東大論文不正:元教授強圧的指導 調査委「懲戒処分相当」
毎日新聞 2014年08月01日 11時41分(最終更新 08月01日 12時35分)
東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題で、同大科学研究行動規範委員会は1日、「論文5本について捏造(ねつぞう)や改ざんの不正があった」と認定したうえで、加藤氏が部下に強圧的な態度で不適切な指示や指導を繰り返したことが不正の背景にあったとする調査結果を発表した。加藤氏が論文撤回を回避するため、不正の証拠となる画像や実験ノートの改ざんを部下に指示したことも認定した。
同委員会は、加藤氏のほか3人が不正にかかわったことを認定。既に全員が東大を辞職しているが、「懲戒処分相当の可能性がある」と結論付けた。同委員会は残る論文について、調査を続ける。
同委員会は昨年12月、加藤氏らの論文51本について、科学的に不適切な図などが計210カ所あったと公表した。その後の調査で、加藤氏▽柳沢純氏(当時助教授)▽北川浩史氏(同特任講師)▽武山健一氏(同准教授)−−の4人が責任著者などを務めた5本の論文について、画像の加工や張り合わせの跡などが確認されたことから、同委員会は「捏造や改ざんがあった」と不正を認定した。
研究室の主宰者である加藤氏については、「論文の捏造や改ざんを直接行った事実は確認できなかった」とする一方、「研究室の教員や学生に対し、技術レベルを超える実験結果を過度に要求し、強圧的な態度で不適切な指示や指導を日常的に行ったため、教員らが『加藤氏が捏造や改ざんを容認、教唆している』と認識したことが問題の主因となった」として、加藤氏の不適切な研究室運営が不正行為を生む環境を作ったと結論付けた。
また、調査結果によると、柳沢氏と北川氏は、自ら論文の捏造や改ざんをしていた。武山氏は加藤氏の指示に従い、論文撤回につながる不正を隠すため実験ノートや画像の捏造などに協力した。
加藤氏は1日、「不正行為を未然に防げなかったことは猛省している」とする一方、「今回の判断は、事実をまげて私の名誉を毀損(きそん)したもので、到底承服できない。今後、専門家と協議の上、適切に対応する」とのコメントを発表した。【河内敏康、須田桃子】
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