キリノの章 31 ★★★ 鳳凰宮(最上階)
キリノ…。もういいでしょ…。ハァハァ…。休みましょう…。
ハァハァ…。うん。疲れた…。カナコに続いて黒猫さん。ハァハァ…。2人連続はキツイ…。
こんなに激しいなんて…。ハァハァ…。
何か飲み物。冷蔵庫にポカリスエットがあった筈…。 ……パチッ☆ ドゴン!!
冷蔵庫ごとテレポートって…。カチャ…。うん、ポカリあるわ。はいキリノ。
ありがと…。プシュ。ゴクゴク…。はぁ…。
私も1本貰うわね。プシュ。コクコク…。ふぅ…。
ゴクゴク…。黒猫さんこういうの始めてだったんだね。
ブフッ! ゴホッ…ゴホッ…。ゴホッ…ゴホッ…。
経験豊富そうだから後で性交がどういうものか聞こうと思ってたんだけど。男も女も両方未経験だったなんて。
ゴホッ…ゴホッ…。うるさい…(////
照れることないよ。わたしも王子とカナコしか抱き合った経験なかったし…。黒猫さんって夜ムラムラしたときはずっと一人で慰めてたの? どうやってた?
もう…。コクコク…。そんなことより貴女のことを話しなさい。
わ、わたしはムラムラしたらエロゲーで…(////
違う! 鳳凰宮制圧に至るまでに何があったかよ(////
そ、そうか…。えへへっ(////
貴女どうやって鳳凰宮から前王の妃達を追放したの? 脅迫したの?
ちっ、違うよ…。穏便にやったよ? 鳳凰宮の明け渡しは戦車砲を受けてる最中にわたしが評議会と交渉をして決めたことなの。
……どういうこと?
わたし鳳凰宮の式典を模してあの暑い中を歩いたけど、性約には式典についてなにも書かれてはいない。ただのお披露目パレードに過ぎないから模したところで法的には何の意味もない。でも鳳凰宮の伝統や慣習を重んじる人からすれば式の成功は婚姻の成立と同義なの。コーデリアはその典型的な人。実際、式典を全力で阻止しようと司令室で指揮を取ったわ。わたしはその隙に波紋テレパシーを使って他の議員の切り崩しをして、コーデリア抜きで臨時評議会を開かせ、評議会の解散と鳳凰宮の権限移譲に必要な議案をコッソリ可決させたって訳。
呆れたわ…。貴女、純白のドレスを着ていながらそんな腹黒いことしていたの? 私はただあなたが王子と一緒になりたい一心で鳳凰宮入りの式典を強行してるんだと思ってたのに…。
わたしは王子が認めてくれたらそれでいいの。式に拘ってた訳じゃない。ていうか暑いし。日焼けしちゃうし。観衆は誰もいないし。魔法の実践演習をしようにも戦車ばかりで肝心の近衛は出て来ないし。途中で面倒になってマネキンを使おうとしたんだけど、核攻撃で壊されちゃって、しょうがないからまた歩いて…。
えっ? マネキンを使ったのは貴女の巨大な魔力が核攻撃を察知したからでしょ?
そ、それも違うよ…。戦車をのり越えるのが面倒だから、そこから先はマネキンにやらせようとしただけなの。装甲が熱そうだったし。手を付いたら火傷しちゃうじゃん。トラップを予知したって話を後で聞いて吃驚しちゃった。未来のことなんて分かる訳ないじゃん…。
そうなの…。TVで解説の人がえらく自信ありげに貴女に予知能力があると断言するから信じ込んでしまっていたわ…。
解説…。サキエルさんか…。あのひと、いってることもやってることも全部デタラメだから真に受けない方がいいよ。TVでもウケたくて適当なことを喋っていただけだと思う。蓮華さんからサキエルさんとは関わらない方がいいよって真顔で注意されたけど、今ならその意味が分かるような気がする…。
つまり結果的に、たまたま上手く行ったってだけなの?
うん。
でも評議員を懐柔出来たのはたまたまじゃないわよね? 脅迫もなしに貴女に従うなんて、一体なにをしたのかしら…。まさか洗脳したの?
お金だよ。ひとり1000億ゴールドの和解金とトラスの離宮の譲渡で鳳凰宮から出て行くことに合意してくれたの。なんでもそこで評議員の全員が集まってハーレム作るんだってさ。逆ハーレムっていうの? なんで女性が主の場合、逆って付くのかよく分からないけど。あの人達、今、奴隷市場に行ってるの。可愛い男の子を買うんだとかなんとか…。7人で7000億ゴールドでしょ? 凄い逆ハーレムが出来上がるんじゃないかな。
7000億ゴールド!? 貴女、そんな莫大なお金が用意出来ると思ってるの? この国がいまどれだけの財政危機に直面してるか…。王都の復興費も…。
それは大丈夫。鳳凰宮の実権は全てわたしが掌握したから徹底的にこの国の財政改革をするわ。7000億ゴールドなんて無駄の削減と予算の組み替えで余裕だよ。埋蔵金もあるんじゃないかな。全部で40兆ゴールドくらい捻出出来ると思うからそれを今回の王都復興費に充てて、その余りを…。
なっ、なんてアバウトなの。そんなにお金がある訳ないじゃない。一体どこから40兆ゴールドなんて数字が出てきたのかしら。国家予算をドンブリ勘定してはいけないわ。鳳凰宮の実権を握ったんだからもっと現実的になって…。貴女が夢みたいなことを言ってたらこの国は…。
40兆ゴールドあるよ…。わたし、これでもちゃんとTV観てるんだからね。政治討論で小沢さんが…。
こっ、個人名を出さないで。そ、そうね…。あ、あるのかも知れない。40兆ゴールド。う、うん。何もしないで無いと言い切ることは出来ないわ。だ、だからこの話は、内政の話はもうやめましょう。
えーっ。残念だな…。わたし他にも凄い政策を考えてたのに…。たとえば金利ゼロの国債を発行して、それを中央銀行総裁の白川さんに強制的に全額買い取らせるの。そうすれば好きなだけお札が刷れるでしょ? 凄くない? もうこの国はお金の心配をすることがなくなるの。これは亀井さんの…。
ゴホッ、ゴホッ…。
ど、どうしたの?
いってないから。そんな無茶な政策、亀井さんいってないから。
そうだったかしら…。
ハァ…。貴女には早急に財政学とマクロ経済学の講義をケルトから受けて考えを正して貰わないと…。しかし7000億ゴールドは貴女が議員達に約束をしてしまった以上、もう撤回することは出来ない…。ハァ…。逆ハーレム…。なんて羨ましい…。いえ、破廉恥な…。
彼女達、前王が幽閉されてから、かなり男への欲求不満が溜まってたみたい。逆ハーレム構想をわたしに語るときの波紋テレパシーの勢いが半端なかったよ…。
貴女の提案は願ったり叶ったりってところだったのかも知れないわね。離婚出来ないから貴女にそのしがらみを解いて貰いたかったのかも。
うん…。結局あの人たちを鳳凰宮に捕らえていたのは前王ケインへの愛じゃなくて、誰が決めたのかも分からない規則や伝統でしかなかったんだよ。彼女達は束縛から開放しようとするわたしを歓迎してくれた。煉獄の塔で前王と一緒にってコースも提案したけど、それはいいわwwwって、みんな苦笑してた…。わたしは将来どうなるんだろう。王子への愛を無くしたらあんな感じになるんだろうけど。出来れば…永遠に…。ハァ…。幻想なのかな…。甘いのかな…。
それは貴女と王子の日々の暮らしの積み重ねの上に出来上がるものなの。未来のことなんて分かる訳ないんだから、先の心配なんてするより、今なにをするかよ。王子との日々を大切にしてね…。
うん…。
……でもコーデリアはどうなの? 他の人は自由を求めたでしょうけど、コーデリアは鳳凰宮を出て行くことに同意しなかったでしょ?
始めは嫌がってたけど、でも評議会の解散でコーデリアは議員を失職して全ての権限を失っていたし。わたしは全権委任状をコーデリア以外の全ての議員から貰っていたし。彼女の頼みの綱である近衛はわたしに降伏していたし。他の騎士団も彼女を見限ってわたしに服従すると言って来ていたし。……アイツ、しばらく喚き散らしてたけど、最後には泣き崩れて、出て行くことに同意するって…。
それで見逃したの? ちゃんと言っとくべきだったわ。コーデリアは…
わかってる。王子や蓮華さんから聞いた…。わたしのお母さんを性約監査部ってところと一緒になって拷問で責め殺したのはアイツだ。罵声を浴びせ殺してやりたかったけど、他の議員達が駄目だって…。鳳凰宮から出て行く条件の中に彼女を許すって条項が含まれていたの…。始めはわたし、そんなの拒否したけど、議員達からコーデリアの話を聞いてると…。
……。
あの人、北域の名門貴族の末娘で10年前は活発で明るく優しいお姫様だったそうなの。貴族だったことを鼻に掛けることもなく、誰にでも同じように微笑みながら接して…。当時、最年少の10才でハーレム候補になったときはそんな子だった。他の候補たちからも可愛がられた。でも彼女が抱いていた理想と現実のギャップは大きかったんだね。前王のカインは…。わたしの父は、酷い性格の最低男で、だから愛も理想も直ぐに冷めて、彼女は洗脳魔法にのめり込んでしまった。その道のプロである魔法使いからの洗脳だけでは足りなくなって、もっと危険で強力な洗脳魔法を自分で自分に何度も掛けるようになった。その結果、彼女の人格や精神は醜く不安定に歪んでしまった…。現実と妄想が区別出来なくなって、わたしの母を責め殺した時には発狂寸前だったそうなの。王が煉獄の塔に幽閉されてからは自殺未遂を繰り返していたんだって…。
そう…。
コーデリアを許すつもりはないけど、わたしがお母さんの恨みを晴らしたら、多分、弟のお母様方と血みどろの殺し合いになる…。お母さんには申し訳ないけど、わたしそんなの出来ない。だって弟と一緒にいられなくなるじゃん…。最後には弟とも殺し合いになるかも知れないじゃん…。嫌だよそんなの。だから、もういいの。お母さんも許してくれると思う。勝手な思い込みかも知れないけど…。
……貴女がそう思うなら、そうなんだと思うわ。自分のことよ。死んだお母さんに引きずられて生きては貴女の人生でなくなる。自分の思った通り、悔いのないように生きなさい。
うん…。
よくここまで成長したわ…。貴女、少し前まではあんなに臆病な女の子だったのに…。
えへへっ…。
魔力も今や王子を超えてルーン最大になった。
大きいだけだよ…。
謙遜しない。黒騎士も倒したんでしょ? 噂によれば圧勝だったそうじゃないの。黒騎士が貴女にひざまずいたって…。鬼のような戦いっぷりだったって…。あの子、蓮華と同じで本物の天才なの。貴女にどれだけの魔力があっても勝てる相手ではないと心配していたけど、彼女を倒したのなら貴女の力は本物よ。胸を張っていいわ。
あれは…。そのぅ…。
ん?
えっと…。テレポートで黒騎士のお兄さん拉致って盾にして戦ったんだよ…。黒騎士さん半泣きになってわたしに土下座したんだ。それが噂になってるんだと思う…。
……。
あっ! ごっ、誤解しないで! 黒騎士さんと戦う前、カナコから黒騎士さんがお兄さんにベタ惚れしてて、でもお兄さんは今回の失敗で腹を切ることになりそうだって聞かされて、わたし黒騎士さんに、お兄さん助けるよって言ったの。そしたらスンナリと降伏してくれたの…。
貴女は黒騎士と戦ったの? 戦ってないの?
うん、それが…。降伏の後ね。黒騎士さんから相談を受けたの。ほら…わたし弟とアレ…でしょ? お兄さんと一緒になるにはどうしたらいいかなって…。あの子、切実だったから、それだったら告白すればって言ったら、顔を真っ赤にして目をウルウルさせて、兄は頑固だから受け入れないっていうのよ。だから、じゃ、わたしがアンタのお兄さんを盾に戦うから、そのときにお兄さんへ泣きながら告白したら効果的じゃないかなって。お兄さんのプライドを引き裂いたところで妹のアンタが献身的な姿をみせたら簡単に落ちるよ、みたいな…。
……。
でもあのお兄さん凄く頑固で上手く行かなかったんだ…。だからさ、わたしがもう鳳凰宮の実権を握ってることを告げて、二人を赤木家から離籍させて貴族の称号も剥奪して軍からも追放して無一文で二人でやって行かせることにしたのよ…。平民に貶められる屈辱の中、二人で死ぬまで苦しみ続けろ! 自害したら赤木家を潰すぞっ! ぐはははっ! みたいな。これなら狭い部屋で二人、身を寄せ合って暮らすことになるじゃない? そうなったら。ねぇ。お兄さんも本心では妹さんのこと好きみたいだし。ふふふっ。てかさっそく今朝、黒騎士さんから電話があったんだよ、結ばれましたって。へへへっ。早いよね…。うふふっ。黒騎士さん凄く感謝してお礼がしたいっていうから、時給780ゴールドのパートタイムで蓮華さんの手伝いをさせることにしたんだ。蓮華さんお庭番衆が足りないって嘆いていたし、わたし蓮華さんに借りがあるし、黒騎士さんもお兄さんと長く離れるの嫌だから夕方定時に帰れるパートの方がいいって…。お兄さんも夕方定刻で終われる戦車工場の勤務を選んだっていうし、お熱いんだ。
ハァ…。それでカナコさんが次の近衛の団長に…?
そうなの。カナコの他にも近衛全員の波紋を共振して能力を引き上げて鍛えないとね…。白帝城を守るのがお庭番衆、鳳凰宮を守るのが近衛魔法騎士団。こっちは女性しか入れない鳳凰宮の警護だから全員女の子の騎士団なの。みんな幼くて可愛い子ばかりなんだ♪
貴女、極度のブラコンだと思ってたけど極度のシスコンでもあるのね…。
うん! 妹も大好き! 王子って女の子みたいじゃん? だからアイツとずっと抱き合ってたらなんか女の子と抱き合ってるみたいでさ…。それが可愛くて気持ちよくて。えへへっ。だから女の子もいいかなって。わたしブラコンだけでなくシスコンにもなっちゃったみたい。カナコやアンタの可愛い姿を見たら、わたし我慢出来なくなる…。チュッ(////
もう…。あんなにやったのに、この子は…。チュッ(////
えへへへ。カナコはまだ起きてないみたいだし。もっと共振しよっ?(////
王子が王子の理想のハーレムを築いていく側で、貴女は貴女の理想のハーレムを築いていくつもりなのかしら。
女の子限定のね。チュッ(////
女の子限定? 貴女のハーレムの中心には王子がいるじゃない。貴女、王子が一番好きなんでしょ? チュッ(////
そ、そんなの比べられないよ。みんな同じくらい好きだから…。
……キス忘れてるわよ。チュッ(////
……う、うん。チュッ(////
ふふふっ…。貴女、すぐ顔に出るんだから…。貴女は主。貴女のハーレムの女の子を悲しませては駄目…。もっと上手く嘘を付けるようにならないと…。チュッ(////
黒猫さんゴメンね。チュッ(////
ん…。チュッ(////
お詫びに…。チュッ…。チュッ…。
ひゃんっ! も、もうっ! 貴女、ど、どこにキスしてるのよっ(////
チュッ…。チュッ…。
や、やめなさいっ!(////
しもべが主に口答えしちゃ駄目だよ…。チュッ…。チュッ…。
だってっ! あん、もぅ…(////
ハーレムの女の子はご主人様の求めに何でも従わないと、ね? わたしは黒猫さんのここにキスしたいの…。チュッ…。チュッ…。
あぁ…いゃ…ぁ……あっ……あぁ…(////
嫌なの?
頭フルフル(////
ちゃんと答えなさい。チュッ…。チュッ…。
ふぁ……あぁ……あっ…。わっ、私はキリノ様のしもべ…。あぁ…あああっ。うぁ…。キ、キリノ様がしてくれること…。あぅぅ…。何でも嬉しい…。あぅっ…はぁっ…あっ…っ…(////
そう…。ふふっ、これからは今みたいに素直になりなさい。てっ…、うわああっ…(////
ハァハァ…。ハァハァ…。
あ、あれ。黒猫さんどうしたの。目が、目が怖いよ黒猫さん…。怒った? あははは…。ご、ごめんね、ちょっと調子に乗り過ぎちゃった…。汗汗…。
私はしもべだからご主人様にご奉仕する側なの。ハァハァ…。だから私も同じこと貴女にしてあげるわ。ハァハァ…。
わ、わたしはいいって、キャッ!(////
チュッ…。チュッ…。んっ? 貴女…。
うぅ…。うん…。だからもう黒猫さん、止めて…。わたし今日そこ汚い…(////
……綺麗にしてあげる…。チュッ…。チュッ…。チュッ…。
ちょ、ちょっと、嫌、嫌、嫌、嫌だぁ…。ご、ごめんなさい、黒猫さん…。謝るから…もう…もう、いやぁん…あっ…いやだぁ……あっ……うぁっ…ぁっ……ふぁんっ……(////
奥も…。ここを…。こうして…ふふっ…。チュッ…。チュッ…。チュッ…。
いやあぁっ……いやっ……いやぁぁっ……いぁっ…ぁっ…ぁっ…ぁっ…ぁっ…ぁっ……(////
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