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危険ドラッグ 大麻より40倍強い成分も
7月30日 19時51分

危険ドラッグ 大麻より40倍強い成分も
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ハーブなどとして売られていた危険ドラッグを使ったドライバーによる交通事故が、東京都内でことし11件発生し、ドラッグの鑑定がすでに終わった6件では、1件を除いていずれも、法律の規制が及んでいなかった成分が検出されていたことが分かりました。
人の中枢神経への作用が、大麻より40倍ほど強いとみられる成分もあり、専門家は海外の当局と連携するなどして、迅速に法規制を進めることの必要性を指摘しています。

先月24日に東京の池袋で、ハーブとして売られていた危険ドラッグを使った男が運転する車が暴走し、歩行者8人が死傷した事件などを受けて、警視庁が調べたところ、都内で危険ドラッグを使ったドライバーが起こした交通事故は、ことしに入って人身事故が6件、物損事故が5件の合わせて11件に上っていました。
いずれも3月以降に集中して起きていて、人身事故では3人が亡くなり15人がけがをしています。
警視庁は、それぞれの事故で使われたドラッグの鑑定を進めていますが、鑑定が終わった6件中1件を除くと、いずれも合成カンナビノイドと呼ばれる大麻に似た成分が検出されたことが分かりました。
警視庁によりますと、この成分は事故当時、法律の規制が及んでいませんでしたが、依存性が高く、大麻よりも人の中枢神経への作用が40倍ほど強いとみられるということです。
この成分はその後、規制対象の薬物に緊急指定されましたが、1件の事故でドライバーが持っていた危険ドラッグから検出されたほかの成分の中には、今も規制が及んでいないものが複数ありました。
警視庁などによりますと、中国などから規制の対象になっていない原料が密輸され、日本国内で危険ドラッグが密造されるケースが増えているということです。
規制が広がれば、また新たな成分を原料とするドラッグが現れ、その結果、即効性や依存性がより強い危険ドラッグが出回るようになってきていることが、事故や事件が目立って来た背景にあるとみられています。
危険ドラッグの成分分析を行っている国立医薬品食品衛生研究所の研究責任者、花尻瑠理さんは「ある化合物に規制をかけると、構造が似た化合物が、次から次へと出てくる流通と規制のいたちごっこが続いている。最近では、幻覚作用を持つ化合物とか、強い鎮静作用を持つ化合物も出てきている。それを人が使った場合に、どういう作用が出るか誰も予測できず非常に危険だ」と話しています。
そのうえで、花尻さんは「世界各国の情報を集めて、お互いに分析機関が共有し、どういう成分が出てきたかの情報をやり取りして、今後、日本にどのような成分が出てくるか予測すべきだ」として、新しい成分の危険ドラッグの規制を、迅速に進めることの必要性を指摘しています。

危険ドラッグ使用経験は約40万人

危険ドラッグを使用した経験がある人について、厚生労働省の研究班は、アンケート調査の結果から、国内でおよそ40万人に上るとする推計をまとめています。
厚生労働省の研究班は、2年ごとに全国の15歳から64歳を対象に違法薬物について、アンケート調査を行っていて、去年、危険ドラッグを初めて調査対象に加え、およそ3000人から回答を得ました。
その結果、危険ドラッグを過去に1度でも使ったことがあると答えたのは、全体の0.4%でした。
これを基に推定したところ、危険ドラッグを使用した経験がある人は、全国で40万人に上るとする推計をまとめました。
これは覚醒剤の0.5%に次ぐ多さで、危険ドラッグが急速に広がっている実態が分かります。
また、危険ドラッグの経験者は平均年齢がおよそ34歳とほかの薬物よりも若く、その40%近くは「危険な薬物とは知らなかった」と答えたということです。

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