すき家:過酷な労働環境…新入社員59%3年以内に退職
毎日新聞 2014年08月01日 01時14分(最終更新 08月01日 01時32分)
牛丼チェーン「すき家」の過酷な労働環境が31日、第三者委員会の報告書で明らかになった。人材確保が追いつかないまま拡大路線を続けた無理な経営が原因といえ、日本一の牛丼チェーンにのし上がった戦略の転換は不可避と見られる。
「深夜、1人で接客や清掃をするのは大変」「慢性的に人不足だが、冬の鍋メニューの時期は作業が増え、アルバイトが大量に辞めた」−−。4月下旬、東京都内にあるすき家の複数のアルバイト店員は、毎日新聞の取材に過酷な労働実態を証言した。
第三者委はこうした過重労働の要因として「明らかな人手不足の状況なのに、新規出店を続けた」ことを挙げた。すき家の店舗数は4月時点で1986店舗と3年前に比べ400店舗以上増加。これに対し新入社員と退職社員の数はほぼ変わっておらず、「現場に無理をさせない限り、運営できないことは明らか」と指摘した。2011年の新入社員の58.8%が3年以内に退職した実態も示した。
ゼンショーホールディングス(旧ゼンショー)は小川賢太郎会長兼社長が1982年、横浜市に設立。すき家は全店直営店舗を堅持し、「24時間365日営業」を売り物に店舗を拡大してきた。08年には、吉野家を抜いて牛丼チェーン数1位に上り詰めた。
小川社長は会見で「経営幹部が拡大路線の成功体験を引きずっており、意識が変わらなかった」と語った。ただ「従業員に過重な負担をかけ、経営としても遺憾」と言いながら、最後まで明確な謝罪の言葉はなかった。
同社は6月から、すき家を全国7地域に分社化。きめ細かく店舗を回って労務実態を改善するとしている。だが、第三者委は「分社化は始まったばかりで、確定的な評価を下す段階ではない」と今後の改善状況次第との認識を示した。【種市房子、神崎修一】