NHKがネット視聴者からも受信料徴収の意向、これってどういうこと?
THE PAGE 8月1日(金)7時0分配信
NHKの籾井勝人会長は7月23日、新聞各社のインタビューにおいて、放送法を改正した上で、ネット視聴者からも受信料を徴収する意向を明らかにしました。ネット利用者からは様々な意見が出ています。
現在、NHKの受信料は、放送受信を目的として受信機を設置したすべての世帯に支払い義務が生じる仕組みになっています。NHKの受信が目的であるかは問われませんので、基本的にテレビを見るために受信機を設置した世帯は受信料を支払わなければなりません。
ネット上でもテレビ番組を見ることができますが、リアルタイムで放送と同じ内容のものを流しているわけではありませんから、こちらは受信契約の対象とはなりません。テレビを保有していない世帯でも、テレビチューナーを内蔵したパソコンやワンセグ機能を持った携帯端末を所持している場合には、受信料を支払う必要があります。しかしあくまでもテレビを受信できる受信機を所持しているからであって、インターネットにつながるからという理由ではないわけです。
籾井氏の発言は、放送法を改正し、テレビ放送の内容を常時インターネットでもリアルタイムに流せるようにするということを意味しています。もしこれが実現すると、これまで一対一の通信という位置付けであったインターネットが、放送局による不特定多数向けの放送と同じになります。そうなってくると、籾井氏が述べているように、テレビ番組を見ることができるパソコンや携帯を所持している人との間にも、受信契約を結ぶことが可能という解釈が成立してくるわけです。
もっともこうした考え方に対しては、ネットを中心に反発の声が上がっています。そもそもネット視聴者に対してどのように課金するのかという技術的な問題もありますし、テレビの既存視聴者との二重徴収に対処する必要も出てきます。ネット視聴者から受信料を徴収することは容易なことではないでしょう。
NHKの受信料についてはこれまで様々な意見が出されており、国民的な合意が形成されているとは言い難い状況です。
外国の国営放送としては英国BBCが有名ですが、BBCはテレビの受信料を支払っている人向けに、ネットの同時再送信サービスを行っています。英国ではテレビの視聴が許可制になっており、無許可での視聴は罰則の対象となります。BBCは確実に受信料を徴収できますが、罰則規定まで設けて受信料を徴収するということになると、BBC側も相応の責任を負う必要が出てきます。BBCでは何か大きな問題が発生すると幹部が辞任する事態に発展することもあるようです。
受信料の問題をクリアにするためには、そもそも日本の公共放送はどうあるべきか、もっと議論する必要がありそうです。このあたりがはっきりしてくれば、よい解決策が見えてくるでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
最終更新:8月1日(金)7時0分
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