「個人情報を大量に漏えいさせた企業としてはあまりにも不用意な対応だと思いました。謝罪文を郵送するにしても、書留にするなどの配慮ができなかったのか。責任感に欠けるのではないか」(同)
利用者の怒りの声をベネッセコーポレーションはどう聞くか。
同社は「発送業務は外部委託している」(広報担当)とした上で、「現状では会員番号がわかったからといって何かができることはない。お客さまに実害が及ぶ可能性は低いと考えている」(同)と回答した。
そもそも今回の不祥事は、利用者の情報管理を外部委託していたために起きた側面がある。
顧客情報を持ち出したなどとして、警視庁に不正競争防止法違反容疑で逮捕されたシステムエンジニア(SE)の男(39)はベネッセの業務委託先に所属していた。
情報漏えいの被害に遭った利用者の問い合わせに応じる専用の電話窓口も、ベネッセは外部のコールセンターに委託している。
消費者問題に詳しい岡田崇弁護士は「個人情報を流出させたベネッセの当事者意識の低さが、消費者の不信感を募らせている」と指摘し、こう続ける。
「実害がないとはいえ、個人情報の流出を起こした後なのだから、利用者側に不安感を抱かせる対応は極力避けるべきで、会社の対応の悪さを指摘されても仕方がない。そもそもベネッセは問題発覚当初から、委託先の会社や情報を流出させたSEの責任ばかりに言及し、『自分たちも被害者だ』と言わんばかりだった。被害弁償についても、しないと言ったりすると言ったり。対応が場当たり的で、企業の不祥事対応としては最悪の部類に入る」
教育事業に関わる企業としての姿勢が問われている。