ここに注目!「高1女子殺害事件~動揺広がる教育現場」2014年07月31日 (木) 

西川 龍一  解説委員

ここに注目!です。長崎県佐世保市で、高校1年生の女子生徒が同級生に殺害された事件。長崎県教育委員会は、県内の高校などの校長を集めた緊急の会議を開くなど教育の現場も対応に追われています。西川解説委員です。


Q.この事件、学校関係者にとってもショックは大きいですね。

A.現地の学校関係者の間には、動揺が広がっています。長崎県では、今回事件が起きた佐世保市で、10年前にも小学6年生の女の子が学校で同級生に殺害される事件が起きました。この事件以降、長崎県教育委員会は、命を大切にする心をはぐくむ教育を進めてきました。
逮捕された高校1年生の女子生徒は、事件の翌年に小学校に入学し、この教育をずっと受けてきたわけです。このため、きょうの校長会では、これまで進めてきた指導の仕方に問題がなかったのかといったことについても、協議する予定です。

Q.佐世保市の場合は、事件が繰り返される形となったわけですね?

A.私も現地で取材をしてきましたが、佐世保市教育委員会は、途方にくれているといった状態です。10年前の事件を受けて、こうした取り組みにとりわけ力を入れてきたのが佐世保市でした。佐世保市では、道徳を中心とする心の教育にとどまらず、地域や家庭の協力も得て、子どもたち同士のコミュニケーション能力を高めるため教師がどうするべきなのか独自の研修を毎年実施したり、学年の異なる子どもたちが合宿を行って相談相手や居場所を作るような取り組みも行なったりしてきました。
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こうした取り組みは全国的にも注目され、県外からの視察も相次いでいた最中に今回の事件が起きました。佐世保市教育委員会の幹部の中には、これまでの取り組みのどこに不備があったのか、見当がつかないという声も聞かれます。

Q.どこをどうすればよかったのでしょうか?

A.それを知るために必要なことは、動機の解明に尽きると思います。
逮捕された女子生徒は、「猫を解剖しているうちに人を殺してみたくなった」などと徐々に動機につながる供述を始めているということですが、なぜそのようなことを考えるようになったのかが重要です。女子生徒は、この春から親元を離れて1人暮らしをしていましたが、公教育ではカバーしきれない家庭という要因を含むだけに、教育現場だけでは解決できない問題をはらんでいます。それぞれが役割を果たせていたのか、連携の検証も重要だと思います。
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