米金利上昇による円安で日本株に待望の展開、先行き不安も
[東京 31日 ロイター] - 日本株に待望の展開が訪れている。前日発表された4─6月期米実質国内総生産(GDP)が堅調だったことで、米金利が上昇し、ドル高/円安が進行。一方、米株は小幅安にとどまった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文の変更点にはタカ派、ハト派、両方の内容が入り、都合よく解釈できるようになっている。しかし、米経済の不安要素が消えたわけではなく、日本も消費増税の影響はこれから。円安だけで上値を追い続けることができるかには、不安もある。
<円安・株高シナリオに再び期待>
米GDPは、1─3月期のマイナス幅が2.9%から2.1%に縮小したうえ、4─6月期も4.0%と市場予想(3.0%)を上回る高い伸びを示した。潜在成長率の低下など長期ベースでの米景気減速懸念が払しょくされたわけではないが、足元の景気改善のペースは想定以上に速いことが明らかになった。
米FOMCの声明文は、インフレの判断を前進させる一方で、労働市場の緩みに懸念が残ると強調し、タカ派、ハト派、両方の内容が入った。利上げ観測を強めるものではなかったものの、「各市場で都合よく解釈しやすい内容」(外資系証券)だったことから、強いGDPと合わせて、米金利上昇の材料とされた格好だ。
30日の米債市場で、2年債US2YT=RR利回りは0.58%と3年2カ月ぶりの高水準まで上昇。米利上げペースが速まるといった観測は広がらなかったため、10年債US10YT=RR利回りは2.57%と7月16月以来の水準どまりだったが、「現在、為替市場がみているのは短い年限の国債利回り」(国内証券)とされ、ドル/円JPY=は一時、103円台まで上昇した。
米景気回復を原動力とした米金利上昇がドル高/円安をもたらす展開は、日本株の強気派が長らく待ち望んでいた動きだ。米金利上昇で懸念されるのは米株の下落だが、30日のダウ.DJIは31ドル安と小幅な下落にとどまっている。年初の米寒波で狂った円安・株高シナリオがようやく実現する可能性も出てきた。
野村証券チーフ・ストラテジストの田村浩道氏は、「米国での早期利上げを見込んで米国株が暴落すれば日本株にはネガティブだが、これまで時間をかけてテーパリングを実施し、マーケットにも少しずつ織り込まれている状況を考えると、多少、利上げの時期が早まってもショックは小さい。それよりも米金利が上昇し、ドル高/円安に進むことで日本株へのプラス効果が大きい」と述べる。 続く...
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