高1同級生殺害:「殺しかねない」医師相談…児相止まりに
毎日新聞 2014年08月01日 06時30分(最終更新 08月01日 07時50分)
長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件を巡り、児童相談所の対応が問題化している。県関係者によると、殺人容疑で逮捕された高校1年の少女(16)について精神科医から「人を殺しかねない」という趣旨の相談があったが、長崎県佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)は関係機関に連絡しないままだった。センターは「可能な限りの対応をしたが、今後検証する」としている。【小畑英介、大場伸也、平川昌範】
31日にあった長崎県議会文教厚生委員会で県が相談概要を報告した。報告や県関係者によると、精神科医は6月10日に「生徒の名前は言えないが、高校1年生の女子に関する相談がしたい」とセンターに電話があった。内容は猫の解剖や父親への暴力などこれまでの少女の問題行動を告げ「人を殺しかねない」という趣旨だった。
センターによると、精神科医は少女の名前を明かさなかったという。相談を受けた児童福祉司は精神科医に「助言」し、宮崎慶太所長に報告したが、県や佐世保市、警察など他の関係機関には連絡しなかったという。
相談電話はその1回だけだった。事件後に精神科医に照会したところ、逮捕された少女のことだったと分かったという。
宮崎所長は「児童の名前が分からない状況だったが、その段階で可能な限りの話をしたと考える。十分ではないが、可能な限りの対応をした」と釈明した。
ただ「問題点がなかったか洗い直しの作業を考えていかなければいけない」と述べ、対応が妥当だったか検証する考えを示した。医師以外から少女に関するセンターへの相談はなかったという。
生徒が通った高校の副校長は一般論と断った上で「児相との連携があれば事件を防ぐことにつながったと思う」と話した。
◇関西学院大の才村純教授(児童福祉論)の話
児童相談所は相談を受けた段階で対応をどうするか、記録に残し決裁を残すのが原則。まず、子や親に会い成育状況などを確認しなければならない。他の行政機関と連携するにしても会わなければ判断のしようがないはず。相談を受ければ子や親に会うのは相談機関として当然だし、会わずに判断したのなら無責任だ。