厚生労働省が31日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.3%増の24万3019円となり、2年3カ月ぶりにプラスに転じた。今年の春季労使交渉で、大企業を中心に賃金水準を底上げするベースアップが広がったためとみられる。残業代も増え、現金給与総額も0.4%増と4カ月連続で伸びた。
従業員5人以上のオフィスや工場を調べた。基本給を業種ごとにみると、不動産・物品賃貸が7.7%増えたほか、複合サービス(2.7%増)、建設(1.5%増)、卸売・小売業(1.3%増)の伸びが目立った。雇用形態別にみると、フルタイム労働者、パートタイム労働者ともに0.4%増えた。
残業代にあたる所定外給与は1.9%増で、15カ月連続で増えた。複合サービス業(14.1%増)や飲食業(7.4%増)、運輸・郵便業(6.0%増)で残業が増えた。
ただ現金給与総額を、物価の上昇を差し引いた実質ベースでみると、前年同月から3.8%減った。賃金アップは進んでいるものの、消費増税や原材料の高騰による物価上昇には追いついていないのが実態だ。
毎月勤労統計の速報値はパート労働者の数が少ないため、数字が実態よりも高く出る傾向がある。8月中旬に発表する確報値では下方修正する可能性もある。
厚生労働省、速報値