除染:目安の緩和 個人の線量管理が課題

毎日新聞 2014年07月31日 15時00分(最終更新 07月31日 15時08分)

 除染の目安とされてきた空間線量毎時0.23マイクロシーベルトは福島第1原発事故後、政府が一定の生活様式を仮定して算出した試算値に過ぎなかった。それが除染の「目標」「安全基準」として半ば独り歩きする一方、線量が比較的低い場所では除染効果が低い現実も見えてきた。今回の見直しは「0.23マイクロシーベルト」にこだわらず、自治体ごとに住民の被ばく低減策を促すことを求めている。

 この方針は、伊達市などでの被ばく線量実態調査や国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に沿っている。だが、住民一人一人の線量管理は手間がかかる。個人の被ばく線量管理の具体策として、環境省は「生活空間の中で比較的線量の高い場所などの情報を伝えたり、線量への理解を助けるための相談員の配置などリスクコミュニケーションを充実させたい」としている。

 産業技術総合研究所の試算では、除染には約5兆円かかるとしている。今回の方針転換を踏まえ、限られた予算をどう配分し、きめ細かい線量管理をどう実施していくのかが課題となる。【阿部周一】

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