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【主張】北海道電再値上げ 「原発ゼロ」の重い代償だ
北海道電力による電気料金の再値上げ申請は、「原発稼働ゼロ」という異常事態の代償といえる。原発なしのままでは他の電力会社も料金引き上げは避けられない。
東日本大震災後、平均的な電気料金は家庭用で2割、産業用で3割も上がっている。
家計の負担増だけでなく、産業界も値上げで悲鳴を上げており、日本の国際競争力の低下にもつながりかねない。これでは、安倍晋三政権が目指す日本再生も果たせない。
国民生活と産業の基盤である電力を安価で安定的に供給するためには、安全性を確認した原発の早期再稼働が不可欠だ。政府はその実現に向けて真剣に取り組むべきときを迎えている。
北電は昨年秋に値上げした際、今年6月までに泊原発の全3基が再稼働することを前提に料金を算定した。だが、原子力規制委員会の審査が長引き、実際には1基も運転を再開していない。
一方で、原発に代わってフル稼働が続く火力発電向けの燃料費が膨らんでいる。大幅な赤字計上を強いられた北電は、電力業界で初めての再値上げ申請を余儀なくされた格好だ。
北電に対しては、徹底した経営の合理化が求められる。家計や企業に重い負担を強いることになる値上げの幅を、少しでも圧縮するためには、遊休資産の売却や人件費の削減などの合理化に取り組む必要がある。
だが、そうした経営努力にも限界がある。
発電コストの多くを占める燃料費は、価格の高騰に円安も加わって上昇が続いているからだ。設備投資を大幅に減らした場合には、安定的な電力供給に支障が生じる恐れもある。一定の料金値上げはやむを得ないだろう。
長期化する原発ゼロは、西日本地域における夏場の電力供給にも深刻な影響を与えている。電力不足で、運転開始から40年以上を経た老朽火力も酷使しており、故障などによる停電も心配だ。
原発の再稼働がこのまま進まなければ、北電に続いて関西電力や九州電力、そして東京電力なども再値上げを迫られる。
安倍政権は、年内に消費税の10%への引き上げを判断する。だが、電気料金の値上げと電力不足を放置したままでは、日本経済は再増税に耐えられない。
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