プールも西瓜も海水浴も嫌い、眩しいのが嫌い、暑いのが嫌い、だから夏は大嫌いだと私は昔から思っていて、周囲の人にそれをもらすたびに「さすが性格が暗いだけのことはある」と妙な具合に感心されていたのですが、過去にただひとりだけ「わかる」と言った人がいて、そしてその人は続けて「でも俺夏生まれやねん」となぜか申し訳なさそうに笑い、私はその顔をかわいいと思ってうっかりフォーリンラブしてしまったのでした。それが私の夫こと寺地扇風機の前から微動だにしないマンです。夏の盛りに夫は誕生日を迎えるから、だから夫と出会ってからの夏はたいへんに忙しい季節になりました。
プレゼントを選ぶこととかケーキを焼くことそれに添える手紙を添えることとか、やることがいっぱいあるのです。
汗だくになりながらプレゼントを探し求めて街中を歩くなんて馬鹿らしいし、こんな暑い季節にオーブンをつかってケーキを焼くなんて私に言わせれば狂気の沙汰ですし、だいたい夫はプレゼントを貰ってもちっとも嬉しくなさそうだし、ケーキを食べても美味しいなんて言わないのです。でも買ったケーキを出すとちょっとだけ寂しそうな顔をするし、一体なんなんやろうかと思います。
いつもいつも意地悪ばっかり言って、そのくせそれを聞いた私が落ち込むと妙におろおろしだして、まったくもって意味不明です。
私は夫の全部が好きなわけではありません。いやなところを挙げてみろと言われたら夏という季節の比では無い程言えるのです。ちょっとその気になりさえすれば。
夫は世間の「良い夫、良い父親」像からは遠くかけ離れた存在だと思います。「扇風機の前から微動だにしないマン」というあだなからもわかる通り基本的に「めんどくさい」「ねむたい」しか言いませんし、家事もやったことありませんし、育児もやりません。
でもそのままでいいと私は思います。夫には世間の物差しでははかれない良さがあると思ってます。
だって「俺のキャラに合わないから、自分のこどもの画像を待受にしたりしない」など言い出すようなユニークな人なんですよ。普通のサラリーマンなのに頑なにキャラを守ろうとしてるとこがかわいいじゃん!なあそうだろ皆の衆!
あと先日こどもと私が公園に行った時に急に雨が降ってきたことがあって、その時夫が傘を二本持って走って迎えに来てくれたんですがズブ濡れで傘握りしめてなぜか口を全開にして走ってきた姿が最高にカッコ悪くておもしろくてカッコ良かったです。傘持ってんだからさせよと思いました。あと口を閉じろと。
誕生日おめでとう。夫の生まれた季節だから私は以前よりちょっとだけ夏が好きになれました。だからありがとう、おめでとうでありがとう。
もういっこブログやってます。チネチネしてます。
そんな日もある。