第2次世界大戦中、豪州南東部の捕虜収容所で旧日本軍の捕虜が脱走を図り、約230人が死亡した「カウラ事件」から70年。仲間を失い、復員後はハンセン病療養所で暮らす元捕虜に代わって戦友の墓に墓参するため、山陽女子高校(岡山市中区)の生徒、教員ら4人が1日、メッセージを携えて現地に赴く。

 7月12日、瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「邑久光明園」に暮らす立花誠一郎さん(93)の元を、山陽女子高の野村泰介教諭(36)と3年生の板井悠(はるか)さん(18)が訪れた。「カウラの慰霊祭に行くことになりました。立花さんのメッセージを録音して、戦友の皆さんのお墓の前で流したい」と板井さんが切り出した。

 笑顔で応じた立花さんは「無念の涙をのんだ戦没者の英霊に心から敬弔の誠を捧げる」と戦友へのメッセージを読み上げた。足腰が弱くなり、カウラ行きを断念した立花さんは、板井さんらに「亡くした戦友ともう一度話したい。自分の代わりに行ってきてください」と伝えた。