国内3位の航空会社スカイマークと、欧州の大手航空メーカー、エアバス社との間でトラブルが起きた。ざっとこんな経緯だ。

 国際線への参入を目指すスカイマークはエアバスの超大型機「A380」6機を購入する契約を結んだが、業績悪化で計1900億円の代金支払いが苦しくなり、見直しを申し入れた。

 これに対し、エアバスは解約を通告。スカイマーク側によると、必要ならスカイマークが大手の傘下に入って違約金などの支払いに万全を期すよう求めたという。

 スカイマークは、東証1部上場企業だ。経営に直結する問題に発展した以上は、投資家や取引先、利用者らに情報をきめ細かく開示してほしい。

 特に、安全運航に影響を及ぼす事態は許されない。2年前には運航を巡るトラブルが相次ぎ、国土交通省から厳重注意を受けているだけに、なおさらである。

 今回のトラブルの前から、経営環境には厳しさがあった。最大の要因は、格安航空会社(LCC)の急速な台頭だ。

 スカイマークは、運賃の安さを武器に「元祖LCC」を自負し、日本航空と全日本空輸の2強体制に挑んできた。ところが最近のLCCは安さでスカイマークを上回る例が珍しくない。そこに円安に伴う燃料費の増加などが追い打ちをかけ、スカイマークは前期決算で5年ぶりの赤字に転落した。

 国際線への参入は打開策のひとつだったのだろう。ただ、大型機の運航は大きな利益を期待できる半面、空席が増えると一気に収益が悪化する。年間売上高の2倍を超える投資を伴う参入に、西久保慎一社長も「甘さがあった」と認めている。

 スカイマークの設立は1996年。羽田空港の滑走路増設を受け、政府が新規参入組を後押ししていたころで、エイチ・アイ・エスの支援を受けたスカイマークは象徴的な存在だった。

 2003年にはIT業界出身の西久保氏が大株主となって経営に乗り出した。大手2社の出資を仰がない「独立系」として、低運賃を通じて空の旅を身近にした功績は小さくない。

 ただ、ここ数年は「お騒がせ企業」として注目されることが多かった。「機内で苦情は受け付けない。消費生活センターへ」と乗客に案内して物議をかもし、女性客室乗務員のミニスカートが論議を呼んだ。

 経営戦略を練り直し、利用者を味方につけて巻き返せるか。正念場である。