キリノの章 11 ★★☆ 高山邸(廊下・キリノの部屋)
もう深夜1時…。長いお説教だったね…。
キリノは余への気持ちを父へ訴え、風呂でのことも懸命に庇ってくれた。恥ずかしかったであろうに…。すまなかった。
そんなの全然気にしないで。それより、うちのお父さん心配性だから、わたしに何かあると少し理性を失っちゃうところがあって、アンタにあんな失礼なこと言ったり…。変なことしたり…。本当にゴメン…。
余が席に座ったら、いきなりふところからトカレフを取り出して至近距離からの6連射、さらには刀で余のクビを撥ねようと、まさに鬼のようであったわ…。
ほ、ほら、アンタ魔法使いだから多少無茶しても大丈夫だと分かっててやったんだと思う。舐められないように、ちょっと威嚇したかっただけ……なんじゃないかな。汗汗…。
余が魔法使いであることを告げたのはもっと後だったように記憶するが…。しかし、そのようなことは些細なこと。大切なのは、キリノの父は最後には余とキリノの仲を認めてくれた、ということだ…。
うん…(////
娘の気持ちを親が汲み取り尊重すると言っても、どこの誰とも分からぬ、記憶すら持っておらぬ余を、大切な娘の相手として認めるのはキリノのことを信じきっておらねば出来ぬことだ…。
……お父さん、始めはアンタのこと汚く罵ってはいたけど、最後は結構気に入ってたんだと思う。アンタって髪の色もそうだけど、どことなく雰囲気がわたしに似ているんだ。わたしがアンタを弟のように感じたのと同じように、お父さんも…。
雰囲気が似ておるか…。確かにそうかも知れぬ…。だが目の色はお互いに違うぞ、そちはこのように綺麗なエメラルドグリーンをして、余はその瞳をみているとむしょうにキリノが欲しくて堪らなくなってしまう…。チュッ(////
やんっ、だ、駄目だよこんなところで…。わたしの部屋もう直ぐだから…それまで、ね? 我慢して(////
う、うむ。すまなかった。
ふふっ…。でも雰囲気が似ているってだけで、アンタの方がわたしよりズッと綺麗だよ…。もうっ。弟の癖に、お姉ちゃんより可愛いってちょっと生意気だぞっ。チュッ(////
へ、部屋まで我慢するのではなかったのか。余は本当に我慢出来なくなるぞ。チュッ(////
うへへ…。もう着きました…。ここがわたしの部屋なの…入って(////
う、うむっ(////
ちょっと散らかってて恥ずかしいけど(////
ほおっ……。女の子らしい可愛い部屋であるのう。クンカクンカ…。うむっ。キリノの匂いがする…(////
どんな匂いなんだろ…まさかパンツの匂いじゃないでしょうねって、そんなの恥ずかしくて聞けない…(////
ふははははっ。可愛いぬいぐるみやクッションが沢山転がっておって心が和むわ…。勉強机、本棚、ベッド…。そしてTVか…。大きなTVであるな…。100インチのブラビアか…。どこかで…。いや、余の気のせいであろう…。プチっとな。
こんな時間に番組なんてやってないよ…。あれ? なんかやってるね…。
……続報が入って来ました。反乱部隊はほぼ制圧され、先日夕刻からの鳳凰宮での戦闘は収束に向かっているとのことです。繰り返します。反乱部隊はほぼ制圧され、先日夕刻からの鳳凰宮での戦闘は収束に向かっているとのことです。今回の反乱事件に関する詳細はまだ不明ですが、国軍が包囲しているのは鳳凰宮南区域、性約監査本部である第63塔です。昨夜9時に王家直属の特殊部隊が突入した際には塔周辺の魔力係数は瞬間最大で34億6500万MP/s、積算で523兆2100億MPが計測されています。これは我が国の年間消費電力の実に20倍にも及ぶカロリーが消費されたことに相当し、魔力観測衛星ヒマワリからは9時以降から鳳凰宮南区域にて時空の歪みの発生が複数回観測されています。これらのことから塔内部において、相当激しい魔力戦闘があったことが窺えます。ただそれも次第に収まり、本日深夜1時、反乱部隊はほぼ制圧されたという情報が……えっ!? Vが来てる!? 現地からのライブ映像が入りました。それでは現場の若林レポーター……。若林レポーター……? あれっ? 若林さん…?
若林は死にました。くくくっ。わたくし暗黒公爵サキエルと申します。若林の死を見取った者です。彼は凶弾に倒れ、後は頼むと私にこの血まみれのマイクを託したのです。くくくっ。皆様、血塗られた惨劇のステージにようこそ。残念ながら、もう最終幕でございますが、王子に歯向かう不貞の輩の末路がどうなるのか、存分にお見せしましょう。くくくっ、もし小さなお子さまがこのような深い夜に起きていたのなら、その可愛い目をお閉じ下さいませ。可愛い耳をお塞ぎ下さいませ。よろしいですか? くくくっ。では王子、長らくお待たせ致しました。暗黒の舞踏、サキエルの舞をとくと御覧あれ… プツッ。
詰まらん…。ん? どうしたのだキリノ。震えておるのか?
ニュースを観てたアンタの顔、ちょっと怖かったかも…。ガタガタ…ブルブル…。
顔に出ていたか…。キリノを怖がらせてしまって、すまぬ…。チュッ(////
んっ…。えへへ…(////
震えは止まったようだな。すまなかった。頭、撫で撫で。
うへへ…(////
TVなぞ見なければよかった…。キリノよ…。実は…。余は…。んっ? 目を閉じて余の方へ顔を向けておるが、もっとキスをして欲しいのか?(////
うん!(////
うむっ。チュッ(////
にょへへ…。お返しだぞ。チュッ(////
むむっ。チュッ(////
にょほほ…。ねぇ…こんな時間だし、もう寝よっか…(////
う、うむ…。だがベッドはひとつ…(////
ふたつ必要なの?(////
ひとつでよい…(////
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