北海道電力が昨年に続いて再値上げに動き出した。関西電力も同様の意向を示す。だが、北海道の地場コンビニエンスストアチェーン、セイコーマートの丸谷智保社長は「コスト増分を価格転嫁するのは難しい」と嘆く。電気料金引き上げは経営にどんな打撃を及ぼすのか。
(聞き手は田村賢司主任編集委員)
北海道電力が企業向け(大口)で約22%、家庭向けで17%の電気料金引き上げを計画しているといわれる。影響をどう見る。
丸谷:昨年秋も北電は企業向けで約11%値上げをした。それだけで、当社の電気料金支払額は年換算4億円も増えた。それまで年間で33億円程度だったが、今年は37億円を超える見通し。また値上げとなればさらに負担増となるだけに、本当に頭が痛い。
当社は、道内では最も大きな需要家の1つではないかと思う。道内を中心に約1100店を展開する独立系のコンビニエンスストアチェーンだが、グループ内に多様な事業がある。食材や商品の調達、生産から、その加工、物流まで垂直統合で商品、サービスを売るという独自の仕組みで、店舗も基本的に直営。電力の使用量は多い。
コスト増分は商品価格に転嫁しているのか。
丸谷:転嫁はしていない。今年4月の消費税引き上げの際にも出来る限りコスト削減をして、税込みの売価を上げないようにした。それと同じ。我々は、川上から川下まで一貫してバリューチェーンを作っているから、全体でコスト増を吸収できればと思っている。
しかし、何もしなければ業績への影響は大きい。非上場なので詳しくは言えないが、2013年12月期の全店売上高は1816億円でほぼ前年度並み。そこにコストだけが約4億円も増えるわけだから、北電には軽く考えて欲しくない。そういう中で、さらに再値上げというのは、ちょっと考えられない。