復活・「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門

「ネイティブ広告」の議論は、とっとと終わらせよう!――混乱を招く5つの誤解――第1回

「アドタイ」読者の皆さま、お久しぶりです。2013年7月〜2014年2月までの「アドタイ」上での私のコラムをもとにした書籍が発刊の運びとなり、プロモーションもかねて期間限定で、コラム「広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門」を復活させていただきます。

コラム開始当初と比較すると、ここ最近「コンテンツマーケティング」という言葉を聞く機会が格段に増えました。そして、コンテンツマーケティング議論の中で、常に語られるのが「ネイティブ広告」の話です。

日本で「ネイティブ広告」という言葉が聞かれ始めたのは3年ほど前のことで、言葉自体は以前からあったものの、最近になって急に注目を集めるようになりました。しかし、その定義をめぐっては様々な意見が噴出。しばらく収まりそうにありません。

このコラムでは、まず全3回で「誤解される5つの理由」を挙げながら、「ネイティブ広告」とは何かを考えていきたいと思います。

例えば、よく見かける議論は「ネイティブ広告って、昔からある記事体広告のことじゃないか!どこが新しいんだ?」という意見です。

しかし米国のネット広告協会(IAB)が2013年12月に発行したレポート「THE NATIVE ADVERTISING PLAYBOOK」を見てみると、「ネイティブ広告の6つの分類」が提示されています。それを図解すると次のようになり、記事広告はその具体的な手法の一つであり、ネイティブ広告はもう少し幅広いものであるようです。

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特に面白いのは、様々な具体的な手法を紹介しておきながら、右下の6番は「カスタム・分類できない / Custom “Can’t Be Contained”」とされており、いわば「形式はなんでもあり」としているところです。

例えばLINEのスポンサードスタンプ(企業とコラボした無料スタンプ)も独特なので、この分類で言えば6番目に入るでしょう。ユーザーはそれが「広告」だとわかっていても積極的に利用し、コラボした商品の売り上げにもつながっており、ネイティブ広告の条件を満たしていると言えます。

ここまで広げて考えていくと、冒頭の「ネイティブ広告とは、記事体広告のことだ!」という意見には矛盾がでてきます。そして、「分類できない」という項目まで包含されていることがネイティブ広告というもののあり方を如実に示していると言えるのではないでしょうか。

つまりは「ネイティブ広告」とは、個々の制作フォーマットや制作物を限定しようとする話ではなく、むしろ「広告をコンテンツとして扱った方が結果を出せる」という考え方であり、ロングテール、フリーミアムといった抽象度の高い言葉と近いものだと言えそうです。

そのような概念と、具体的な手法の話は切り分けないと混乱してしまいます。そこでネイティブ広告が誤解される理由の一番目に、次を挙げたいと思います。

≫次ページ 「誤解される理由①」に続く

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