キリノの章 23 ★★★ 白帝城(寝室)
姉上…姉上…。ゆさゆさ。
う、う~ん…。ん!? ガバッ! キョロキョロ…。キョロキョロ…。フゥ…。バタッ…。良かった……夢か……。ハァ…。ごめん…。また気絶しちゃったんだ…。
悪い夢でも見たのか?
……悪くはなかったよ。今まで通り…朝ごはん食べて、学校へ行って、友達とお喋りして、授業受けて…。そんな普通の日常…。楽しいけど…。でも…。アンタがいないの…。
そうか…。
キスして…。
チュッ(////
ん…。……お姉ちゃんから黙って離れちゃ駄目だよ。気絶してたら…。そのっ…。抱き合ったままでさ…。起こしてくれたらいいじゃん…(////
うむ…。すまぬ。どうも空調がな…。換気は出来ておるようだが冷房が効いておらぬ。魔法で冷まそうかと思ったのだが、こうも狭い空間で魔法を使うと結界魔法と干渉し合って崩れてしまうやもしれぬのでな…。極小の冷却魔法を生成しておったのだ。 ……パチッ☆ あと100個は必要か…。時間が掛かりそうだ。 ……パチッ☆
このふわふわ浮かんでカワイイのが冷却魔法? 白くキラキラ光って綺麗だね…。あっ…。冷たい…。
溶けない雪のようなものじゃ。まだ10個なのじゃ。これだけでは、あまり冷えぬ。
室温っていま30℃超えてる感じだね。
うむ。湿度も高い…。熱中症になってはいかん。姉上もかなり汗をかいておる、余がこれを作ってる間にシャワーに掛かってくれい。余もコレが終われば掛かることにしよう。
汗…? ……ほんとだ。わたしのからだ、凄い汗…。
う、うむ…(////
アンタのからだも…。チュッ(////
姉上、いまは魔法の生成中なので、そ、そのようなことは…(////
チュッ(////
……(////
しょっぱい…(////
……(////
わたしの味もしょっぱいのかな…(////
…………(////
…………(////
チュッ(////
……どう?(////
う、うむ…よく分からぬ。チュッ(////
……どんな味なのかな♪(////
い、いや、本当に分からぬのだ。しょっぱい筈であろうに…。どうしたことであろう。チュッ(////
……ねぇ、もうこのまま続けようよ(////
…う、うむ(////
今度はアンタが下になって…(////
わかった。もぞもぞ。では姉上…(////
よ、よろしくお願いします…よいしょ…(////
うむっ(////
重かったら言ってね。無理しないでね(////
いや…心地よい重さじゃ。姉上を実感できる…。ギュッ(////
そ、そう…。ギュッ(////
…………(////
…………(////
で、では共振を…。
あっ。待って…。今、わたしの魔力どれくらいになってるの? ちょっとは増えたのかな。
姉上の今の最大魔力は240MP、魔力出力15MP/sであるぞ。
凄い、100も上がってる! ご褒美! ご褒美!
チュッ(////
うへへ…(////
……(////
アンタのはどれくらいなの?(////
う、うむ…。言わなければ駄目か…。
いくつなの?
余の最大魔力は6890兆2000億MP、魔力出力は5350億5000万MP/sである。
へぇ……。そうなんだ……。
出来れば姉上には鳳凰宮入りの明日の朝までに平均的な魔法使いの魔力である1000億MPは行って欲しいのだが…。
1000億MPかぁ…あとたった999億9999万9760だね……。でもアンタとはまだ6890兆1999億9999万9760もあるのか……。ちょっと大変だよね……。
うむっ! だが頑張ろうぞ! ん? どうした? 立ち上がって。トイレか? ん? 余の腕を取って、ふむ…。起こして…。抱えて…逆さに? で、どうするのだ?
どりゃ~~~っ!! パイルドライバー!! ドゴ~~ン!! ハァハァ…。ハァハァ…。強さがインフレし過ぎなのよっ!! このまま続けても絶対に無理よっ!!
ううっ…酷いぞ…。それに無理と言われても、こうするより他に…。姉上…諦めるのか?
まさか。やり方を変えるの。さっき失神から目覚めたとき、わたしの魔力、少し回復したみたいなのよね。
どれどれ…。むぅ…。確かに50MPほど魔力が溜まっておる…。これを使おうというのだな?
うん! 今はわたしの波紋の大きさや位置をアンタが予測して合わせることで共振してるけど、これをわたしとアンタがお互いに完全に同一の波紋を放ち合って共振させる方式に変えるのよ。共振精度は飛躍的に向上する筈だわ。
……確かに波紋系最強の能力である白の女皇帝を使えばそのようなこと完璧に出来るであろうし、余も波紋の精密放出は可能であろう……だがしかし50MPでは姉上の波紋の精密放出は数秒で尽きてしまう…。それに余が行っておる予測共振は相当な精度であるので、残念ながら共振結果はさほど変わらぬと思うぞ…。
わたし、ただ頑張れば、努力さえすれば、必ず報われると夢見てる訳じゃないのよ。状況を分析して何か手はないかと考え続けていた。正しい方向に向かって頑張って努力しないとね。で、閃いたの。まず確認したいんだけど、波紋は結界を貫通するよね?
うむ…。結界は魔法が生み出したエネルギーを通さないだけで、魔法の根源である波紋自体を防ぐことは出来ない。波紋とは魔法使いだけがその存在を感知出来る不可思議なものなのだ。エネルギーなどの物理現象とは全く次元が異なっておる。だから波紋には波紋で対抗するしかないのだが…。何故わかったのだ?
結界が張ってある筈の執務室からアンタの波紋が感じ取れた…。あとさ、ブリジットが白帝城を築かせた意味ってなんだと思う? なぜ白帝城なの? どうして貴重な天然のオリハルコンを漆喰に混ぜたの?
白帝城の意味? うむ…。皇帝になったブリジットが自らの権力を誇示する為に世界中からオリハルコンをかき集めたか、暗殺されぬように魔法と共振して赤く反応するオリハルコンの性質を利用して魔法警戒システムを構築したのか、色々と考えられるが…。ブリジットに関する文献は殆ど残っておらぬから実際のところはよく分からんのう…。
わたしさ、自分がブリジットならって考えてたら分かっちゃったの。魔法と共振するオリハルコンを大量に使って城を築いたのは魔法から身を守る為じゃないわ。自分の能力を限界以上に引き出す為の増幅器として、波紋をより敏感に感じ取るアンテナの役目を白帝城にさせたかったのよ。
ほぅ…。流石に同じ能力を持つだけあって中々に説得力がある…。うむ。そうかも知れん…。
今から、白の女皇帝の力を使ってみる。1MP/sの波紋を城に放ってその反射で帰って来た波紋をわたしが受け止める。どれだけ増幅したか見てて。 ……パチッ☆
むむっ…。200MP/sであるな…。確かに増幅されておる…。
ふふふっ。200倍ね。この増幅された波紋、わたしに返って来る前にアンタが共振させたらどうなるかしら…。増幅された波紋の共振効果がわたしに返って来るって思わない? それで一気に最大魔力値を引き上げるの。わたしのMPが無くなったら今度はアンタが予測共振を続けてわたしを失神させる。失神から目覚めたわたしは最大魔力が引き上げられた分、魔力回復量も多い筈よ。その増えた魔力をまた白の女皇帝の力で城に向けて精密放出を行い、以後ループって作業ルーチンを延々と行うの。
……い、いや……いやいや、そのようなゲームのチートの如きことが実際に上手く行く筈が…。なにより危ないではないか。共振効果が本来の値より大き過ぎる。そのようなものを受け入れたら姉上の体にどのような影響が出るか…。もし悪い結果になったら…。
駄目よ。結果を恐れず勇気を出して踏み出さないと得られないものはあるの。わたしにとって今が意志の力を示すときなんだわ…。もう臆病で怖がっていただけのわたしじゃない。変わるって決めたの。同じ過ちは二度と繰り返さない。大切なものは自分の手で掴み取ってやる…。
姉上…。
……大丈夫よ、きっと上手く行く。
わかった。姉上にそこまでの覚悟があるのならもう何も言うまい…。
じゃ、やるわ。まず10MP/sを放出するから。
うむっ。2000MP/sで揃えて共振させる。いつでもよいぞっ。
絶対、絶対、絶対、アンタに追いついて、わたしの波紋でアンタをメロメロに悶絶させてやるんだから…。あぁ、次回が楽しみ…。アンタどんな嬌声をあげるのかしらね…。どんなエッチな顔をするのかしら…。ふふふっ。失敗する気がしないっての…。じゃ、3、2、1、放出! ……パチッ☆
…………(////
なんでやんないのよっ!!
やれるかっ!! 一瞬、からだが固まったわっ! そのようなことの為にするのではないっ!
冗談だよ…。本気な訳ないじゃん。緊張しないように。それだけなのに…。酷いよ…。
そ、そうか、いや、すまぬ…。姉上。ではもう一度頼む…。
うん…。3、2、1、放出! ……パチッ☆
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