【社説】検察・警察の無能さ証明しただけのセウォル号捜査

 旅客船「セウォル号」運航会社の実質的なオーナーで、すでに遺体で見つかった兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者の運転手だったヤン・フェジョン容疑者が29日に自首した。ヤン容疑者は兪容疑者の逃亡を手助けしたとして指名手配されていた。また兪容疑者の長男・大均(テギュン)容疑者(44)とその逃亡を手助けしたパク・スギョン容疑者(34)も、前日の28日に身柄を拘束された。この結果、セウォル号沈没事故を受けて検察がこれまでに身柄を拘束したのは142人になったが、事件の鍵を握る兪容疑者はすでに死亡し、次男と長女は今も海外にいる。それでも検察はこの日「韓国国内の指名手配者の捜査は事実上終わった」とコメントした。

 セウォル号沈没事故に対する捜査の核心は▲監督官庁である海洋水産部(省に相当、以下同じ)と監督を受ける立場の海運業界との癒着▲セウォル号の増改築や貨物の過積載に目をつむった海運業界内部の構造的汚職▲事故直後の救助活動で表面化した海洋警察など政府機関による対応の問題点-などを明らかにすることだった。検察は安全性を無視してセウォル号の増改築を進めた運航会社と、乗組員が勝手に作成した運航報告書を確認もせず承認した海運組合や韓国船級協会など、海運業界の汚職に対してはある程度解明し、一定の成果を出した。しかし海洋水産部の元官僚らが天下りすることで業界を擁護してきた実態や、事故直後に現場に出動した海洋警察が乗客の救助に失敗した原因、さらに政府機関のずさんな対応に対しては何も解明していない。身柄を拘束されたのもほとんどが海運業界の下部組織の幹部や末端の職員ばかりだ。

 セウォル号は増改築によって復原性に問題が生じ、また過積載の影響で沈没のリスクが極端に高まっていたが、一連の報告を受けていたはずの兪容疑者は問題を放置し、検察はこれが事故の原因になった疑いがあることを明らかにした。しかしすでに死亡した兪容疑者の責任を追及することもできないため、検察は兪容疑者の罪状をことさら強調することで、逆に責任逃れをしているような印象を与えてしまっている。検察は事故直後から合同捜査本部を立ち上げ3カ月以上にわたり捜査を続けてきたが、警察との協力を円滑に進めることができず、逆に互いへの敵対心ばかり大きくしたとの批判も相次いでいる。検察は事故について国民が抱いている疑惑を解消するどころか、捜査機関の無能さと問題点をさらけ出してしまった。

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