エコノミークラスでも心地よく空の旅を楽しみたいというのは、世界のトラベラーに共通する願いだ。そこで、ニュージーランド航空はこの秋から就航するボーイング787-9型機に、エコノミークラスでもソファーのようにゆったりと横たわれるシートを設置した。名付けて「エコノミー・スカイカウチ」。11月、日本路線にも登場する。
7月、ニュージーランド航空が新型機「ボーイング787-9型ドリームライナー」を、製造元のボーイング社から受け取る式典が米シアトル近郊で開かれた。同社のエバレット工場での式典には、ニュージーランド航空やボーイング社をはじめ、エンジンを手がけたロールスロイス社の関係者や世界各国の報道陣など1千人以上が集まった。
ニュージーランド航空CEOのクリストファー・ラクソン氏は、「787-9型機は、ニュージーランド航空にとって新しい時代の幕開けです。ローンチカスタマーになる機会に恵まれ、早くニュージーランドに飛行させたいと、プロジェクトチーム一同楽しみにしています。お客様にお乗りいただく日が、待ち遠しくてなりません」と話した。
世界ではじめてお目見えした787-9型機は、美しいブラックボディが印象的だ。ニュージーランドの先住民マオリにゆかりが深いシダが白くデザインされている。機体は前の型より全長が6メートルほど長くなった。
ニュージーランド航空では今後、計10機を運行させる。10月にオークランド-パース線でから就航を開始する。
式典の後、私は、完成したばかりの787-9型ドリームライナーが納品されるニュージーランドのオークランド国際空港までの「デリバリーフライト」に搭乗した。
座席は、「ビジネス・プレミア」「プレミアム・エコノミー」「エコノミークラス」の3クラスに分かれ、エコノミークラスのうち14列には、ニュージーランド航空が誇るオリジナルシート「エコノミー・スカイカウチ」が導入された。
「エコノミー・スカイカウチ」は窓際に並ぶ3席で、離着陸時には折り畳まれている足元のクッションを座面と同じ高さまで水平に上げると、前の座席の背もたれまで隙間がなくなり、ソファー状になる。まさにカウチ(寝椅子)というネーミングがぴったりだ。
シートの上に敷くマットレスのおかげか、3席をつなげた段差はほとんど気にならない。大人ふたりだと体が密着することになるものの、小さな子どもに添い寝するには十分なスペースがある。エコノミー席ながら、夫婦やカップルで身体を伸ばし、リラックスした空の旅を味わうことができるだろう。
女性でも簡単に操作できるが、わからないことがあれば、フレンドリーな国民性で世界でも指折りの「キウイ」(ニュージーランド人の愛称)のクルーが満面の笑顔で手を貸してくれる。
「これがあればビジネスクラスなんていらないのでは」とも思ったが、ビジネスクラスのキャビンを見て心が変わった。シートは1-1-1の並びで斜めに配置されたヘリンボーン型。全席から通路に出ることができる。高級レザー張りのシートは、もちろんフルフラットのベッドになる。
フライトの疲労感が軽減される居住性の高さでも評価されるドリームライナーの登場で、成田からニュージーランドへの空の旅がもっと楽しくなりそうだ。
(ライター 江藤詩文)