長崎・佐世保北高校1年の松尾愛和さん(15)殺害事件で、逮捕された同級生のA子(16)を残忍な犯行に駆り立てたのは何だったのか。その“動機”がおぼろげながら見えてきた。

 父が弁護士、母は東大出と、エリート一家に生まれたA子。小学校時代から給食に漂白剤などを5回にわたって混入するなど、相当な問題児だったが、かなりの「お母さんっ子」という一面もあった。近所の住人は、しばしば母親と一緒に犬の散歩に出かける姿を見かけていた。母親もA子を溺愛していた。

「漂白剤混入が問題となった際、A子の母親は市の教育委員会に関わっていました。その立場もあって、担任の教師に<ウチの子は悪くない>と、必死でかばっていたのを覚えています」(地元の教育関係者)

■継母は派手な格好の30代

 その母親を昨年10月に亡くし、心のバランスを崩したことが事件の遠因ともいわれている。

 より決定的な引き金となったといえるのが、母親の死の直後に再婚したという父親との確執だろう。父親の再婚相手とみられる女性のお腹がふくらんでいたのを、なじみのタクシー運転手が目撃している。父親とその女性は車内で仲むつまじげにしていたそうだ。

「さかのぼって計算して、前妻の存命中に妊娠した可能性もあると言う人もいる。父親は50過ぎとはいえ、ヤリ手でなかなかのイケメン。再婚相手は30代ほどで、ハデな格好が話題でした」(地元関係者)

 実母の死後、A子は父親の寝込みを襲い、金属バットでしたたかに殴りつけたという。父親の頭蓋骨は陥没し、歯はボロボロだったというから相当なダメージだ。しかし、県内指折りの弁護士としてのメンツも邪魔したのだろう。父親はこのトラブルを警察沙汰にせず、今年4月からA子に市内マンションでの一人暮らしをさせた。9月からは豪州留学も計画していた。

 A子は殺害した愛和さんについて、「個人的な恨みはなかった」と供述している。

「日が沈むころになると、近くの墓地でA子と愛和さんが一緒にじゃれ合っている姿をよく見かけました。互いに顔を近づけ合ったり、手をつないだりと、かなり親密そうな様子でした」(A子の住むマンションの近隣住人)

 A子は4月以降、ほとんど通学していなかった。愛和さんとは人知れず“密会”を重ねていたのか。

 A子は「一人暮らしのマンションで愛和さんと一緒にテレビを見ているうちにガマンできなくなった」とも供述しているという。