まどかの章 06 ★★★ ヒルトンホテル(王族専用貴賓室)
あのっ、もうそろそろ、王子…。
だっ、駄目じゃぞ! まだまだこれからなのだ! よっ、余にも男の意地というものがある! なんとしても…。モミモミ。モミモミ。なんとしても…。モミモミ。モミモミ。
ハァ…。やれやれ…。
ひとモミごとに…。モミ。握力や手の位置を微妙に変化させておるのだ…。モミ…。なのにどうしてなのじゃ。モミモミ。なぜ気持ちよくなってくれぬ? モミモミ。
こればかりは理屈ではなく、気持ちの問題ですので。
うううっ…。モミモミ。胸はこのように掴めておるのに、心を掴むことが出来ぬとは。モミモミ。
ふふっ、女心を掴むのは難しいものです。
ちょっとくらいは余を男として見て欲しいぞっ! モミモミ。
そんなことより、王子。
そんなこととはなんじゃ! そんなこととは! モミモミ。
先程のケルトの話ですが…。
あぁ、うむ。よくなだめておいてくれ。モミモミ。余が気にしておったと。寂しくて泣いておるから無視だけは止めてくれと。モミモミ。あいつにも高島屋でプレゼントのぬいぐるみを買ったからの。モミモミ。そのときに一緒に渡すのじゃ。間違うでないぞ。ピカチュウじゃぞ? メルルにはマルル。キリノにはニャース。ケルトにはピカチュウ、そちのはルカリオなのじゃ。モミモミ。
……。
そして余のぬいぐるみはベロリンガー。ふはははっ。舌が長いのじゃ。ナメナメなのじゃ。これはプレゼントではないからの。持って行くでないぞ。余の抱き枕となるのだ。モミモミ。
世界征服の提案、なぜ却下されたのです?
……。
エロスによって世界が統一されれば多くの虐げられた人々が救われます。エロスの奴隷市場や荘園は酷い有様ですが、それでも諸外国に比べれば楽園なのですよ?
そちはケルトの案に賛成であったな。モミモミ。
……王子が世界征服を望むなら私も賛成すると言ったまでのことです。王子が反対なら私も反対。国政を担うのは私ではなく王子なのです。ただ…。
ただ、なんじゃ? モミモミ。
理由を仰って頂きたく思います。私達お庭番衆は王子のご意向に沿って王子の手足となるものです。どのようなご命令でも実行はしますが、意思の込められていない手足に強い力は宿りませんので。
そち達に隠し事はなしか。
はい。
反対した理由は…。ふふっ、これも理屈ではなく気持ちの問題であろうな…。
……。
ひとつ、姉上の力を借りて世界征服などしたくない。やるなら余の力でやりたい。ふたつ、姉上のあの力は余への愛から生まれたもの。それを人殺しの道具にしたくない。みっつ、あの様なやり方で世界支配をすれば余も姉上も破滅をする。以上だ。
……破滅…ですか。
うむっ。
ケルトの言うように、キリノさまの能力を使えばリスクなく世界征服の目的は達成され、その後も容易に支配体勢の維持が出来ると思われますが。
……帝政時代のブリジット。姉上と同じ白の女皇帝を使って世界を支配し、結果的に多くの魔法使いを死に至らしめた暴君だが、そもそも、どうしてそのような事態となったか、そちは知っておるか?
帝位を脅かす他の魔法使いを取り除く為かと。
……余も始めはそう思っておった。だがこの前、鳳凰宮の地下図書館の封印が解かれたであろう? 気になって調べてみるとな…。
違ったのですか?
帝政時代も末期となると魔法使いは奢り高ぶり、一般人への狩や虐待が横行して、法で旧人類の保護を定めても誰も守らんようになったのだ。そんなとき宦官の中に正義感の強い奴が現れてな、世界中の魔法使いの行動を監視して完全支配するようブリジットに入れ知恵をしたらしいのじゃ。監視をすれば多くの人々が助かる、皇帝となった貴女にはその能力と責務があるとな。これが魔法使いを絶滅寸前にまで追い込んだ大虐殺の始まりなのだ。
王子はその宦官の提案とケルトの世界征服案とを重ねておられるのですか。
……。
ご安心下さい。当時の失政を文官どもによく検証させ改善をすれば今度こそ上手く行く筈です。むしろ過去の失敗例があったこと、幸運なのです。エロスは千年帝国となりましょう。
……そうだな。そうかも知れん。
では…。
……だがな、しかしな、どのようにしてあの虐殺が収まったのかを知ると、そのように割り切れぬのだ。
皇帝が急死して…終ったのでは?
……ブリジットには幼い弟がおって、そいつが姉の虐殺行為を見かねて謀殺したのじゃ。人の心を監視し続けた女皇帝は人を信じられなくなったようだが、弟だけは信頼し切っておったのであろう。毒を飲まされ、あっけなく死んでしまった…。
……。
……故に、魔法使いの世は今もこうして続いておる訳じゃが…。ふん…。魔法使いが死に絶えようが、人の世が終わろうが、余なら…姉上にそのようなこと絶対にせぬ…。
……。
せぬが…。だが、ここまで状況が似ておると…怖いのだ。
……王子。
……。
弟君はその後…。
姉の後を追い毒を飲んで死んだとあった。
……。
口移しで毒を飲ませたのやも知れぬ。
……。
もうよいか…?
……。
モミモミを続けるぞ…。
ギュッ。
……手を握られてはモミモミ出来ぬではないか。
抱き。ギュッ。
……分かった。モミモミはもうやめよう…。
……。
……蓮華、気持ちよかったか?
全くです…。
そうか…。上手く行かぬものだな…。
王子…。
性技を極めるのはまだまだ先のことになりそうじゃ…。蓮華よ、もう服を着てよいぞ。……今日は無理を言ってすまなかった。
……いえ…。
ふうっ…。そちを満足させられなかったのは残念だったが心地よい疲れだ。久しぶりにそちと肌を合わせておったからかの。うん…。余は眠うなってきた。蓮華よ。昼寝をするぞ。膝枕をしてくれい。
えっ!(////
ん? 以前はよくやってくれたではないか。駄目なのか?
い、いえ…。そのっ…(////
どうしたのだ? もしや先程のモミモミの無理な姿勢で足を痛めたのか?
だ、大丈夫です。なんでもありません…。で、ではベッドへ…(////
うむっ。てくてく。ベッドにバスン。
モジモジ…。とぼとぼ。上着を着て着て、ベッドにポスン(////
余が眠るまでの間でよい。眠り込んだら枕に替えてくれい。
は、はい。で、では王子、頭を私の膝にお乗せ下さい…。ゆっくり、そうです、スカートの上に…(////
んっ。では。ゴロンっと。
ううっ…(////
……ん? クンクン…。んんっ? クンクン…。
あぁっ…もぅ…(////
何の匂いであろう…?
さ、さぁ…?(////
何処から…。
……(////
ん? ミニスカをペラッ。
キャッ! 王子っ! 何するんですかっ!!(////
クンクン…。クンクン…。
……(////
ふむ…。甘いような、すっぱいような…。
す、すみません…。シ、シャワーを浴びていませんので汗の匂いが…(////
汗かのう…?
汗ですっ!(////
う、うむっ。気にするでないぞ。今日は暑かったからな。汗を掻くのは当然である。それに…クンクン…。この蓮華の匂い、余は嫌いではない。嗅ぐと心が休まるのだ…。
ううっ…(////
クンクン…。うん…。よい匂いである…。
……(////
余は疲れた…。少し眠る…。
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