ゼンショーホールディングス(HD)が運営する牛丼店「すき家」の労働環境改善策を提言する第三者委員会は31日、報告書をまとめて同社に提出した。過重労働を指摘し、1人で深夜に勤務する環境の早急な解消や、経営陣の意識改革が不可欠とした。ゼンショーHDは同日、報告書に記載されたガバナンス(企業統治)体制強化などに取り組むと明らかにした。
第三者委(委員長・久保利英明弁護士)は、1カ月の一般社員の残業時間が平均109時間に上るなど「法律で定めた労働時間を大幅に超える過重労働が常態化していた」と指摘。月500時間以上も働いたり、2週間帰宅できなかったりした従業員もいた。「社員の生命、身体、精神の健康に深刻な影響を及ぼしていた」と批判した。
また、2011年10月に同社は「防犯対策の強化へ深夜に1人で勤務する体制を順次解消する」と発表したが、実際には解消されていなかったとも指摘。早急な改善を強く促した。久保利委員長は「(長時間労働に対する)経営幹部の意識を変えなければいけない」とし、企業風土の刷新が不可欠と強調した。
同日会見したゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長は「真剣に受け止め、是正すべきものは是正する」と述べた。6月にすき家の運営会社ゼンショーの傘下に地域会社7社を設立し、店舗が抱える問題を経営陣が素早く把握できる体制を整えたとした。
ゼンショーの説明では、3カ月でアルバイトは約5千人増え、一般社員の残業時間は7月で47時間と過重労働は解消傾向にある。深夜の1人勤務の解消については具体的な時期を示さなかった。
ワタミは1店あたりの従業員を増やすため、14年度中に居酒屋の約1割にあたる60店を閉鎖する。小川会長兼社長は「店を減らせば解決するわけではない。マネジメントの問題」として店舗閉鎖はしない考えを示した。
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