挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ちょっとエッチで正しいハーレムの作り方 作者:上級読者

キリノの章 20 ★☆☆ 白帝城(大浴場)

はい…。お仕舞い。よく頑張ったわ。猫猫診療室、解除…。 ……パチッ★

うううっ……。ヒクッ…ヒクッ…(////

下剤のマイクロカプセルは腸のひだの232箇所に吸着して残っていたけど、私の尻尾から直接アンチ魔法を掛けて全部削ぎ落として3回の浣腸で流し終えたから、もう大丈夫よ。……じゃ、からだの洗浄液をシャワーで洗い流すから、立ち上がって。

ヒクッ…ヒクッ…(////

キュッキュッ…。シャー……。ジャバジャバ…。

ううっ…。うう…。ヒクッ…ヒクッ…(////

シャー……。ジャバジャバ…。髪にかけるから目を閉じて。シャー……。ジャバジャバ…。シャー……。ジャバジャバ…。腕を上げて。シャー……。ジャバジャバ…。足を開いて…。シャー……。ジャバジャバ…。右足をあげて足の裏見せて。シャー……。ジャバジャバ…。左足。シャー……。ジャバジャバ…。洗い終わった。お疲れさま…。

ううっ…。アイツ絶対許さない…。うう…。ヒクッ…。殺してやる…。ヒクッ…ヒクッ…。

ブルボン伯を? 残念ながら貴女の手では殺せないわ。

……そうね。わたしには何も出来ない…。

あぁ、そうじゃなくて…。貴女のウンチに下剤が入っていたことを蓮華にもう報告したからよ。かなり腹を立てて殺気まで出していたから、ブルボン伯はもう殺されたんじゃないかなって。

蓮華さんって…わたしをルーレットで射抜いた剣聖…。

そう。私の幼馴染でもあるわ。今日は貴女の城入りのおめでたい日だからショートニング城の人達を皆殺しにまではしないでしょうけど…。私も凄く怒られたのよ。なんで料理を食べるときに見過ごしたんだって。

何かを成すには…やっぱり力が必要なんだね…。

……もう5時ね。予定より随分遅れちゃったけど、まだ時間は大丈夫。嫌なことは湯に浸かって忘れましょう。テクテク…ポチャン…。さぁ、キリノ。

……うん…。トボトボ…ポチャン…。

……どう? 気持ちいいでしょ。

わたし……。力が欲しい。力があれば誰にも干渉されない。自分の好きなように生きられる。わたし、弟がいたんだ。一晩しか会わなかったけど弟を愛していたの。でも、わたしが姉だと分かると危ないからっていって弟はわたしの元から去ってしまった。そして私が持っていた波紋も消されてしまった…。わたしは愚かだった。深く考えることもなく力を捨ててしまったんだ…。そして弟にも会えなくなってしまった…。なんで弟を引きとめられなかったんだろう。なんで力を、魔法を捨ててしまったんだろう。力があれば。魔法さえあれば、わたしは…。わたしは…。

魔法…。魔法なんて使わなくても成し遂げることは出来る。魔法があっても成し遂げられないこともある。魔法なんて関係ない。意志の力の問題だわ。

意志…。でも実際には意志の力だけじゃ魔法には勝てないじゃん…。

……私は三人姉妹の一番下だった。私と真ん中の姉は魔法が使えたけど、年の離れた一番上の姉は使えなかった。貴族の血を引いているからといって確実に魔法が使えるようになるとは限らないの。でもね、私の家が卑劣な連中の奸計によって取り潰されたとき、復讐を姉妹で誓い合ったのだけど、それを成し遂げることが出来たのは魔法が使えない一番上の姉だけだった。復讐相手である最強の魔法使いを人道に反した計略を使っておとしいれたのよ。私にはあんなこと出来ない…。魔法が使えなくても覚悟さえあれば何でも成し遂げることが出来るものよ…。ただ…。奸計をいくら積み重ねても不毛なことでしかない。家が再興する訳でもないし、復讐の代償に姉は死んでしまったわ…。

うう…。ヒクッ…。わたし今度は魔法に甘えそうになってた…。こんなことじゃわたし…。ううっ……。ヒクッ…ヒクッ…。もう…もう泣かない…。こんなことじゃ弟を絶対に見つけられない…。弟と一緒に暮らせない…。魔法がなくても、私は…。必ず…。

……不毛では…なかったのかも知れない。姉は何も生み出さなかった訳ではないのだから…。

えっ?

貴女はもうひとつ勘違いをしているわ。波紋は心臓の鼓動がある限り生まれ続ける…。消えたとするなら貴女が死んで鼓動が止まったとき。でも貴女はいま生きている。波紋は消えていない。

でもアイツは消したって…。

確かに貴女の波紋は感じない。でもそれは上辺に過ぎない。貴女の胸では波紋が生まれ続けている筈よ。多分、貴女の弟さんは、貴女の鼓動から波紋が発生したと同時に対消滅させるような魔法を掛けているんだと思う。波紋は生まれた瞬間に消され続けているの。

それじゃ…。

貴女は魔法を持つことが出来るわ。どうする? 今の貴女なら魔法を持っても大丈夫だと私は思うのだけど…。

大丈夫かどうかわたしには分からない。魔法に溺れないという自信はない。でもアンタの話を聞いて分かったよ。魔法を持つ意味を。

猫猫診療室、発動コード詠唱…。クロクロネコネコ~♪ クロネコ~♪ クロクロ♪ シロネコ♪ ヤマネコ~♪ ……パチッ☆    ☆ミ ☆ミ ピカッ ミ☆ ミ☆    じぁ、対消滅魔法を解除するオペをするわ…。クネクネ……。サワサワ……。ふむふむ……。

む、むねにシッポが(////

波紋というのは、大きくなればなるほどに魔力が増える。一定以上になったら、魔力が実態となって発現する段階に到達する。それが覚醒…。キリノ…。貴女の波紋の大きさが魔法の覚醒段階に入ってるわ。貴女の弟さんが掛けた対消滅魔法を消したら、直ぐにも貴女は魔法使いとなってしまう…。確認するけど、そうなったらもう波紋は隠せず、今まで通りの生活は出来なくなるのよ? 貴女の弟さんの母親に命を狙われて殺されてしまうかもしれない。それでも貴女、魔法使いになるのね? 本当にそれでいいのね?

うん…。

じゃあ、おなりなさい。対消滅波紋に共振強制介入。増幅…。飽和…。臨界…。崩壊…。 ……パチッ★

!? ふぁあ…。わたしの身体、光ってる…。

ふふふっ。魔法使いの世界へようこそ。魔法使いになったらひとつだけ特別な力を持つことが出来るわ。願いなさい。普通では決して使えない特別な魔法、自分だけの特殊能力を…。自分の身を守る力を望むなら、そうね……防御重視なら魔法に対するバリアをイメージしなさい。通常兵器なんて特殊能力がなくたって、魔力が上がれば守りきることは出来るから。攻撃重視なら力よりもスピードをイメージしなさい。攻防共にバランスが取れていいと思うわ。後は…

わたしは…。アイツを見つけ出す魔法が欲しい。弟に会いたい…。

…それでいいの?

欲しいものを叶えるのが魔法ってもんでしょ。わたしが一番欲しいのは強さじゃないんだ。わたしが欲しいのはアイツなの。アイツに会いたいんだ。会ってからのことはそれから努力する。魔法がなくたって意志の力があればどんなことでも成すことが出来る。強くなれるっていったよね? だったらわたし強くなるよ。怖がりで臆病な自分を変えてみせる…。アイツと一緒にいられるように精一杯努力する。それは魔法に頼らない。

へぇ…。じゃ、願って。

うん…。☆ミ ☆ミ 弟を見つけ出す魔法を! 弟に会わせて! ミ☆ ミ☆

……どう?

ううっ……。あっ、あれ?

弟さんの姿、見える?

よく分からない。だって波紋がいっぱい見えて、どれがアイツの波紋だか…。

どのくらいの範囲でどれくらいの数の波紋が貴女に見えているの?

わかんない…。どこまでなんだろう…。いくつなんだろう…。夜空の星々の煌きのように遥か遠くまで、数え切れない程に見えるの。そして、こんなに波紋が多いというのに、どういう訳か全ての波紋をハッキリと感じ取れる…。

もしかしてルーン全ての波紋が見えているのかしら?

多分…。

そっか…。うーん…。ルーン全土で暮らす10万人の魔法使い、その全ての波紋を貴女が見通せるというのなら、貴女の能力の名は『白の女皇帝』だわ…。

白の女皇帝? カッコイイ名前だけど…。なんで?

魔道王国エロスの前進、エロス家の最盛期。強大な魔力でルーン世界の全ての国家を支配下に置いた魔道帝国エロス。第23代女皇帝ブリジット。通称、白の女皇帝。彼女は当時、ほんの僅かしか採取出来なかった天然のオリハルコンを世界中から集めて、この地に小さな白い城を築いたの。そしてその城の中では、いつも白のドレスを身に纏っていたというわ。貴女が身に付けた能力は、その皇帝が持っていた能力と同じなのよ。700年前かしら。それから今までこの能力が発現した人はひとりもいなかったのだけど…。

へぇ…。なんかよく分からないけど、皇帝が使ってたって凄いね。でもこの能力ってあんまり強くなさそうだし、ブリジットさんってかなり弱かったんだろうな…。教科書にもそんな人のこと書かれてなかったし。もしかしたら、わたしと同じで好きな人を探したかったのかな…。ちょっと親近感湧くかも…。 ん? あっ! ああ~っ! 見つけた。これアイツの波紋じゃん。って、ええっ!! なんでこんなに近いの!?

そりゃ、貴女の弟さん、この国の王子ですもの。今、この階の一番奥の執務室にいる筈よ。

へっ!?

王子との謁見で吃驚させたら面白いかなと思って、黙ってたの。ごめんね。

えええええええぇ!? 本当に、本当に、アイツ、王子なの?

うん…。ごめんなさい…。

信じらんない!! ルーレットもインチキね!! アイツ、わたしのこと、からかってたのね!! もぅ~~~っ!!!!! アイツの部屋行って、ぶん殴って来る!!

キリノ、これ! ポイ~。

~パシッ。 ん? デッキブラシ?

貴女の腕力じゃ、あのヘタレ王子は目覚めないわ。殴るんならそれでガツンとおやりなさい。大丈夫、魔法使いなんだから、それくらいじゃ死にはしないわ。思いっきりぶっ飛ばして来なさい。貴女の最大MPは120MP。王子の探索で100MP使ったわ。残り20MP。時間にして『白の女皇帝』は今日あと7秒しか使えない。でも上手く能力を使えば一発くらいは入る筈よ。

うん!! じゃ、これでボッコボコにしてくる。バタバタバタ…。

あぁ、裸で行っちゃ駄目よ! 部屋に謁見用の白いドレスがあるから、それ着てお行きなさい。ちょっとまだ時間には早いけど、これが貴女の王子への謁見の儀になるのだから…。

わかった~!! 行って来ます~~~~!!  バタバタバタ…。

あはははっ。あの子、怒ってるのか嬉しのかどっちなんだ。ほんと元気で可愛いよね…。

蓮華…。貴女いつからいたのよ。

一時間程前かな。ブルボン伯の首を王子へ届けに戻ってから、ここで猫猫診療室の医療なるものをずっとみてた。凄いねアレ…。今度わたしもやって貰おうかな。

な、なにいってるのよ、馬鹿、そ、そんなの絶対に嫌よっ(////

キリノには出来ても、わたしには出来ないのか…。残念…。

……ねぇ、貴女の言った通り、キリノに心と波紋を伝えたけど…。でも本当にこれで良かったのかしら?

うん。ご苦労さま。いや、大変なのはこれからか。

第23代女皇帝ブリジット…。白の女皇帝は、白帝城の玉座から世界の全ての魔法使いの波紋を捉えて監視することで世界を完全支配したと伝えられているわ。そして自分を脅かす強い魔力を持つ者達を感知すると、何の躊躇もなくその者達の波紋の源を狂わせ心臓を停止させていったとも…。ブリジットは狂気の暴君とも呼ばれているの。

へぇ…。そうなんだ。

勿論、まだキリノにはそんなことは出来ない。でも魔力が上がれば、いずれ出来るようになる。ブリジットのせいで当時、世界に200万人いた魔法使いが5万人にまで減ってしまった。大丈夫なのかしら、そんな強い能力を今の時代に蘇らせてしまって…。

もしキリノの力が王子に仇なすというのなら、その時、わたしがキリノを斬るまでのこと。そうでなければ何万人魔法使いを殺そうが、わたしには関係のない話だ。やりたければ好きにやればいいさ。でも大丈夫じゃないかな…。アイツ、世界支配なんて全く興味なさそうだし。

そうね…。あの子、王子以外はまるで眼中にないみたい…。ふふっ。王子には世界平和の為にも長生きして貰わないと駄目ね…。あの子が…キリノが母から受け継いだ強い意志は、人を恨んだり傷つけることじゃなく、人を愛することに向け続けて欲しい…。

……アンタとキリノの話を聞いてて思ったんだけど、もしかしてキリノの母親ってアンタの…。

そうよ。あのエメラルドグリーンの瞳、山猫姉さんにそっくりだわ…。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ