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 国際司法裁判所(ICJ)が1996年に「核兵器の使用・威嚇は人道法違反」として決定した勧告的意見をめぐり、当時の裁判長が朝日新聞の取材に真相を初めて明かした。「解決の道は核廃絶しかない」とし、強い意図を込めた究極の決定だった、と語った。「自衛の極限状況では合法か違法か判断できない」とも示したこの勧告的意見は核保有国に配慮したとの評価もあるが、核の非人道性に注目する核兵器禁止の国際的機運の原点となっている。

 元裁判長はアルジェリア人のモハメド・ベジャウィ氏(84)。滞在先のパリ近郊で7月に取材に応じた。国際法上の考え方に影響を与えるICJの勧告的意見について、元裁判長が見解を語るのは極めて異例だ。

 「核兵器の使用・威嚇は一般的に人道法違反」「自衛の極限状況では合法か違法か判断できない」と併記した意見の中核部分をめぐり、判事14人(定員15人、1人欠員)の賛否は7対7に割れた。最終的に裁判長だったベジャウィ氏が賛成の決定票を投じ、採択された。