Web Original
川崎の攻撃を指揮する中村憲剛。しかし、彼のパスや展開力だけに頼るのではなく、前線の動き出しや連動性こそが好調の理由だろう。
photograph by J.LEAGUE PHOTOS
Jをめぐる冒険

7月全勝の川崎Fが確立した思想。
“繋ぐ”ではなく“崩す”から考える。

飯尾篤史 = 文

text by Atsushi Iio

photograph by J.LEAGUE PHOTOS

 相手の嫌がることをしているはずなのに、それが歓迎されているのだとしたら、仕掛けている側はたまったものではないだろう。

 だが実際、現在の川崎フロンターレの選手たちは、激しくプレスに来られることを歓迎している。

「ガツガツ来てくれたほうがいいですね」

 17節のアルビレックス新潟戦のあと、はにかみながらそう言ったのは、中村憲剛とボランチを組む大島僚太だ。今やチームに欠かせない主軸となった21歳の技巧派は、笑顔で続ける。

「そのほうが相手はバテやすくなりますから」

 その言葉の背景にあるのは「簡単にボールを失わない」という、自分たちの技術や視野に対する絶対的な自信だ。

「この暑さのなかでの連戦ですから、キツイことはキツイんですけど、相手のほうが絶対に苦しいだろうなって思いながらプレーしています」

再開後、天皇杯を含めて5連勝。

 ワールドカップが終わって再開したJ1リーグで、川崎の好調ぶりが際立っている。

 中3日の間隔で行なわれた4連戦にすべて勝利し、天皇杯を含めると5連勝。リーグ戦の順位も3位に浮上し、首位・浦和レッズとの勝点差は3、2位・サガン鳥栖との勝点差は1という好位置に付けている。

 興味深いのは、リーグ戦4試合でマークしたゴールがすべて、後半に入って生まれている点だ。ただでさえ、うだるような暑さで体力の消耗が激しい夏場のゲーム。しかも、中3日の4連戦だったのに、なぜいつも後半にスコアを動かせるのか。その理由として挙げられるのが、「主導権を握って相手を押し込む」スタイルの優位性だ。

【次ページ】 大島「前半は0-0で終わってもいい」

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • deliciousに追加
Jリーグ トップへ ナンバーウェブトップへ

Jをめぐる冒険 バックナンバー

ランニング特集 『Number Do』 第2号発売中! 見つけよう私の健康ノウハウ「カラダStylen for MEN」
言わせろ!ナンバー最新の投稿
W杯王者ドイツと欧州CL王者レアル・マドリー、もし戦ったら勝つのは?
レアル・マドリー

チームとしての戦略や意思疎通が圧倒的に練られている。すべて読む

Hideinaさん
2014/08/01 08:40
に投稿
香川真司にボランチ適性はあるか?
ある

戦術次第では? 守備力が必要という意味でのボランチ起用は、体格やプレースタイルから考えにくい。ただ知将ファンハール監督のや  …すべて読む

rickyさん
2014/08/01 01:18
に投稿
言わせろ!ナンバーについてお題をもっと見る
  • <NumberWebリニューアル記念> トップパネルギャラリー
最新号表紙
858
7月31日発売
真夏の絆。
~甲子園熱球白書~