日ハム先発・斎藤佑樹=QVCマリンフィールド(撮影・吉澤良太)【拡大】
午後9時45分。最後の打者、サブローが見逃し三振に倒れるとベンチの真横にいた増井に抱き締められた。斎藤佑樹、26歳の夏。24歳の誕生日だった2012年6月6日以来、785日ぶりの白星に白い歯がこぼれた。
「2年間、待ってくれたファンの皆様に感謝します。第2の野球人生が始まります。これからも一緒に頑張りましょう」
復活の100球だ。一回から得点圏に走者を背負う苦しい展開。最速は自己記録に8キロも及ばない139キロだった。「気持ちで負けないようにした。変化球がうまく機能しました」。最大瞬間風速は6メートル。幕張の海からホーム方向に強風が吹き、恒例の花火も中止になった。だが、それが斎藤に味方した。球場の構造上、バックネットにぶつかった風が巻くようになり、変化球の曲がりがより複雑になる。「ちょっとは影響があったかも」と斎藤。“幻惑球”で要所を締め、6回6安打1失点にまとめた。
プロデビュー戦となった11年4月17日のロッテ戦(札幌ドーム)。5回4失点で初勝利を挙げた。球場は違えど同じロッテ戦。「最初に投げたときは、こんな簡単に勝てるんだと思っていた。きょうは野球の難しさを知りました」。