噂話の口止めとプライバシー侵害について
学校でのトラブルや成年後見、名義変更等の民事・その他全般に関する弁護士相談
誰にも話さないように、と口止めした上で噂話を話す行為であっても、その話に登場する人物のプライバシーを侵害したことになるような状況もありえますか?
口止めしたからプライバシーを侵害したことにならないとはなりません。
実際にプライバシーを侵害し、その侵害が質問者様が漏らした言動を原因とするものであれば責任は発生することがあります。
不特定または多数の者に伝わる可能性の無いものでも、プライバシーの侵害にはなりうるんですか?
伝播可能性は、話した人の主観ではなく客観的に判断されます。
「他の人に話さないでね」と口止めしたことと伝播可能性があるかどうかの判断は次元が違う話です。
口止めしたかどうかは、伝播可能性があるかどうかを判断するときの資料の一つにすぎません。伝播可能性は、事案ごとに諸事情を考慮して判断するものです。
それにそもそも、伝播可能性というのは公然性を要件とする名誉毀損罪や侮辱罪で問題となりますが、プライバシー侵害は伝播しなくても侵害になるときがあります。
ある人が就職活動しているときに、就活したある特定の企業の特定の人事担当者ひとりだけに話したとしても、「あの就職活動してる人は前科がありますよ」と言えば、その人事担当者が誰にも話さなくてもプライバシー侵害になり得ます。プライバシーとは個人情報のことですから、重要な個人情報であれば、たった一人の人に話しても個人情報を漏らしたということになる場合もあります。個人情報を漏らしたということイコールプライバシー侵害です。
プライバシー侵害の要件には、そもそも公然性は必要ないんですか?
利益の侵害について○○侵害等々のカタログから思考されているようですが、
不法行為については、民法上特に行為の限定は全くありません。
ただ単に、社会通念上許容されないであろう行為(不法行為と言います)によって他人に損害を与えた者は賠償責任を負うとされているだけです。
それの不法行為の部分を暴力とか交通事故とか名誉侵害とかプライバシー侵害とかいちおうの名称で、その時その時の判決が言っているだけです。
民法にも刑法にも憲法にもプライバシーという言葉はありません。
そもそもプライバシーという言葉の定義について多くの学説が存在しており、これが定義だと法律で決めているものがない以上、プライバシー侵害という言葉にあてはまるかどうか議論しても意味がありません。
しかし、判例等の蓄積によりプライバシーがどのようなものなのかはある程度形になっているのではないですか?
現在の通説はプライバシー権とは自己情報コントロール権です。自分のことを公開されない権利というのは昭和40年代くらいまでの考え方です。
公然性はプライバシー侵害を判断する上で考慮する要素の一つであり、公然性がないものは、プライバシー侵害とは言えないとした判例はないと思います。
プライバシー侵害とは自己情報が自己が管理しない方法で使用又は利用されていることです。
プライバシーという表現はある意味古く、現代では個人情報という概念で考えるようになっているはずです。
質問者さんの考えですと、DV夫に妻の住所を教えることはプライバシー侵害にならないということになり、別の言葉(個人情報を漏らされない権利とか)で説明することになるだけです。
公然性という言葉を使った判決は、他の要素だけでは損害賠償請求を認めがたい、あるいは、賠償額が低くなってしまう場合に、公然性という要件も付け加えて賠償を認めやすくしたにすぎないとも言えます。
インターネット、パソコン、スマホなどが無く、プライバシーは個人情報管理権であるという意識がなかった昭和30~40年代に盛んに判決に現れた公然性という言葉をプライバシーという言葉の定義の中に絶対的に入れるべきという考えからすれば質問者さんのとおりになるでしょう。
判例や裁判例は、プライバシー権という言葉を使ったり、人格権という言葉を使ったり、自己情報コントロールという言葉を使ったりしていますが、公然性とプライバシーとの関係は絶対的であると断言したものはありません。
判例の積み上げとは、どのような具体的場合に賠償が認められるかという事案や事例の積み重ねであり、プライバシーを正確に定義づけようというような学者のような目的で裁判所は仕事をしておりません。
学者が自分の学説に近い表現を裁判所が使ったときに「判例は私のプライバシーの定義と同様に公然性を要件にしている」などと都合の良いことを言っているに過ぎません。裁判の目的は、具体的な事件を解決することであって、必要な範囲で必要な言葉を使っているに過ぎませんから、それぞれの事案ごとに判決は様々です。
公然性があるとより悪質である、などとみなされたりはするのでしょうか?
2014年07月08日 12時45分
- 最新の質問 法人としての登記と事業活動について
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みんなの回答
(質問者)
2014年07月08日 14時18分
(質問者)
2014年07月08日 22時53分
(質問者)
2014年07月09日 01時13分
(質問者)
2014年07月09日 07時05分
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