裏切られた3人
「中国一辺倒では、韓国の思うような統一は難しい。米国との関係を粗略にするな」という、チャ教授と同じロジックですね。
鈴置:その通りです。グリーン准教授は「全方位」という言葉を使っているので、米国だけではなく日本との関係も維持しろ、と言いたいと思われますが。
グリーン准教授もチャ教授も、ワシントンの朝鮮半島政策の策定にあたって大きな影響力を持つと韓国では見なされています。
彼らの警告は米国のアジア専門家2人が語っているというより、米政府が“最後通牒”を発したと韓国では受けとめられたようです。
なお4月のオバマ訪韓も、この2人にアーミテージ元国務副長官を加えた3人がワシントンポストを通じ意見具申し、実現を後押ししました(「『自殺点』と日本を笑った韓国の自殺点」参照)。
3人は「韓国が中国側に走りかけている。今、オバマ大統領が韓国へ行って引き止めるべきだ」と、共同論文の形で表明したのです。
しかし、朴槿恵大統領はオバマ大統領と会談しましたが、米国の言うことは聞きませんでした。米韓首脳会談が開催されると見て取った習近平主席が急遽、訪韓を言い出し、実際7月3、4日にソウルで中韓首脳会談を開いたこともあったからです。
朴槿恵大統領はオバマ大統領と会談した際にも、近く会う習近平主席の顔色をうかがったのです(「オバマの前で『中国が頼り』と言い切った朴槿恵」参照)。
オバマ訪韓を後押しした3人組は面子を失ったのかもしれません。とすれば、個人的にも韓国に怒り出して当然です。
「統一」が最後の言い訳
チャ教授もグリーン准教授も「統一」をテーマに韓国に警告を発しています。なぜでしょうか。
鈴置:離米従中に対する韓国の言い訳が、今や「統一」に絞られてきたからでしょう。一時期は海外のシンポジウムなどで「我が国は中国に経済的に依存しているからやむを得ないのだ」と弁解する韓国人が目立ちました。
それは一面の事実です。しかし、中国と周辺国との武力衝突の可能性が高まるほど緊張が煮詰まった今、ゼニカネは理由になりません。「カネのために中国の言いなりになるというのか」と見下げられてしまうからです。
もう1つの言い訳は「日本が反省していないから」です。しかし、この強弁も米国の怒りを買ってしまい、ケリー国務長官やオバマ大統領から「歴史の棚上げ」を命じられてしまいました(「『歴史は棚上げしろ』と韓国に命じた米国」参照)。
そこで韓国は「統一のために、中国の言うことを聞かざるを得ない」という言い訳を多用するようになりました。これに対応してチャ教授らは「統一も言い訳には使うな」と言い渡したのでしょう。