクを飲みつつ、ナイフとフォークで食するのが礼儀なのである。
では早く起きて下さい。お食事の用意が出来ておりますので。冷めてしまってはこれもホットケーキの礼儀に反するのではないですか?
うむっ。では起きるか。ふぁ~~っ…。よく寝たわい。てくてく…。テーブルの席にポスン。んっ? 時間停止のメビウスの輪、解けておるのか?
はい。王子が眠ってしまわれたら自然に解けてしまいました。
そうか…。そちと2人だけの時間が解けたか。そちは人妻であるからな。いつまでも夫ではない余が独占するのは自然の摂理に反するということなのであろう。残念ではあるが仕方ない…。そちとモミモミの練習をするのも今後は控えることにするか…。ナプキンを首にシメシメ。
そうですね…。王子はモミモミマスターとなられましたので、もう蓮華がお教えすることは何もありませんし…。
モミモミマスター…。余がか? しかしそちは余のモミモミに全く…。
あはははっ…。実は蓮華も王子と同じく先程は一杯一杯だったりして…(////
なっ…。では辛かったであろう。余に我慢することなどないのじゃ。嫌だと言ってくれたら直ぐ止めたのだぞ? ナイフとフォークを持ち持ち。
辛くはありましたが…(////
んっ?
嫌では…なかったのです…(////
そ、そうか…。え、えっ~と、で、では準備万端整ったところで、そ、そろそろホットケーキを食すことにするかのっ、そちも席に着いて余と一緒に食べるのじゃ(////
はい…(//// では、私もご一緒させて頂きます。てくてく…。王子のテーブルの向かいの席にポスン。
んっ? そちはコーヒーだけでよいのか?
今日はアイスモナカを頂きましたので、これ以上のカロリー摂取は控えようかと。からだのキレが悪くなっては仕事に差し支えますし。
そうか。余はホットケーキである。銀のお椀をパカン。ほう…。流石はヒルトンの三ツ星レストラン、見事なホットケーキなのじゃ。ふっくらホカホカした小振りのパンケーキ二枚重ねの上に、溶け掛けのバターがポツンとひとつのっておる。例えるなら…。
ふふっ。例えるなら…なんです? コーヒー、コクコク…。
そう…。例えるなら、乙女の乳首であるのう。
ブフォッ! ゴホゴホ…ゴホゴホ…(////
ふはははっ! キリノから少し体重を増やすように言われておるからの。いっぱい食べるのじゃ! うむっ。半分溶けたバターの甘い香りが食欲をそそるぞ。例えるなら、新妻の乳首から母乳が滴り落ちるが如くというべきか。
ブフォッフォッ!! ゴホゴホ…ゴホゴホ…(////
さぁ、いよいよナイフを乳頭…。じゃない。入刀するぞ。…って、いかんいかん。その前に大切なことを忘れておった。このメイプルシロップを、だな…。大量にトロ~っと…。ふはははっ。ヌルヌルのグチョグチョであるぞ。例えるなら…。
王子っ!(////
んっ? なんじゃ?
もう少し静かに食べてくれません?(////
う、うむ…。少し、はしゃぎ過ぎであったかな。牛乳でも飲んで心を落ち着かせよう…。コクコク…。むむっ! こ、この新妻の人肌ほどに暖められたホットミルク、蜂蜜入りかっ!! 何の花の蜜であろう。蓮華の花の蜜であろうかのう。ふはははっ! コクコク…。コクコク…。ふはははっ! ホットケーキによく合いよるわい。ふはははっ!
……。
ホットケーキ、ムシャムシャ。ふはははっ! 溶け掛かったバターの先端をペロペロ。うむっ! 甘ったるい匂いなのに舐めると少し塩辛いのが実にいいのう! 余はここが一番に好きなのじゃ! ペロペロ。ペロペロ。ふはははっ! ホットミルク、コクコク…。ふはははっ! 濃厚で甘い蜜がミルクの中に入っておって癖になる味じゃ! 蓮華よ、もっと蜜はないのかのう。あればそちに入れて貰いたいのじゃが。ふはははっ! ムシャムシャ。コクコク…。ふはははっ! ムシャムシャ。コクコク…。ふはははっ!
机、バンッ!!!! ミ☆ ミ☆ ミ☆
ふへぇっ!?
ギロッ!
はわわわわっ…。れっ、蓮華、ど、どうしたのじゃ。そなた物凄く怒っておらぬか? ムシャムシャ。コクコク…。
ハァ…。王子、食べるの中止…。説教タイムです。
ふえぇぇ…。
……王子、最近ちょっとオカシイですよ? 精通なされる前の王子はあんなにもご聡明だったのに…。ちゃんと欲求不満の解消、出来てますか? 何かスポーツなどされてはどうです。
ス、スポーツのう…。う、うむっ。それなら心配致すな。身体を動かすこと日々心掛けておる。最近は朝の6時に起きて城の周りをグルリと散歩しておるのじゃ。
それってエッチな漫画がまた落ちてないか探し歩いてるだけなんじゃないですか?
そ、そうとも言うかの…(////
駄目ですよ。余計に心と体にモヤモヤが溜まってしまいます。テニスとか水泳とか、ちゃんとした運動をなさって下さい。
う、うむっ…。
あと…。ア、アレは…適度にされてます?(////
アレとは?
アレ…は、アレですよ。モジモジ…(////
んっ??
で、ですからっ! じっ、自慰です…。ちゃんと自分で処理されてますか?(////
ふん…。そのようなみっともない真似が出来るか。
し、してないのですか? まさか、一度も?
当たり前であろう。余を誰だと思っておるのだ。えっへん。
威張るところではないと思いますが、そうか…。してませんか…。だからなのかなぁ…。
普通、自慰などやるものなのか? 自分でやるなど自然の摂理に反しておると思うぞ。変態行為ではないのか?
う~ん…。どうでしょう。私は女ですから詳しくは分かりませんが、男の方はほぼ全員がやっているようですよ? 医学的にも適度にやった方が良いという話も聞きます。やり過ぎるのはそれはそれで問題かと思いますが…。
余は嫌じゃ。そのようなこと一人でしとうない。
ハァ…。困ったなぁ…って、あれっ? 一人でしてないってことは、王子、では精通はどのように?
夢でのう。
夢精ですか…。
んっ? 何か言いたそうな顔であるな。まさか、どの様な夢であったか聞きたいのか? エッチじゃのう蓮華は…(////
言わなくて結構です。でも王子の欲求不満がここまで溜まって大丈夫なのかな…。蓮華はちょっと心配になりますよ…。
で、では余がするのを、そのっ、ちょっとでよいから、そちに手伝って貰いたいのだ…。二人でならやってもよいのじゃ…(////
だっ、駄目ですよ。私、結婚してるのに…。モジモジ…(////
そうか…。
……(////
……なら、城のメイドにでも頼もうかのう。
えっ…。
ふはははっ。水連か桔梗に…。むむっ、桜の方がよいか。いやまだ少し幼過ぎるか。ふはははっ。悩むのう。
ショボーン…。
んっ? な、なぜ、そのように悲しい顔をするのだ? 蓮華よ、顔を上げるのじゃ…って、そち、ま、まさか泣いておるのか? はわわわわっ。じょ、冗談じゃぞ? メイド達にそのような淫らなことを無理強いさせる余ではない。そ、それに誰でも見境なく、そのっ、手伝って欲しいという訳でもないのだ。ま、まぁ、そちには、ちょっとやって貰いたいなぁ~とは思ったがな(////
王子はこんなにも欲求不満が溜まっていて…このような時にお慰めするのは王子付のお庭番である私の役目…でも私には夫が…。私に出来ないなら直ぐにも他の者にさせなければ…。そう頭では分かっているんです…。でも私…他の者には…。王子…私は…。
気にするでない。欲求不満が高まり過ぎれば、またアレな夢でも見るであろう。
すみません…役に立たなくて…。
い、いや。違うのだ。役に立っておるのだ(////
……?
えっと、実はな、アレな夢の中では、いつもそちが余を慰めてくれるのじゃ…。それで朝起きたら…解消されておる…。だから、そちは今のままでよいのじゃ…(////
……(////
……(////
ピピピピピ…。ピピピピピ…。ピピピピピ…。
ん? 何の音じゃ?
…えっ? あっ!
そちの携帯が鳴っておったのか?
いえ…。ゴソゴソ。これはポケベルです。お庭番衆全員に緊急召集令が掛かったようです。集合地点はマギカ国境。制式装備で来るようにと…。それ以外の情報は無しか…。
仕事であるか。しかし制式装備とは、ただ事ではないようじゃの。
そうですね…。今でこそお庭番衆は王子直属の諜報部隊ですが、そのルーツは世界最強といわれた皇帝親衛隊…。我々の制式装備は彼らが戦場で使っていた千の神具を組み合わせ身に纏う重装備なものです。今の時代では強力過ぎるので使う相手もなく封印されていたのですが…。もしかすると巴家を攻略していたマギカの軍団がエロスへ越境の動きを見せているのかも知れません。
うむっ。では直ぐに行くがよい。
駄目です。護衛も無しに王子一人を置いて行くなんて出来ません。一度、一緒にお城に戻りましょう。それから…。
余はテレポートが苦手じゃ。余と一緒では時間が掛かってしまう。一刻を争うような国の存亡の危機かも知れぬのに、王子たる余がそちの足を引っ張ってどうする。
しかし…。
それに余はまだホットケーキを食し終えておらぬ。蓮華よ。直ぐに召集令に応じ、マギカとの国境へ行くのじゃ。余ではなくエロスを守れ。これは命令である。
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