今週のお題「花火2014」
花火大会って聞くと、急にダークサイドに落ちるミンナ~!フォースのダークサイド、信じてますか~?
幼稚園の園庭で打ち上げ花火。至近距離で打ち上げます。 / torumiwa
どどーん
今日は、暗黒面の力を存分に使って、花火大会でイチャイチャしてる奴らなんかじゃ絶対に味わえない、最高な花火を妄想するから、頼むから僕を一人にしないでくれよ、お願いだよ、お願いだよぉ―。
妄想花火その1『ドラゴン』
ドラゴンをご存知だろうか?そう、言わずと知れた、置型噴射式花火だ。
その名前が指し示す通り、強烈な火花を天高く吹き上げる!と、点火の直前まではイメージしているが、いかんせんそのネーミングの力強さがハードルを上げすぎて、いざ火がつくと、「あ、そんなでもねーな」感がドラゴン級な、夏の定番花火だ。
では、そんなドラゴンを、真に味わい尽くす妄想花火をご覧ください。
『ドラゴン』
宵やみの河川敷。今まさに二人は、ドラゴンに火をつけようとしていた。
「よし、ついた!」導火線に火を付け、タタタッっと離れる俺。パチパチと火花を上げながら、導火線が短くなっていき、ついに本体に到達する。
バシュー!ババババ!
背丈の少し上まで吹き上がる火花に、一瞬「おっ!」となりはしたが、直ぐに勢いは収まり、シュヴシュヴと弱まっていき、ついには消えてしまった。
「微妙~。やっぱり花火大会行けばよかったね。」そこで俺は、もう一つ買っておいたドラゴンを手にして、不敵な笑みを浮かべる。「ふ、ふ、ふ。甘いな。まだ君は真のドラゴンを知らないのだよ。」と言いながら、ドラゴンを地面に設置する。
「俺が今から、真のドラゴン見せてやんよ!……はい。」そう言って、その周辺の見取り図を渡す。「なにこれ?」訝しげな顔をする彼女に、こう続ける。「いいから、そのバツ印の所へ行こうぜ!」そうして、二人で一番近いバツ印の場所へ行く。
するとそこにはなんと、ドラゴンボールが!そして、難なく7つのドラゴンボールを揃えた二人。当然、ドラゴンの周りに置いてもらう。「じゃ、はじめよう。……いでよ、シェンロン!」そう言いながら点火し、すぐさま自分はドラゴンの傍らで小さく屈む。
バシュー!ババババ!
ドラゴンが勢い良く火を吹いてから、ややおさまった頃を見計らって、ゆっくり立ち上がる。
「我が名はシェンロン。ドラゴンボールを7つそろえし者よ、さあ、願いを言え。どんな願いも1つだけかなえてやろう…」
鼻で笑われたら、俺の願いは叶ったも同然さ。
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妄想花火その2『ねずみ花火』
知らない人はいないであろう、ネズミの尻尾のような形をした、シュルシュルパンッ!でお馴染みの、ビックリ系花火である。そのトリッキーな動きと、風情のなさが特徴だ。
では、そんなねずみ花火を、真に味わい尽くす妄想花火をご覧ください。
『ねずみ花火』
夕暮れも終わりかけの家の前、アスファルトで舗装された路地で花火をする事になった。水を入れたバケツと蚊取り線香にろうそく。準備万端だ。幾つか手持ちタイプの花火をやった後、ねずみ花火を持ち出す。
「火つけるよ!シュルシュル回るから気をつけてね!」そういって点火する。
シュー、…シューーー、シューーー、
「あれ?回らない…。」
シューーー、…パン!
もう1度試すが、ちょっと回転する素振りを見せては、直ぐに止まってしまう。
「それ、ダメだね。」
ちょっとつまらなそうに言われたら、待ってましたとばかりに提案する。「よし。俺が本気でねずみ花火の回転見せてやんよ!」そう言って、ファイリングに使われるO型リング(パカって開くやつ)を取り出し、パカっと開いてねずみ花火を通し、ズボンのベルト通しにくっ付ける。この時、完全に背中側に付けるのが味噌だ。ネズミの尻尾っぽい。
「ネズミ花火の勢いで、俺が回るから。大丈夫。爆発する寸前にねずみ花火を切り取って捨てるから。」そういって火を付けてもらう。いつだって俺のハートに火をつけるのは君だ。なんて当然言えない。
そして、火がついたら全力で回転!「うぉおおおお!」破裂するかしないかギリギリのタイミングを見計らって、上半身をひねり、ネズミ花火を取りに行く。「いまだっ!」
パンッ!
「あひゃぁああ!」
取るより早くネズミ花火は破裂。そして、回転の勢いとともにアスファルトに転げまわる。
冷たい目で見下されたら、俺の願いは叶ったも同然さ。
妄想花火その3『ヘビ花火』
ご存知だろうか?浄水器の浄水システムを分解したら中に入っていそうな花火ナンバー1のあの花火を。見た目の地味さ、火を付けた後の地味さ、堂々のナンバー1という、地味花火の三冠王だ。
高さの低い円柱上の黒い物体に火をつけると、ほんの少しの火花と共に、モリモリと炭が伸び出す。その伸びていく様と伸びきった後のカスが、あたかもヘビのようなのだ。
では、そんなヘビ花火を、真に味わい尽くす妄想花火をご覧ください。
『ヘビ花火』
花火大会に行きたいと言いだした彼女。
「いや、あんなのより断然すげぇ花火大会開いてやるよ。」そう言って、外へ連れ出す。
「え?なに?」訝しがる彼女。俺はポケットをゴソゴソと探り、ヘビ花火を幾つか取り出す。「これ、まじスゲーから。隅田川の花火大会とか目じゃないから。」そう言いながら、道路と路側帯を分けている段差のヘリにヘビ花火を並べていく。
「じゃあ、ヘビ花火大会、スタートです!」と言って、ヘビ花火に火をつけていく。
シュゴ―、モモモモモ。シュゴ―、モモモモモ。シュゴ―、モモモモモ。モモモモモモ……。
全てのヘビ花火が伸びきるのを二人でじっと見つめる。
最後の一つが伸びきって、黒くウネウネとしたウ○コのような物体が醸す、なんとも言えない空気を満喫した所で、「以上で、今年のヘビ花火大会は終了となります。ありがとうございました。」
と言ってみて、ヘビ花火から出た煙幕の中で目が合って、クフッ、と少しだけ笑って、ゴホッとむせたら。もうね、そこで夏は終わりでいいですよ、ほんと。お腹いっぱい。
妄想花火は終わったよ。
あれ?あー、妄想花火終わっちゃった。火花が出ている時には、あんなにキラキラしてたのに…。
ああ、そうだった、俺、一人だったんだ。寂しいね。あと、読み返すと気持ち悪いね。んで凄く寂しい。でも、それがきっと花火なんだ。この寂しさこそ花火なんだ。だからほら、打ち上げ花火も線香花火も敵わない、この寂しさ。スゲー花火でしょ、妄想花火?
どうでもいいけど、妄想花火って、東京砂漠に語感が似てるね。
あーあ。
【エクストリーム・ケンケンパ】 「ケン・ケン・パ。ケン・ケン・パ。ケン・パ。ケン・パ。県・道・です!」って飛び出してダンプカーに跳ね飛ばされる。
— 水輪ラテール (@minawa_la_terre) 2014, 7月 31